胆嚢がんと診断されると、患者さんやご家族は「治るのだろうか」「進行するとどのような症状が出るのだろう」と不安に感じることでしょう。胆嚢がんに関する正しい知識を学んでおくことは、今後の治療方針を検討する際や、生活を続けるためにも大切です。
本記事では、胆嚢がんの基本的な知識をはじめ、主な症状やリスク要因、診断方法、治療方法について分かりやすく解説します。胆嚢がんについて理解を深めたい方、不安を感じている方は参考にしてください。
<この記事で分かること>
- ● 胆嚢がんとは、胆汁をためておく胆嚢にできるがん
- ● 胆嚢がんの初期症状はほとんどなく、進行とともに黄疸や腹痛などが現れる場合が多い
- ● 胆嚢がんの治療は外科手術や薬物療法、免疫細胞治療など複数あるため、主治医と相談しながら適切な方法を選ぶことが大切
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胆嚢がんとはどのような病気? 定義や胆嚢の役割について解説
胆嚢がんは、胆嚢にできるがんです。胆嚢は、肝臓で作られた胆汁(脂肪の消化に必要な液体)を蓄える、小さな袋状の器官です。
胆嚢は肝臓や膵臓、十二指腸と胆道を介してつながっており、体内に取り込まれた食べ物が十二指腸に到達すると胆嚢が収縮し、蓄えていた胆汁を押し出し、管を通って十二指腸に流れる仕組みになっています。
胆汁は脂肪の消化酵素であるリパーゼの働きを助けたり、赤血球の老廃物を体外に排泄したりする役割を担っています。そのため、胆嚢は消化において重要な器官といえるでしょう。この胆嚢にがんができると、胆管閉塞による黄疸が出たり、十二指腸や大腸の狭窄(きょうさく)によって腹痛や嘔吐などの症状が現れたりすることがあります。
胆嚢がんになっている人はどのくらいいる?
がんの専門機関の公表データによると、2023年に胆嚢がん(胆管がん含む)と診断される患者さんの数は、男性11,451人、女性9,475人で、合計20,926人でした(※1)。
前立腺がん(102,094人)や、乳がん(103,424人)に比べると診断される数は多くないですが、胆嚢がんは初期症状がほとんどなく、気付かないうちに進行しているケースが多いことが特徴です(※2)(※3)。
※参考1:がん情報サービス.「胆のう・胆管」.
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/9_gallbladder.html ,(2025-06-13).
※参考2:がん情報サービス.「前立腺」.
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/20_prostate.html ,(2025-06-13).
※参考3:がん情報サービス.「乳房」.
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html ,(2025-06-13).
胆嚢がんの主な症状
早期の胆嚢がんは自覚症状が少なく、日常生活に支障が出ないことがほとんどです。そのため、がん検診や別の病気の検査によって偶然発見されるケースがよく見られます。
しかし、病状が進むにつれて皮膚が次第に黄色くなる「黄疸」が出やすくなります。黄疸は、赤血球が壊れる際に生成される黄色い色素ビリルビンの影響で起こるものです。ビリルビンは、肝臓で処理されますが、胆嚢がんが胆管を閉塞して胆汁が十二指腸へ流れなくなると、血中濃度が上昇し、白目や皮膚が黄色く見えたり、尿の色が濃くなったりします。
また正常な状態では黄色や茶色の便も、胆管閉塞が起きると白っぽい色になることが特徴です。他にも、十二指腸や大腸の狭窄で生じる腹痛・嘔吐、みぞおちや右脇腹の痛み、食欲低下、体重減少、倦怠感といった症状が出る場合があります。
黄疸は比較的分かりやすい症状ですが、それ以外の症状は胃腸炎などと間違われることも少なくありません。胆嚢がんに限らず、がんは放置すると進行してしまうため、体調不良が続く場合は自己判断せず、早めに病院を受診しましょう。
胆嚢がんのリスク要因
胆嚢がんを発症させる特定の要因はまだ明らかになっていません。しかし、以下のような要因が胆嚢がんのリスクを高める可能性があると考えられています。
胆石症
胆石症とは、胆道(胆嚢や胆管)の内部で胆汁が固まり、結石(石のような塊)を形成する症状です。結石ができる場所によって、胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石などと呼び分けられます。
胆嚢は胆汁を蓄える器官ですが、長期間にわたり胆汁がとどまり続けると、その成分が変化したり、細菌が繁殖したりして、胆汁がよどむことがあります。よどみが生じる原因はさまざまですが、偏った食生活や体質などが影響を及ぼしているようです。
胆嚢がんの患者さんのうち、胆石症を合併している方は50~60%と半数以上に上り、両者には何らかの関連性があると考えられています(※)。
また胆石症によって胆管に石が詰まると、胆汁の流れが悪くなると同時に炎症を引き起こすため、右上腹部を中心に強い痛みや発熱が生じます。このような症状をきっかけに病院を受診・検査した結果、胆石症と同時に胆嚢がんが発覚したケースも少なくありません。
※参考:国立がん研究センター東病院.「胆嚢(たんのう)がん」.
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/hepatobiliary_and_pancreatic_surgery/050/2/20171102123740.html ,(参照2025-11-27).
膵・胆管合流異常
膵・胆管合流異常とは、膵液が通る管と胆管が合流する場所が正常なケースよりも早い位置で合流してしまう先天性の異常です。膵液は膵臓で分泌される消化液で、糖質やタンパク質、脂肪などを分解する酵素を含んでいます。
通常、膵液と胆汁は十二指腸の手前で合流しますが、その合流部に括約筋があり、膵液が胆管側に逆流することはありません。しかし、膵・胆管合流異常の方は括約筋のない位置で合流が起こるため、膵液が胆管や胆嚢に逆流しやすくなります。
その結果、胆石症や胆嚢がんの発症リスクが高くなると考えられています。また胆嚢がんは一般的に高齢になってから発症しやすい病気とされるものの、膵・胆管合流異常の患者さんは若年で発症するケースも高い点に注意が必要です。
膵・胆管合流異常は無症状な場合もありますが、膵液の逆流によって胆管炎や膵炎が起こると、腹痛や嘔吐、黄疸、発熱などの症状が現れ、体調不良で受診して発覚するケースも少なくありません。
胆嚢腺筋腫症
胆嚢腺筋腫症とは、胆嚢の壁が部分的あるいは全体的に分厚くなる病気です。多くの場合、自覚症状はほとんどなく、日常生活に影響が出ることもほとんどありません。
そのため、がんの可能性が疑われない場合は積極的な治療は行わず、経過観察で様子を見るのが一般的です。しかし一方で、胆嚢腺筋腫症は胆嚢がんのリスク要因とされる胆石症を起こす可能性も指摘されています。
またこの疾患は胆嚢がんとの見極めが難しいため、健康診断や人間ドックで胆嚢腺筋腫症と診断されたものの、実は胆嚢がんが隠れていたというケースも起こり得ます。そのため、胆嚢腺筋腫症と診断された場合には胆嚢がんの可能性も考慮し、検査を行うことが大切です。
胆嚢がんの診断
胆嚢がんの診断は、まず血液検査と腹部超音波検査を行い、その検査結果に応じてCT検査や内視鏡検査などが実施されます。
ここでは、胆嚢がんの主な診断方法とその特徴について説明します。
血液検査
血液検査では、血中のビリルビンや分解酵素の一種であるALP、さらに胆道や肝臓の機能を示す酵素(γ-GTP)の値を調べるための検査です。
胆嚢がんによって胆管が狭窄すると、胆汁の流れが滞り、これらの数値が上昇することがあるため、血液検査によって胆嚢がんのリスクを確認できます。また血液検査は健康診断でも行われるため、診断の結果で要検査となったのをきっかけに後述する精密検査を実施し、胆嚢がんが発覚するケースも少なくありません。
腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、がん細胞によって作られるタンパク質などの物質(腫瘍マーカー)の測定を行う検査です。腫瘍マーカーはがんの種類によって異なりますが、胆嚢がんの場合はCEAやCA19-9、DUPAN2の量を重視するのが一般的です。
この検査は採血や採尿で行えるため、比較的簡単に検査できますが、腫瘍マーカーの値はがん以外の疾患や加齢、月経、飲酒・喫煙、薬の成分などによって高くなることもあり得ます。そのため、腫瘍マーカー検査は単独で診断に使われることは少なく、他の検査と組み合わせて補助的に活用されることが一般的です。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は、臓器の形や状態、がんの位置・形状、周辺の血流の様子などを調べるために行う検査です。
腹部の表面に超音波を当てると、体内の臓器から跳ね返ってくるため、それを画像として映し出すことで検査します。検査に痛みを伴うことはなく、短時間で検査が終了するため、血液検査と併せて最初に実施されることが多いです。
CT検査
CTとはComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略称で、体に当てたX腺の吸収率をコンピュータで処理し、画像にして診断する方法です。
体内の様子を立体的に把握できるため、がんの有無だけではなく、がんの広がりや他臓器への転移の有無も確認できるのが特徴です。CT検査は手術の適応を判断する際にも用いられるため、胆嚢がんの診断や治療方針の決定において重要な検査とされています。
MRI検査
MRIとはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像法)で、強力な磁石と電波によって発生させた磁場を利用して体内の画像を得る検査です。
患者さんはトンネル状のMRI装置の中に入り、さまざまな方向から電波を当てることで、CT検査よりもさらに詳細な体の断面画像を得られます。
MRI検査では、CT検査と同じく、がんの有無や広がり、転移の有無などを確認できます。造影剤を使わずに検査でき、患者さんへの負担も少ないところが特徴ですが、心臓ペースメーカーなど体内に金属が入っている場合は検査を受けられません。
内視鏡検査
胆嚢がん検査における内視鏡検査は、超音波内視鏡を用いた検査です。CT検査やMRI検査の結果、さらに詳細な情報が必要と判断された場合に実施されます。
先端に超音波を搭載した内視鏡を口から挿入し、胃や十二指腸まで進めて、その壁を介して観察します。前述した腹部超音波検査よりも胆嚢に近い位置から検査できるため、より鮮明な画像診断を行えるところが特徴です。腹部超音波検査では観察が難しい場合もある胆管も同時に確認できるメリットもあります。
生検・細胞診
生検・細胞診は、がんが疑われる部位から組織や細胞を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。
胆嚢がんでは、胆管の組織や胆汁を採取したり、生検針を用いてがん組織を直接採取したりすることが一般的です。この検査では、CT検査やMRI検査などの画像検査だけでは判断が難しい場合や、がんの広がりを正確に把握したいときに実施されます。
胆嚢がんの治療方法
胆嚢がんの治療方法には、大きく分けて4つあります。それぞれ特徴が異なるため、主治医と相談しながら適切な方法を選択することが大切です。
以下では、胆嚢がんの主な治療法と特徴をまとめました。
外科手術
胆嚢がんが切除可能と判断された場合、第一の選択肢となるのが外科手術です。病変を適切に取り除ければ、根治の可能性が高くなるとされています。
しかし、外科手術は患者さんへの負担が大きいため、体の状態によっては手術が適用できないかもしれません。また、がんが遠隔転移している場合や広範囲に広がっている場合も、切除が困難となるため、他の治療法を選択せざるを得ない場合があります。
外科手術の前には、たまった胆汁の流れを確保するための胆道ドレナージや、術後の肝不全を予防する目的で、手術後に残る肝臓を事前に肥大させておく門脈塞栓術が行われることもあります。
薬物療法
薬物療法は、抗がん剤を投与することでがんの進行を抑えたり、症状を緩和したりする治療法です。
胆嚢がんでは、ゲムシタビンやシスプラチンなどの抗がん剤を単体もしくは複数を組み合わせて使用します。薬物療法のみで胆嚢がんを根治させることは難しいため、外科手術できない場合や、外科手術後の再発防止を目的に採用されるのが一般的です。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーの放射線を照射し、がん細胞を破壊する治療法です。
前述した薬物療法と同じく、胆嚢がんによる症状を軽減したり、術後の再発を防いだりすることを目的に採用されます。また外科手術が難しい局所進行がんの縮小を目指す際にも放射線療法が用いられる場合があります。
薬物療法との併用で相乗効果が期待されますが、胆嚢がんに対する効果は現時点で十分に証明されていないため、標準的な治療としては用いられません。
免疫細胞治療
免疫細胞治療は、患者さん自身の免疫力を活性化し、がん細胞を攻撃させる治療です。人には元々、NK細胞やキラーT細胞など、がん細胞を攻撃する免疫が備わっており、これらを強化することによってがんの治療効果が期待できます。
免疫細胞治療の特徴は、他の治療に比べて患者さんの体への負担が少ないことです。外科手術のような開腹を行うこともなく、薬物療法や放射線療法のように正常な細胞を傷つける心配も少ないため、副作用のリスクを抑えられます。
免疫細胞治療は全ての医療機関で提供されているわけではないため、病院選びにも注意が必要です。
まとめ:胆嚢がんについて正しい知識を持ち、適切な検査・治療を受けよう
胆嚢がんは、他のがんに比べると罹患率はさほど高くありませんが、初期の段階では自覚症状がほとんどないケースが多く、知らない間に進行している事例も珍しくありません。
胆嚢がんに限らず、がんは早期発見・早期治療が根治につながる確率を高めるため、定期的な検診を受けることが重要です。不調が長引いている場合は医療機関を受診することをおすすめします。また胆嚢がんの治療法は複数あるため、主治医と相談しながら適切な方法を模索していきましょう。
瀬田クリニック東京では、患者さんの免疫機能やがん細胞の免疫的特性を診断した上で、複数の免疫細胞治療から適切なものを選ぶ個別化医療を提供しています。一人ひとりに適切な治療法を選択すれば、より効率的かつ効果的ながん治療を目指せます。
「できるだけ体に負担の少ない治療法を選びたい」「最新の免疫細胞治療に関心がある」方は、瀬田クリニック東京までお気軽にご相談ください。
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