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免疫細胞治療の治療効果に関するエビデンス(科学的根拠)について

免疫細胞治療の有効性のエビデンスを示している臨床研究は国内外に数多く存在し、がんの免疫療法を専門とする数多くの医師や研究者の手によって国内外で幅広く行われています。その中で治療に関する安全性や有効性のエビデンスは数多く報告され、学会や世界的な学術誌でも発表されています。
瀬田クリニックグループにおいても、1999年の開院当初より大学病院等と共同で臨床研究を行い、有効性を示す数多くの研究結果を得ています。その結果は、論文や学会などでも発表しています。

 免疫細胞治療に関する、最高位のエビデンスレベルの論文が2016年に報告されました。

Aという治療はエビデンスが「ある」、Bという治療はエビデンスが「ない」、といった議論がなされることがありますが、エビデンスはそういった単純な二元論で語れるものではありません。エビデンスのレベルはその信頼性などに基づき、高いものから低いものまで複数段階で評価されます。

社団法人日本医療機能評価機構がまとめた「診療ガイドライン作成の手引き2014」によれば、エビデンスは次の7段階に分けられます。上にあるものほど、偏りのない信頼性の高いエビデンスであるとされています。

エビデンスのレベル エビデンスの内容
ランダム化比較試験を元に、複数の研究データを検証して結論を導き出したエビデンス
1つ以上のランダム化比較試験によるエビデンス
非ランダム化比較試験によるエビデンス
Ⅳ a 分析疫学的研究(コホート研究)によるエビデンス
Ⅳ b 分析疫学的研究(症例対照研究、横断研究)によるエビデンス
記述研究(症例報告やケースシリーズ)によるエビデンス
患者データに基づかない、専門委員会や専門家個人の意見によるエビデンス

国立がんセンター情報サービスの記載を元に作成(http://ganjoho.jp/med_pro/med_info/guideline/guideline.html

免疫細胞治療に関しても、ランダム化比較試験という、客観的に治療効果を評価するための研究試験により有効性を示す論文がこれまで発表されてきました。複数のランダム化比較試験を検証して結論を導き出す、エビデンス分類では最高位の「Ⅰ」にあたる論文を紹介します。「JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY」という、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の機関誌であり、世界でもっとも権威のあるがん治療に関する学術誌に2016年に発表された論文(以下)です。

Efficacy of Tumor Vaccines and Cellular Immunotherapies in Non-Small-Cell Lung Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis

この論文では、過去に報告された肺がんに対する免疫細胞治療やがんワクチンなど18の免疫療法に関し、ランダム化比較試験(対象患者数6,756人)を行った結果をまとめて解析しています。

「免疫細胞治療には有効性のエビデンスがない」というのは間違い。
従来医薬品と同様のエビデンスレベルの研究も発表されている。

同論文の中で、瀬田クリニックグループで実施しているものと同様の免疫細胞治療であるアルファ・ベータT細胞療法や樹状細胞ワクチンが行われました。解析の結果は、免疫細胞治療やがんワクチンによって病気の進行が抑えられ、生存期間が延長する、さらにはがんワクチンより免疫細胞治療がより有効であると結論づけられています。

繰り返しますが、この論文はランダム化比較試験など複数の研究データを用いるもので、エビデンスレベルはもちろん最高位の「Ⅰ」ということになります。

 新しい治療領域であるがゆえに、従来の医薬品の基準による比較試験が困難

その他、免疫細胞治療に関する臨床研究は、瀬田クリニックグループで行われたものを含め、国内、国外で広く行われてきました。有効性を示す結果が得られた研究も数多くありますが、その多くはランダム化比較試験ではありません。これらはエビデンスレベル分類では「III」までということになります。

免疫細胞治療にはエビデンスがないとご批判を頂くのは、このエビデンスレベルの問題であると考えます。

抗がん剤など公的保険が適用されている従来の医薬品の多くは、医薬品としての承認を得るための治験という過程の中でランダム化比較試験を行い、上記エビデンス分類では「Ⅱ」以上の有効性が証明されています。一方、瀬田クリニックグループでは、新しい領域の医療であるがゆえに、残念ながらレベルⅡ以上のランダム化比較試験を実施するまでに至っておりません。その点に関し、当院に対しご批判をいただいているものと思われます。

当院でランダム化比較試験を実施できていないのは、従来の医薬品とは違う、一人ひとり性質の違う細胞を用いる細胞医療ならではの比較試験の難しさや、小さな医療機関であるがゆえに大規模な比較治験に掛かる費用を用意できなかったことなど様々な理由があります。

 当院はプレシジョン・メディスンの考え方に基づき、実際の医療現場発のデータを用いてエビデンスの構築を行っています。

しかし、免疫細胞治療を健全に普及させるためには有効性の証明が欠かせません。
よって、私たちは「大量の患者さんを集め、あらかじめ決められた試験デザインに沿って行う」従来のランダム化比較試験とは違うアプローチで治療の有効性証明(エビデンス)を積み重ねてきました。

その手法とは、決められた試験デザインの下でデータを集めるのではなく、「臨床現場で通常の治療を行った上で、その治療のデータを収集し、解析する」というものです。

このように医療現場から得られた実際の治療データを解析する手法は、昨今のプレシジョン・メディスン(=患者さんの個人レベルで最適な治療方法を分析・選択し、それを施すこと)の考え方において注目されています。プレシジョン・メディスンの概念は2015年1月にオバマ前米国大統領の一般教書演説で発表され世界的にも注目を浴びていますが、米国ではその概念に基づき、「医療がより個別化され、患者さん個々に最適な医療を開発するためには、伝統的な大規模なランダム化比較試験という手法には限界がある。臨床現場から得られた、個々で違う実際の治療データを解析する手法を推進すべきだ」とする法案が成立しています(出典:Using Real-World Evidence to Accelerate Safe and Effective Cures/ Bipartisan Policy Center

繰り返しになりますが、従来のランダム化比較試験は、あらかじめ決められた試験デザインのもとで同一医薬品を大量の患者さん群に投与し、投与しなかった大量の患者さん群と比較してその差を検証・評価するものです。もちろん、このランダム化比較試験も決して否定されるものではありませんが、一方、症状も病態も違う患者さん一人ひとりに最適化された医療を開発する上では、個々の違いが反映されない大規模データを解析する手法では限界があるとも考えられます。

そうしたことから、患者さん個々で違うデータを実際の医療現場から収集・蓄積し、分析を推進していこうという考え方が米国で進んでいます。医療現場発のデータはReal World Evidence(リアルワールドエビデンス)と呼ばれ、今後、プレシジョン・メディスンを推進する上で欠かせないデータになると考えられます。当院もこの考え方に基づき、開院以来約20年間で得られた貴重な治療データ=リアルワールドエビデンスの解析研究を継続して参ります。

そして他方では、従来のものとは全く違う、免疫細胞治療にふさわしい新しい試験デザインによるエビデンス構築のため、臨床研究の方法論を模索して参りました。最近では、免疫療法特有の機序やがんに対する免疫監視機構に即した試験デザインのあり方を議論する厚生労働省医薬品等審査迅速化事業費補助金「革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業」にも参画し、私たちの意見も述べさせていただきました。

法律に基づく治療提供

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