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脾臓はがんにならない?「癌」と「がん」の違いや、脾臓にできるがんの種類、検査・治療法などを解説

脾臓はがんにならない?「癌」と「がん」の違いや、脾臓にできるがんの種類、検査・治療法などを解説

投稿日:2026年06月26日

2026年06月26日

「脾臓(ひぞう)はがんにならない」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。がんは胃・大腸・肺・膵臓・乳房などさまざまな部位にできますが、本当に脾臓はがんにならないのでしょうか?

本記事では、脾臓のがんについて疑問や不安を感じている方へ向けて、脾臓のがんが発生するかどうかを解説します。また脾臓に発生する主ながんの種類、検査方法、主な治療法についても紹介します。脾臓のがんについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

<この記事で分かること>

  • ● 脾臓にはがんの発生源となる上皮細胞がないため、医学的な意味での「癌(上皮細胞がん)」は発生しない
  • ● ただし、悪性リンパ腫や血管肉腫などの「がん(悪性腫瘍)」になるリスクはあるため、注意が必要
  • ● 脾臓のがんの治療法は、外科手術や薬物療法、放射線療法、免疫細胞治療などの選択肢がある

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脾臓のがんは存在する? 医学的な定義について解説

結論から先に述べると、医学的な狭義の定義における「癌」は、基本的に脾臓から発生することはありません。一方で、悪性腫瘍全体を指す「がん」については、脾臓にも発生する可能性があります。

より分かりやすく説明するために、以下では「癌」と「がん」の違いと、脾臓という臓器について解説します。

「癌」と「がん」の違い

医学用語としての「癌」は、上皮細胞から発生する悪性腫瘍を指します。上皮細胞は、体の表面を覆う皮膚や、胃や腸などの臓器の粘膜を作る細胞の総称です。肺がんや胃がん、大腸がん、乳がんなど、一般的に知られる「5大がん」の多くは、この上皮細胞から発生するため、医学的には「癌」と漢字で表記されます。

一方、上皮細胞以外(骨や筋肉など)から発生する悪性腫瘍は、医学的には「肉腫(にくしゅ)」と呼ばれます。例えば、骨に発症する骨肉腫や、筋肉にできる平滑筋肉腫などです。これらは上皮細胞由来の悪性腫瘍ではないため、狭義の「癌」とは区別されています。

さらに、これらの塊を作るがん(固形がん)とは別に、白血球やリンパ球などの血液細胞から発生する「血液のがん(造血器腫瘍)」もあります。代表的なものは白血病や悪性リンパ腫です。

つまり「癌」は、医学的には上皮細胞由来のがんに限って使用されるのが一般的です。ひらがなで「がん」と書く場合は、肉腫や血液のがんも含めた「悪性腫瘍全体」を指します。

以上の違いを踏まえて、脾臓という臓器の特徴を解説します。

脾臓の概要と、がんにならないといわれる理由

脾臓は左上腹部、胃のちょうど後ろ側に位置する臓器です。役目を終えた古い赤血球を壊したり、脾臓の中に存在するリンパ球や形質細胞によって、病原菌などと戦う抗体を作ったりする免疫機能を担っています。

脾臓は、胃や肺などと同じカテゴリの臓器に分類されるものの、主にリンパ球やマクロファージなどの造血・免疫系細胞で構成されています。胃や腸のように、粘膜を作るような上皮細胞は基本的に存在しません。

前述の通り、医学用語としての「癌」は上皮細胞から発生する悪性腫瘍を指します。そのため、その発生源となる上皮細胞を持たない脾臓からは「癌」が発生することは基本的にない、ということになります。

以上が、一般的に「脾臓はがんにならない」といわれる理由です。

脾臓の「癌」は発生しないが「がん」のリスクはある

脾臓にいわゆる「癌」はできないと説明しましたが、それはあくまでも狭義の「上皮細胞がん」に限った話です。血液のがんの一種である悪性リンパ腫や、血管から発生する血管肉腫といった悪性腫瘍は、脾臓にもまれに発生する可能性があります。

つまり、医学用語でいう「癌」には該当しないものの、悪性腫瘍全般を指す「がん」は、脾臓から発生する場合があるということです。「脾臓はがんにならない」という言葉は「脾臓には悪性腫瘍ができない」という意味ではないため、注意しましょう。

脾臓にできる主ながんの種類

脾臓に発生するがんには、いくつか種類があります。ここでは、代表的な悪性リンパ腫と血管肉腫、転移性腫瘍の特徴と、それぞれの症状についてまとめました。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん化して、増殖を繰り返す病気です。脾臓はリンパ球が集まる臓器であるため、脾臓自体から発生する原発性の場合と、全身のリンパ節から広がってくる場合があります。

悪性リンパ腫は、初期の段階では自覚症状が少ないです。しかし、進行すると脾臓が腫れて大きくなるため、左上腹部のしこりや圧迫感が生じることがあります。また胃が圧迫されることで、少し食べただけで満腹になったり、食欲不振が現れたりする患者さんもいるようです。

その他、原因不明の発熱や寝汗、体重減少が見られることもあります。

血管肉腫

血管肉腫は、血管の内側を覆う細胞から発生する悪性腫瘍です。脾臓でも発生することはあるものの、病気そのものは極めてまれです。ただし、血管肉腫は進行が早く、転移や再発がしやすいがんとして知られています。

主な症状は、脾臓が急速に大きくなることによる、左上腹部の痛みや腹部膨満感です。また腫瘍の中で出血が起きたり、血液中の血小板が破壊されたりすることで、貧血や出血したときに止まりにくくなるなどの症状が出る患者さんもいます。まれに、大きくなった腫瘍が破裂し、大出血につながる恐れがあるため、異変を感じたら早急に受診することが大切です。

転移性腫瘍

転移性腫瘍とは、他の臓器にできたがん(原発巣)が、血液やリンパ液の流れに乗って転移したものです。脾臓は免疫の働きが強く、他の部位に比べるとがんが転移しにくいとされています。しかし、転移のリスクはゼロではありません。

がんが脾臓に転移すると、左上腹部の痛みや不快感が現れることがあります。自覚症状はないものの、検査の結果、転移が判明するケースもあるようです。

脾臓のがんの検査方法

脾臓にがんの疑いがある場合、良性か悪性かを判断するためにいくつかの検査が行われます。ここでは、主な検査方法について解説します。

血液検査

血液検査は患者さんの血液を採取し、白血球や赤血球、血小板などの値や内臓の機能などを調べる方法です。また腫瘍マーカーと呼ばれる数値をチェックすることもあります。特に悪性リンパ腫が疑われる場合「LDH(乳酸脱水素酵素)」や「sIL2-R(可溶性インターロイキン2受容体)」といった数値の上昇が見られるケースが多いとされています。

ただし、血液検査の数値が正常であっても病気が隠れている場合があるため、画像診断と組み合わせて判断されるのが一般的です。

画像診断

画像診断は、超音波(エコー)やCT検査、MRI検査を使って腫瘍の有無、形、周辺の臓器への影響などを調べる方法です。超音波検査では、体の表面に超音波を当てて内部を観察します。中には、健康診断などで、偶然がんが見つかる患者さんもいます。

CT検査は、X線を使って体の断面を撮影する検査です。腫瘍への血流の状態や、全身への転移の有無などを詳しく調べることができます。

MRI検査は、磁気を使って撮影する検査です。CT検査とは異なり、腫瘍の内部構造などをより詳細に見極めるために行われます。

ただし、脾臓の場合、これらの画像診断だけでは「良性か悪性か」を区別しにくいとされています。

生検

生検とは、腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で細胞を詳しく調べる検査(確定診断)です。内視鏡検査の際に組織を採取するか、あるいは超音波検査などを行いながら細い針を刺して組織を採取する方法が一般的です。

ただし、脾臓は血流が豊富なことから、出血のリスクを考慮した方が良いでしょう。針を刺すことで止血が困難になったり、がん細胞がお腹の中に散らばったりする恐れがあるためです。

脾臓の場合は、基本的には画像診断が優先されます。生検を行うかどうかは、患者さんの状態やリスクを考慮して慎重に検討されることが多いでしょう。

摘出術

診断における摘出術とは、腫瘍を外科的な手術で摘出し、病変を顕微鏡などで検査する方法のことです。かつては開腹手術が主流でしたが、現在は患者さんの体への負担が少ない「腹腔鏡手術」が行われるケースも増えています。

なお、画像診断や血液検査を行っても良性か悪性かの判断が難しいときや、悪性腫瘍の疑いが強いときには、該当する臓器を全て摘出して調べることもあります。これは、診断(病理検査)と治療(腫瘍の切除)を兼ねた方法です。脾臓の場合は、出血や破裂のリスクがある血管肉腫などが疑われるときなども、選択肢となるでしょう。

脾臓のがんの主な治療法

脾臓にできたがんの主な治療法を4つご紹介します。

外科治療

外科治療は、メスや腹腔鏡などを使って病変を物理的に取り除く手術を指します。がんや悪性腫瘍における代表的な治療法で、根治を目指せるところが特徴です。

ただし、外科治療は患者さんへの身体的負担が大きく、回復にある程度の時間を要します。患者さんの状態によっては、手術ができないケースもあるでしょう。また体に広がった腫瘍については手術が難しいため、転移性腫瘍などの場合は他の治療法が検討されます。

さらに、脾臓の外科治療後は免疫機能が落ち、さまざまな感染症リスクが高まる点にも注意が必要です。担当医から、肺炎球菌やインフルエンザなどのワクチン接種を勧められることもあるでしょう。

薬物療法

薬物療法とは、がんに効果的な薬を投与して進行を抑えたり、症状を緩和したりする治療法です。悪性腫瘍の場合は抗がん剤を用いて治療します。

外科治療が局所的な治療法であるのに対し、薬物療法は全身に作用するため、腫瘍が他の部位に広がっているケースに有効とされています。そのため、外科治療後の再発防止に適用されたり、放射線治療と併用したりするケースも多いところが特徴です。

ただし、抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞も攻撃してしまうため、副作用に悩まされる患者さんも多くいます。

放射線療法

放射線療法とは、腫瘍のある部分に放射線を当て、がん細胞の死滅を目指す治療法です。手術と同じ局所的な治療法ですが、開腹手術などを伴わない分、患者さんへの体の負担は少ないといわれています。

放射線はがん細胞のように活発に細胞分裂を行う細胞に反応する性質を持つ一方、正常な細胞にはあまり影響を与えません。

ただし、放射線治療による副作用が起こる可能性もあります。治療中や治療直後に症状が出ることもあれば、治療が終わってから数カ月後に副作用が出てくるケースもあるため、注意が必要です。

免疫細胞治療

免疫細胞治療は、患者さん自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で攻撃力を高めたり数を増やしたりしてから、再び体内に戻してがんを攻撃させる治療法です。外科手術、薬物療法、放射線療法以外の選択肢として、近年注目を集めています。

免疫細胞治療は患者さんの体に備わっている免疫の力を利用するため、重篤な副作用が少ない点が大きな特徴です。また全身に作用するため、手術で取りきれない微細ながんや、転移・再発の予防にも効果が期待されています。

さらに、免疫細胞治療は基本的に、抗がん剤や放射線治療との併用が可能です。患者さんによっては、QOL(生活の質)の維持を目指して免疫細胞治療を選択するケースもあります。

まとめ:脾臓における「癌」と「がん」の理解を深めよう

脾臓には、基本的に「癌(上皮細胞がん)」の発生源となる上皮細胞が存在しないことから、狭義の「脾臓にはがんはできない」といわれることがあります。

しかし、脾臓に「がん(悪性腫瘍)」が発生しないわけではありません。実際に、悪性リンパ腫などに代表される「血液のがん」や、血管肉腫などの「悪性腫瘍」になる例が報告されています。早期発見・早期治療につなげるためにも、定期的に健康診断や人間ドックなどを受けましょう。気になる症状が出たときは、医師に相談することも大切です。

脾臓のがんを含めて、がんの治療法には、複数の選択肢があります。外科手術や薬物療法、放射線療法の他、患者さん自身の免疫の力を利用する「免疫細胞治療」を選ぶ患者さんもいます。興味がある方は、対応している医療機関に相談してみると良いでしょう。

瀬田クリニック東京では、患者さんの免疫機能やがん細胞の免疫的特性を診断した上で、一人ひとりに合った治療法を提案する個別化医療を実施しています。自分に合うがん治療に興味がある方は、ぜひ瀬田クリニック東京にご相談ください。

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