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すい臓がんの患者会「すい臓がんカフェ+」で後藤理事長が免疫療法の説明を行いました。

2019年6月18日

2019年6月2日(日)、すい臓がんの患者さんとご家族のための患者会「すい臓がんカフェ+」にお招きいただき、後藤理事長が免疫療法についての講演を行いました。

すい臓がんの患者会「すい臓がんカフェ+」の様子

今回はそのご報告をさせていただきます。

まずは患者会「すい臓がんカフェ+」のご紹介から・・・

この会は、10年近くすい臓がんと闘い2度の再発再手術を乗り越えた患者さん「ハマリョウ」さんが主宰され、同じくすい臓がんと闘っている患者さん・家族同士の情報交換の場として定期開催されています。詳しくはこちらをご覧ください。

この会では様々な講師を招いてがん治療の勉強会も行っており、特定の治療に偏らず広く様々な治療法を中立な立場で紹介しています。今回はその一環で当院の後藤理事長をお招きいただき、免疫療法に関する講演をさせていただくことになりました。「がん免疫療法 ―茸の多糖類(レンチナンなど)、細菌製剤(丸山ワクチン、ピシバ ニールなど)から 免疫チェックポイント阻害剤、ネオアンチゲンワクチンまでー」という題で講演しました。

6月2日(日)、休日の午後の開催にもかかわらず、会場となったホール(神奈川県横浜市)は満席の70名近くの患者さんがお集まりになりました。

すい臓がんの患者会「すい臓がんカフェ+」の様子
すい臓がんの患者会「すい臓がんカフェ+」の様子

まずは主宰者のハマリョウさんから当院について紹介いただいたあと、後藤理事長による講演がスタート。

すい臓がんの患者会「すい臓がんカフェ+」の様子

以下、少しだけ講演内容をご紹介させていただきます。

最初に免疫細胞治療の種類や歴史など治療法の概要について説明をしました。
下記は1994年に後藤理事長が学術誌に載せた論文の抜粋です。既に25年前から様々な免疫療法に取り組んでいました。
それを今日まで発展、進歩させてきました。

複合免疫療法(バイオ治療)が奏功した再発子宮頚がんの症例報告

次に免疫応答の作用機序や具体的な治療法について紹介。患者さん個々に最適な治療を選択するための免疫機能検査(FCM検査)については、以下の通り検査結果の具体例をお示ししました。

免疫機能(FCM);体内の免疫状態を正確に診断する

その後は治療の具体的な症例についても紹介。下記は、免疫細胞治療の単独治療のみで寛解に至った例です。

免疫細胞治療単独治療による寛解例

また、名古屋大学との共同研究として実施した、進行したすい臓がんに対する抗がん剤(ゲムシタビン)と免疫細胞治療との併用治療についても紹介しました。

切除不能局所進行膵がんに対する自己樹状細胞腫瘍内局注療法第1相試験―名古屋大学との共同研究―

その他、免疫細胞治療と免疫チェックポイント阻害剤併用療法やネオアンチゲン樹状細胞に関する臨床研究についても紹介。

UMIN-CTR 臨床試験登録情報の閲覧UMIN-CTR 臨床試験登録情報の閲覧

さらには、ここでは具体的に記載しませんが、すい臓がんを中心に当院で治療を受けた患者さんを多数、紹介し、約一時間、内容も盛りだくさんの講演会となりました。

その後は、会場の形を変えて患者さん同士の情報交換会。

お互いの治療法に関する情報やそれぞれの治療の悩みなどを共有されていました。

情報交換会

情報交換会の片隅では、患者さんやご家族が後藤理事長に個別にじっくりと質問する姿が見られました。

情報交換会情報交換会

この会では、様々な治療法について勉強したり情報交換がされていますが、
会のコンセプトとして、

「最終的に治療法を決めるのは患者ご本人です」

を、掲げられています。

昨今、免疫チェックポイント阻害剤、ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン療法、CAR-T細胞療法など様々な治療法が登場する中、患者さん自身が治療法を選ぶための情報収集力や治療を見極める目が益々求められているといえるでしょう。

今回はハマリョウさんのお招きにより免疫細胞治療を中心に情報提供をさせていただきましたが、患者さん・ご家族の「正しい治療法選択」の一助となることを祈るばかりです。

「すい臓がんカフェ+」にお招きいただき、ありがとうございました!

がん免疫細胞治療について付記

がん免疫細胞治療とは、身体のなかでがん細胞などの異物と闘ってくれる免疫細胞を患者さんの血液から取り出し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育してから再び体内へ戻すことで、免疫の力でがんを攻撃する治療法です。この治療は患者さんがもともと体内に有している免疫細胞を培養・加工してがんを攻撃する点から、他の治療のような大きな副作用はなく、また抗がん剤や手術、放射線治療など他の治療と組み合わせて行うこともできます。治療の種類にもよりますが基本的には2週間おきに採血と点滴を繰り返す治療となります。当院では、治療に用いる細胞の違いや培養方法の違いにより、樹状細胞ワクチン療法、アルファ・ベータT細胞療法、ガンマ・デルタT細胞療法、NK細胞療法の四つの治療法を提供しています。

リスク・副作用について

免疫細胞治療は患者さん自身の免疫細胞を治療に用いるので、軽い発熱、発疹等が見られる場合がありますが、それ以外は重篤な副作用は見られず、身体への負担がほとんどありません。副作用が少ないため、生活の質、いわゆるQOL(=Quality of Life)を維持しながら治療を続けることも可能です。

費用について

治療にかかる費用は、1クール(6回~12回投与)実施の場合、治療法にもよりますが¥1,815,000~¥4,911,500が目安となります(初診料、検査費用等は除く)。

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