歯肉がんとは、歯ぐきにできるがんのことです。歯肉がんを発症した場合、どのような症状が出るのでしょうか。
本記事では歯肉がんの基本情報や原因、症状、口内炎との見分け方、治療法などを解説します。歯肉がんになりやすい方の特徴もご紹介するので、ご自身やご家族が該当しないかチェックし、早期発見・治療にお役立てください。
<この記事で分かること>
- ● 歯肉がんは歯肉や歯槽粘膜といった歯ぐきにできる悪性腫瘍
- ● 原因は、喫煙習慣や飲酒習慣、口内の衛生状態の悪化、歯肉炎などの炎症、歯の補綴物(ほてつぶつ)や矯正器具の不適合など
- ● 初期は自覚症状がほとんどないが、進行すると歯ぐきの腫れや痛みが生じ、さらに悪化すると出血や悪臭を伴うことがある
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歯肉がんとは?
歯肉がんとは、歯ぐき(歯肉や歯槽粘膜)に発生する悪性腫瘍のことです。
下顎の前歯を除く臼歯部に多く発症しますが、上顎に発症するケースもあります。口腔内に悪性腫瘍ができる口腔がんの中では、舌がんに続いて多いがんです。ただし、口腔がん自体がそれほど発症率が高いものではないので、比較的まれながんといえます。
歯ぐきにできる歯肉がんは、すぐ下に顎の骨があるため、浸潤しやすい傾向にあります。早期に発見した場合でも、顎の骨の一部は切除しなければなりません。顎の骨を切除すると、その部分にある歯も失うことになります。顎の骨の切除範囲が大きくなると、輪郭が変わって見た目に変化がある他、食事を取ることに支障が出てしまうこともあります。
歯肉がんの原因
歯肉がんを発症するはっきりとした原因は、解明されていません。しかし、その他の口腔がん同様、以下のような要因が関係していると考えられています。
- ● 喫煙習慣
- ● 飲酒習慣
- ● 不衛生な口腔環境
- ● 歯肉炎などの炎症
- ● 詰め物や被せ物といった歯の補綴物(ほてつぶつ)や矯正器具の不適合
特にリスクが高い因子として考えられているのが喫煙です。次いで、飲酒も大きく影響していると考えられていますが、喫煙・飲酒習慣がない方でも、口腔内の衛生状態が悪ければ、発症のリスクがあります。
また歯肉がんを引き起こす可能性がある前がん病変として、口腔内の粘膜が白く変化する「口腔白板症」が挙げられます。
歯肉がんの症状
歯肉がんは、初期段階では自覚症状がほとんどないことが特徴です。口腔内に発生するので、よく観察すると口内炎のような病変が見つかることもありますが、痛みが少ないため、気付かないまま進行するケースも少なくありません。
進行すると、歯ぐきに腫れが生じる他、歯の痛みを感じることもあります。さらに進行して腫瘍が肥大化すると、歯ぐきからの出血や悪臭を伴うこともあります。腫瘍が大きくなるのに比例して痛みも強くなり、出血しやすくなるのが特徴です。
また歯ぐきの他にも以下のような症状が出ることがあります。
- ● 口腔内の粘膜や舌が白くなる
- ● 舌の赤みが強くなる
- ● 舌がただれる
- ● 舌の表面がざらざらする
- ● 舌にしこりができる
がん組織が顎の骨に浸潤すると骨の安定性が損なわれるため、歯がぐらついたり自然に抜け落ちたりすることも珍しくありません。腫瘍が外側に広がると顔が腫れ、内側に広がると口が開きにくくなります。
歯肉がんと口内炎の見分け方
前述した通り、歯肉がんは口内炎に似た病変ができることがあります。歯肉がんの病変と口内炎には、どのような違いがあるのでしょうか。
ここからは、歯肉がんと口内炎の見分け方を解説します。
治癒までの期間
歯肉がんか口内炎かを見分けるには、治癒までの期間が一つの参考になります。
口内炎の場合、2週間以内には治癒するのが一般的です。2週間たっても口内炎が治らない場合、歯肉がんを発症している可能性があります。歯肉がん以外の異常が起きていることもあるので、病院を受診することをおすすめします。
ただし、歯の補綴物や矯正器具が合っておらず、口内炎ができた場合、常に器具が歯ぐきなどに当たっているため、2週間たっても口内炎が治らないことがほとんどです。この場合、適切な調整をすれば、時間の経過とともに口内炎は治癒します。
病変部の状態
初期の段階で、一般の方が歯肉がんと口内炎を見分けることは難しいですが、病変部の状態で歯肉がんかどうかを見分ける手がかりとなることもあります。
例えば、歯ぐきにできた口内炎のようなものが大きくなったり、硬くなったりしている場合、歯肉がんの可能性が高いです。口内炎の場合、このような状態にはなりません。
また口内炎は発生した箇所に局所的な赤みや膨らみが見られるのが特徴です。一方、歯肉がんの場合、広範囲に赤みや膨らみが広がるケースもあります。広範囲に症状があり、その部分にレースのような白い模様ができたり、赤みが強くなったりしている場合は、歯肉がんを発症している可能性が高いと考えられます。
飲食のしやすさ
口内炎ができる箇所にもよりますが、一般的に口内炎ができたとしても食べ物や飲み物を飲み込むことに支障はあまりありません。
一方、歯肉がんの場合、進行状態によっては、口をスムーズに動かしづらくなるため、物を食べたり飲んだりしにくいと感じることがあります。この場合、見た目にはそれほど大きな変化がない場合でも、広範囲に浸潤している可能性が高いです。
歯肉がんになりやすい人の特徴
歯肉がんになりやすい人には、どのような特徴があるのでしょうか。ご自身やご家族が当てはまらないかをチェックし、該当する場合は口の中の状態を小まめに観察して、早期発見・予防につなげましょう。
喫煙習慣がある
喫煙習慣がある方は、歯肉がんになりやすい傾向にあります。
前述した通り、歯肉がんの明確な原因は分かっていませんが、喫煙は危険因子の一つです。たばこに含まれるタールには、多くの発がん性物質が含まれていることが知られています。口腔がんを発症する方の多くは、喫煙者もしくは受動喫煙者とされているので、喫煙者の方はもちろん、周りに喫煙者がいる方も注意が必要です。
電子たばこは紙巻きたばこよりも有害物質が少ないとされていますが、完全に含まれていないわけではありません。
歯肉がんやその他のがんを予防するには、禁煙が効果的です。自力での禁煙が難しい場合、禁煙外来の受診も検討してみると良いでしょう。
飲酒習慣がある
飲酒習慣がある方も、歯肉がんを発症するリスクが高いです。
アルコールやアルコールを分解する際に発生するアセトアルデヒドは、発がん性物質として知られています。そのため、飲酒習慣がある方は、そうでない方に比べて、歯肉がんを含めた口腔がんの発症率が高いことが、さまざまな研究で明らかになっています。
飲酒習慣がある方は、飲酒量を抑えるようにしましょう。また少量で酔ってしまう方や体調が悪くなる方は、無理な飲酒を控えることをおすすめします。
歯磨きがきちんとできていない
歯磨きがきちんとできていない方も、歯肉がんを発症するリスクが高くなります。
前述した通り、口腔環境の悪化は、歯肉がんを発症する原因の一つです。歯磨きが不十分だと、歯垢や歯石の蓄積で口の中が汚れ、歯肉炎や口内炎ができやすくなります。すると、潰瘍ができやすくなってしまい、がん化するリスクも高くなってしまうのです。
朝晩や食後には歯磨きを習慣化し、口腔環境を整えましょう。
補綴物や矯正器具などで刺激を感じる
補綴物や矯正器具、入れ歯などが合っておらず、慢性的に刺激を感じている方も、歯肉がんになりやすい傾向にあります。
また補綴物が取れたまま放置していたり、虫歯で歯が欠けた状態をそのままにしていたりする場合も、口腔内の炎症が続きやすく、歯肉がんのリスクが高くなるので注意が必要です。
このような刺激や炎症により、痛みや違和感が続く方、口内炎が繰り返しできる方は、我慢せず早めに歯科を受診して調整を受けましょう。補綴物が外れた場合や虫歯ができた場合も、放置せず適切な治療を受けることが大切です。
歯肉がんの検査方法
歯肉がんは目視で異常を確認しやすいため、まず医師による視診と触診で初期診断が行われることが一般的です。確定診断には、病変部分の組織を少量採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を詳しく調べる病理検査が必要です。
検査の結果、歯肉がんと診断された場合は、CT検査・MRI検査・PET検査といった画像検査によって、がんがどこまで広がっているのか、浸潤や転移はあるのかなどが確認されます。
歯肉がんの治療法
歯肉がんの主な治療法は、標準治療と呼ばれる以下の3つです。
- ● 手術療法
- ● 放射線療法
- ● 薬物療法
早期の歯肉がんでは、放射線療法のみで治療を行う場合もありますが、多くの場合は手術療法による病変部の切除が必要です。がんが広範囲に広がっている場合には、下顎骨の一部または全体を切除することもあります。またリンパ節への転移が認められる際には、頸部のリンパ節や周辺組織をまとめて切除する「頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)」が行われることもあります。
外科療法で失われた骨や組織は、患者さん自身の骨や組織を用いて、再建術を行うのが一般的です。ただし、場合によってはチタンプレートなどの人工材料を使用するケースもあります。
また歯を失った場合には、入れ歯またはインプラントによって機能を取り戻すことが可能です。
近年「第四の治療法」として注目を集めている免疫細胞治療が、歯肉がんの治療に適用される場合もあります。この治療法は、患者さん自身の免疫細胞を採取し、それらを体外で増殖・活性化させ、がん細胞を攻撃する力を高めた上で体内に戻すというものです。
自分の細胞を利用するため、副作用が比較的少ないのが特徴で、歯肉がんをはじめとした口腔がん全般の新しい治療法として期待されています。
歯肉がんは早期発見で適切な治療を
歯肉がんは発症率がそれほど高くないものの、50歳以上の男性を中心に見られるがんです。明確な原因は分かっていませんが、喫煙や飲酒、口腔環境の悪化などが影響していると考えられているので、禁煙や節酒、適切な歯磨き習慣を心掛け、予防を行いましょう。
初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、口内炎がなかなか治らない、歯ぐきの腫れが広がるなど、いつもと違う異変を感じた場合は、できるだけ早く医療機関を受診することをおすすめします。
歯肉がんの治療には標準治療の他、近年注目を集めている免疫細胞治療が適用されることもあります。免疫細胞治療は、患者さん自身の免疫細胞を用いることで副作用を抑えられる傾向があり、標準治療との併用も可能です。免疫細胞治療やセカンドオピニオンをご希望の方は、瀬田クリニック東京までお気軽にご相談ください。
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