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トリプルネガティブ乳がんとは?治療が難しいとされる理由や、近年注目されている治療法を解説

トリプルネガティブ乳がんとは? 治療が難しいとされる理由や、近年注目されている治療法を解説

投稿日:2026年08月21日

更新日:2026年08月21日

乳がんと診断された上で、トリプルネガティブタイプであると告げられると、不安や戸惑いを感じる方も多いでしょう。トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプに比べると治療が難しいとされる一方、近年は医療の進歩によって新しい治療選択肢が広がりつつあります。

そこで本記事では、トリプルネガティブタイプの乳がんに関する基礎知識や特徴、主な治療方法をまとめました。トリプルネガティブタイプの乳がんについて理解を深めたい方や、最新の治療法に興味がある方はぜひ参考にしてください。

<この記事で分かること>

  • ● トリプルネガティブ乳がんは、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)が全て陰性の乳がん
  • ● トリプルネガティブ乳がんは、がん細胞の増殖スピードが速く、ホルモン療法やHER2標的治療薬が効きにくく、化学療法が中心となり選択肢が限られる
  • ● 近年は免疫チェックポイント阻害薬や免疫細胞治療などの新たな選択肢が注目されている

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トリプルネガティブ乳がんとは? 基礎知識と特徴

トリプルネガティブ乳がんとは、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)という3つの主要な分子マーカーが、全て陰性であるタイプの乳がんです。英語ではTriple Negative Breast Cancerと表記するため、頭文字を取ってTNBCと略されます。

厚生労働省の資料によると、トリプルネガティブ乳がんの罹患者数は全乳がんの10~20%とされており、乳がん患者さんのおよそ10人に1~2人はトリプルネガティブタイプであると推定されます(※)。

※参考:厚生労働省「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の要望募集について」“未承認薬・適応外薬の要望(募集対象(1)(2))”
”p2”https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000751628.pdf ,(参照2026-05-04)

治療が難しいとされる理由

トリプルネガティブ乳がんが他のタイプに比べて治療が難しいとされる理由は、大きく2つあります。

まず1つ目は、がん細胞の増殖スピードが速いことです。一般的に乳がんは進行が比較的緩やかとされていますが、トリプルネガティブ乳がんは、短期間で数センチの大きさにまで増殖するケースもあります。そのため、がん細胞が周辺組織に広がる浸潤や、他臓器に移動する転移が起こるリスクが高く、進行が速いタイプの乳がんと認識されています。

2つ目の理由は、治療の選択肢が他のタイプより少ないことです。乳がんは先に述べたエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の有無によって、大きくは以下のような5つのサブタイプに分類されます。

サブタイプ エストロゲン受容体 プロゲステロン受容体 ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)
ルミナルA型 陽性 陽性 陰性
ルミナルB型(HER2陽性) 陽性 陽性/陰性 陽性
ルミナルB型(HER2陰性) 陽性 弱陽性/陰性 陰性
HER2型 陰性 陰性 陽性
トリプルネガティブ 陰性 陰性 陰性

エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体はまとめてホルモン受容体と呼ばれ、これらが陽性の場合にはホルモン療法が適用可能です。一方、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)が陽性であるHER2型には、トラスツズマブやペルツズマブといった、HER2標的治療薬を用いた治療法が適用されます。

しかしトリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体・HER2のいずれも陰性であるため、これらの治療効果は得がたいです。そのため、他のタイプではそれぞれに適した治療法に加え、抗がん剤を用いた化学療法を併用することで治療を行いますが、トリプルネガティブ乳がんでは化学療法が中心となり、治療選択肢が限られます。

トリプルネガティブ乳がんの一般的な治療法

トリプルネガティブ乳がんは前述したようにホルモン療法やHER2標的治療薬が効きにくいため、抗がん剤を用いた化学療法を中心に、外科的な手術や放射線治療などを行うのが一般的です。

ここでは、トリプルネガティブ乳がんの標準的な治療法を紹介します。

化学療法

トリプルネガティブ乳がんでは、外科手術の前後に化学療法を適用するのが一般的です。手術前の化学療法は、腫瘍を縮小させることを目的とした「ネオアジュバント療法」が行われます。腫瘍のサイズが小さくなれば、乳房を温存できる可能性が高まる他、手術前に腫瘍の生物学的反応を確認できるため、手術後の治療計画の策定に役立てることが可能です。

特にトリプルネガティブ乳がんは浸潤や転移のリスクが比較的高い傾向にあるため、ネオアジュバント療法を適切に行うことで、予後の改善が期待できるとされています。使用される主な薬剤には、ドキソルビシンやエピルビシンといったアンスラサイクリン系の薬剤の他、パクリタキセルやドセタキセルを代表とするタキサン系薬剤などです。

一方手術後は、残存している可能性があるがん細胞による再発や転移を抑制し、再発リスクを低減することを目的とした「アジュバント療法」を行います。なお、使用する薬剤は、ネオアジュバント療法と同じものが用いられるのが一般的です。

このように、術前・術後の化学療法はトリプルネガティブ乳がんに有効性が期待される一方、副作用のリスクも懸念されます。なお副作用の有無や症状の度合いには個人差があります。代表的な症状は、白血球や赤血球、血小板が減少する骨髄抑制、吐き気・嘔吐などの消化器症状、一時的な脱毛などです。

これらの副作用が現れた際は、症状に応じて抗菌薬や制吐薬、整腸薬などを服用し、症状の軽減を図ります。しかし患者さんの心身への負担は大きく、場合によってはQOLの低下などにつながる可能性があります。

外科手術

乳がんの外科手術は、切除する範囲によって部分切除術と全摘術、乳頭乳輪温存乳房切除術の3つに分類されます。

部分切除術は、腫瘍とその周囲の正常な乳腺を切除する手術です。腫瘍が比較的小さい場合は切除範囲も狭くなるため、乳房の変形を抑えながら手術できます。なお、この方法を選択した場合は、乳房内での再発リスクを低減する目的で、手術後に放射線療法を併用するのが一般的です。

全摘術は、乳頭や乳輪を含めた全乳房を切除する手術です。腫瘍が大きいケースや、部分切除術を行うと乳房が大きく変形する可能性があるケースでは、全摘術が採用される場合があります。また全摘をすると手術後の放射線療法が不要となるケースもあるため、放射線療法を避けたいという理由から、全摘術を選択する患者さんもいます。

乳頭乳輪温存乳房切除術は、皮膚や乳頭、乳輪部分を残したまま、乳腺組織のみを切除する手術です。摘出した乳腺組織の代わりに人工物を挿入する乳房再建術と組み合わせることで、自然な見た目を再現しやすい点が特徴です。

ただし皮膚や乳頭、乳輪付近に腫瘍がある場合は、がん細胞が残存するリスクが高まる可能性があるため、適応には慎重な判断が求められます。

放射線療法

放射線療法は、放射線を照射して、残存している可能性のある腫瘍を死滅させる治療法です。

ある臨床研究では、65歳以上のトリプルネガティブ乳がんの患者さんに対して放射線療法を行ったところ、放射線療法を受けなかった患者さんと比較して良好な経過が確認されたという報告がありました。そのため、再発リスクの低減に有効と考えられています(※)。

なお放射線療法は基本的に、部分切除術を行った患者さんに対して行われる治療です。しかし全摘術を受けた方でも、脇の下のリンパ節に多くの腫瘍があった場合やしこりのサイズが大きい場合は、放射線療法が適用されるケースもあります。

施術後の副作用として、かゆみや皮膚の赤みなどが現れる場合がありますが、時間の経過と共に軽減することが多く、全身への影響は比較的少ない治療といえるでしょう。ただし、放射線療法はあくまでも、残存している可能性がある腫瘍に対する局所療法の一種です。もし全身に腫瘍が広がっている場合は、化学療法と組み合わせた治療を進めるのが一般的です。

※参考:National Library of Medicine.「Role of Radiotherapy in Elderly Patients (≥65 Years) With Triple-Negative Breast Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis」.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40851384/ ,(2025-08-25).

トリプルネガティブ乳がんの新たな治療法

ここまでトリプルネガティブ乳がんの標準的な治療法を説明してきましたが、近年では新たな治療の選択肢として、免疫チェックポイント阻害薬の投与や、免疫細胞治療への注目が高まっています。

最後に、それぞれの治療の特徴について詳しく解説します。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞が免疫機能からの攻撃を逃れる仕組みを阻害することを目的とした治療薬です。

本来、ヒトの体にはがん細胞を攻撃・排除する免疫機能が備わっているものです。そこに対しがん細胞は、免疫の要であるT細胞にブレーキをかけることで免疫の働きを弱め、攻撃を回避します。

免疫チェックポイント阻害薬には、このようながん細胞によるブレーキを抑制する働きがあるとされています。乳がんを含むさまざまながんに対する新たな治療法として、近年注目されている治療法です。

免疫細胞治療

免疫細胞治療とは、患者さん自身の血液から免疫細胞を採取し、体外で増殖・活性化させ、再び体内に戻すことで免疫機能を高める治療法です。

この治療法の特徴は、サブタイプの種類に関係なく、全身へ作用する可能性がある点です。原発巣へのアプローチはもちろん、浸潤や転移の抑制、再発予防への効果も期待されています。さらに、患者さん自身の免疫細胞を利用する治療であるため、化学療法や放射線療法と比較して、副作用が起こりにくいとされている点も特徴の一つです。

一方で、免疫細胞治療は標準的な治療に比べるとまだまだ普及率は高くなく、治療に対応している医療機関は限られています。また同じ免疫細胞治療でも、医療機関によって採用している治療法が異なる場合もあります。そのため免疫細胞治療を検討する際は、経験が豊富な医療機関を受診し、医師と相談した上で自分に適した治療法を選択することが重要です。

トリプルネガティブ乳がんには新たな治療選択肢への期待も高まっている

トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン療法やHER2標的治療薬が効きにくく、がん細胞の増殖スピードが比較的速いのが特徴です。そのため、治療が難しいタイプの乳がんとされています。

しかし近年では、標準療法である化学療法や放射線療法、外科手術に加え、免疫チェックポイント阻害薬や免疫細胞治療といった新たな治療法も生まれています。特に免疫細胞治療は、患者さん自身の免疫細胞を利用することから、心身への負担が比較的少ないとされている治療です。

免疫細胞治療にはさまざまな種類があり、治療内容や特徴は医療機関ごとに異なります。信頼できる医療機関できちんと説明を受けた上で自身に適した治療法を模索することが大切です。

瀬田クリニック東京では、患者さんの免疫細胞やがん細胞の状態をさまざまな方法で徹底的に検査した上で、一人ひとりに適したオーダーメイドの免疫細胞治療を提案しています。「トリプルネガティブ乳がんと診断されたけれど、できるだけ負担の少ない治療法を検討したい」「自分に合った免疫細胞治療について詳しく知りたい」という方は、お気軽にお電話やメールフォームからご相談ください。

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