乳がんは、女性がかかりやすいがんの一つです。恐ろしい病気ではありますが、がんの中でも早期発見がしやすく、良好な経過をたどっている例も多くあります。
乳がんの予防や早期発見をするためには、正しい知識を身に付けるのが大切です。
本記事では、乳がんの特徴や基礎知識から、症状、原因、リスクを高める生活習慣まで詳しく解説しました。免疫細胞治療についても触れています。
無料

- 資料請求・お問合せ
当院の免疫療法に関するパンフレットを無料でお届けします。医師が免疫療法のよくある質問にお答えする小冊子付き。
詳しくはお電話やフォームからお申込みください。
- メールフォームはこちら
資料請求
乳がんの特徴と基礎知識
乳がんはとても身近ながんであり「女性の9人に1人が経験する」とされています(※)。男性が発症するケースもありますが、ほとんどは女性の患者さんです。
本項では、乳がんの特徴と基礎知識について解説します。
※参考:公益財団法人 日本対がん協会.「乳がんの基礎知識」.
https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_knowledge/%E4%B9%B3%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98 ,(参照2025-03-25).
乳がんの特徴
乳がんは、乳房にある「乳腺組織」に発生するがんの総称です。乳腺がある場所なら、どこにでも発生する可能性があります。実際には、乳がんの約50%は乳房の外側上方、約25%は内側上方に発生しています。
乳がんの多くが最初に転移するのは、脇の下にあるリンパ節です。画像診断で異常が見られなくても、転移が始まっていないとは限りません。そのため手術時には、転移のリスクが高いリンパ節のみを少し切除して転移の有無を調べる「センチネルリンパ節生検」が行われる場合があります。
※参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター.「乳房 Breast (C50)」p1.
https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/can_reg/hospital/pdf/breast2021.pdf ,(参照2025-03-25).
※参考:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター.「乳癌センチネルリンパ節生検について」.
https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/letter/050.html ,(参照2025-03-25).
乳がんの基礎知識
乳腺組織には母乳の通り道になる「乳管」と、母乳を作る「小葉」があり、どちらも乳がんの発生源になります。乳管がんと小葉がんの割合は95:5で、ほとんどが乳管がんです(※)。
乳がんの進行は、「非浸潤がん」と「浸潤がん」に大別されます。
- ●非浸潤がん:
乳管や小葉で発生した乳がん細胞が、組織の外に出ずとどまっているがん - ●浸潤がん:
乳がん細胞が乳管と小葉の外に広がってしまったがん
浸潤がんの分類は以下の通りです(※)。
分類 | 症状 |
---|---|
Ⅰ期 | しこりが2cm以下でリンパ節転移がない |
Ⅱ期 | しこりが2cm以上5cm以下、または脇の下のリンパ節に転移している |
Ⅲ期 | しこりが5cm以上で脇の下のリンパ節、胸骨のそばのリンパ節に転移がある |
Ⅳ期 | 他の臓器に遠隔転移がある |
また乳がんは「サブタイプ」と呼ばれる4つのタイプの分類があります。サブタイプを決定するのは、女性ホルモン受容体、HER2タンパク、Ki-67の3つの要素です。サブタイプごとにがんの特性が異なるため、がん細胞の検査を行って治療法を決定します。
- ●女性ホルモン受容体:
女性ホルモンと作用するタンパク質 - ●HER2(ハーツ―)タンパク:
細胞の増殖に関係しているタンパク質 - ●Ki-67:
がん細胞の増殖力の強さを示す指標
サブタイプ | 特徴 | |
---|---|---|
Luminal | Luminal A | 乳がん細胞に女性ホルモンとの受容体がある 主に内分泌治療(ホルモン治療)を行う |
Luminal B | Luminal Aの乳がんより増殖力が強く、再発リスクが高い | |
HER2 | 乳がん細胞にHER2タンパクが過剰に存在する 主に分子標的治療(HER2タンパクを抑える治療)を行う |
|
Luminal HER2 | 乳がん細胞に女性ホルモン受容体とHER2タンパクがどちらも過剰に存在する | |
トリプルネガティブ | 乳がん細胞に女性ホルモン受容体もHER2タンパクも存在しない 化学療法(抗がん剤治療)を行う |
※参考:東京医科大学病院.「乳がんの基礎知識」.
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/cancer/breast/knowledge.html ,(参照2025-03-25).
乳がんの症状と自己チェックのポイント
乳がんは、患者さん自身が乳房を見たり触ったりして気付く場合があります。小まめな自己チェックをして、異常を感じたらすぐに乳腺外科を受診しましょう。ただし、自覚症状が現れないまま進行する乳がんもあります。
本項では、乳がんの症状と自己チェックのポイントを解説します。
乳がんの症状
乳がんの主な自覚症状は以下の通りです(※)。
- ●乳房にしこりやくぼみができる
- ●乳頭や乳輪がただれる
- ●乳房が左右対象ではなくなる
- ●乳頭から暗赤色の分泌物が出る
これらの症状があるからといって、必ずしも乳がんとは限りません。乳腺症や線維腫瘍といった疾患でも、似たような変化が現れる可能性があるためです。良性か悪性かの判断は医師にしかできないため、異常に気付いたらすぐに乳腺外科を受診しましょう。
乳腺外科では「触診」「マンモグラフィー」「超音波検査」の検査を行います。異常が確認された場合は、細胞を直接採取して検査する「病理検査」で、乳がんか否かの判断をします。
※参考:東京医科大学病院.「乳がんの基礎知識」.
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/cancer/breast/knowledge.html ,(参照2025-03-25).
自己チェックのポイント
乳がんの早期発見には、定期的な自己チェックが欠かせません。毎月、タイミングを決めて行うのがおすすめです。
生理がある方は、乳房が柔らかい生理開始から1週間後が望ましいです(※)。閉経した方は、自己チェックする日を決めておきましょう。1日や月末など、区切りの良い日にすると忘れにくいです。
自己チェックは以下の手順で行います。
乳房の観察 | 鏡の前に立ち、頭の後ろで手を組んで、見た目の変化がないか観察する (くぼみやふくらみ、ただれ、変色、引きつれ、左右差、腫れなど) |
---|---|
立ったまま触れる | 人さし指から小指まで、4本の指先で「の」を書くように乳房をなで、しこりがないかを調べる |
乳頭をつまむ | 乳頭の根元をつまんで、分泌物が出ないかどうか調べる |
横になって触れる | 仰向けに寝て乳房に触れ、しこりの有無を調べる(背中の下に低めの枕や畳んだタオルなどを入れておく) |
前述の通り、乳がんは乳房外側の上方にできやすいため、念入りにチェックを行いましょう。入浴時にボディソープなどを付けて触れると、指がよく滑るため、小さなしこりを発見しやすくなります。
※参考:北海道 伊達市.「自分でできる乳がんの早期発見」.
https://www.city.date.hokkaido.jp/hotnews/detail/00001914.html ,(参照2025-03--25).
乳がんを引き起こす主な原因
乳がんは、女性ホルモンである「エストロゲン」と密接な関わりがあるがんです。女性のライフスタイルが多様化し、昔に比べてホルモン環境が変化したことが、乳がん増加の大きな原因とされています。
エストロゲンの影響による乳がんのリスク要因には、以下のものがあります(※)。
- ●初経年齢が早い・閉経年齢が遅い
(エストロゲンの影響を受ける期間が長い) - ●出産歴がない・初産年齢が遅い
(エストロゲンが止まる期間がない、または短い) - ●授乳歴がない
(授乳はエストロゲンのレベルを低下させる) - ●肥満
(肥満はエストロゲンを異常生産する原因となる)
また、次の要因に当てはまる場合も注意が必要です。
- ●家族の中に乳がんにかかった人がいる
- ●良性の乳腺疾患と診断された経験がある
しかし、当てはまる要因がないにもかかわらず、乳がんにかかった患者さんもいます。定期的な乳がん検診と自己チェックを忘れずに行いましょう。
※参考:公益社団法人 日本医師会.「乳がん検診 乳がんの原因」.
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/breast/cause/ ,(参照2025-03-25).
乳がんのリスクが高くなる生活習慣
乳がんの発生リスクは、以下の生活習慣と関連があります。
- ●肥満を引き起こす習慣
- ●飲酒
- ●喫煙
本項では、これらの生活習慣と乳がんの関係を解説します。
肥満を引き起こす生活習慣
前述した通り、肥満はエストロゲンが過剰に作られることが原因です。実際に、肥満度を示すBMIが上がるにつれて、乳がんのリスクも高まってしまいます。特に閉経後は、肥満によるリスクが顕著に上昇します。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められ、日本人の場合は25以上が肥満と判定される基準です(※)。
高カロリーな食事や食べ過ぎ、欠食などの乱れた食習慣は肥満を招きます。運動不足、ダイエットとリバウンドの繰り返しも同様です。定期的に体重と体脂肪率を測定し、肥満度をチェックしましょう。
※参考:厚生労働省.「肥満と肥満症」.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-009 ,(参照2025-03-25).
飲酒
過度な飲酒も乳がんのリスクを高める要因の一つです。アルコールの摂取量が増加するにつれて、リスクも高くなるといわれています。
厚生労働省によると、1日の適度なアルコール摂取量の目安は「純アルコールで約20g」です。これは日本酒で1合、ビールなら中ジョッキ1杯、ワインはワイングラス2杯に当たります(※)。
ただし、アルコールの分解力には個人差があります。ビール一杯程度で赤くなる人、女性、高齢者はアルコールの分解速度が遅いため要注意です。厚生労働省では、女性は男性より少ないアルコール量にとどめることを推奨しています。
※参考:厚生労働省.「アルコール」.
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html ,(参照2025-03-25).
喫煙
厚生労働省は、2016年に喫煙健康に関する報告書の中で、喫煙とがんの関係に触れています。乳がんについては「科学的証拠は因果関係を示唆しているが十分ではない」と判定されました(※)。つまり喫煙には、乳がんのリスクを高める可能性があります。
また他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙も、乳がんとの関連がゼロではありません。禁煙は本人だけでなく、周囲の人の健康を守ることにもつながります。
※参考:厚生労働省.「喫煙と健康」p5.
https://www.mhlw.go.jp/content/000550455.pdf ,(参照2025-03-25).
乳がん治療における免疫細胞治療(免疫細胞療法)の役割
近年「免疫細胞治療」という言葉を耳にするようになりました。免疫細胞治療は、人間の体内でがん細胞などの異物と戦う免疫細胞を用いた治療法です。標準治療(手術、抗がん剤治療、放射線治療)に続く、第4の治療法とも呼ばれています。
免疫細胞治療は、がんの種類によっては治療の選択肢となる場合があります。乳がんも例外ではありません。本項では、乳がんにおける免疫細胞治療の役割について解説します。
免疫細胞治療とは
免疫細胞治療は、患者さんの血液から免疫細胞を取り出し、がん細胞をより効率的に攻撃・破壊できるように加工した後、培養して体内に戻します。
がん細胞を人工的な力で攻撃する標準治療に対し、免疫細胞治療は患者さんの体に元々備わっている、免疫の力を生かした治療法です。そのため、免疫細胞治療は抗がん剤治療に比べて、副作用が少ないといわれています。
免疫細胞治療にはいくつかの種類があります。免疫細胞にがんの目印を伝える、免疫機能全体を高めるなど、仕組みもさまざまです。免疫細胞治療を行う際は、患者さんのがん細胞の特徴や体の状態を検査して、適切な治療法を選択する必要があります。
免疫細胞治療の種類について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
瀬田クリニック東京
「免疫細胞治療の種類について」
https://www.j-immunother.com/therapy/kind
乳がん治療での実績
免疫細胞治療の専門医療機関である瀬田クリニック東京では、これまで2万4,000人を超える患者さんの治療に携わってきました。乳がんの治療実績は約1,600人に上ります。
ここでは3名の方の治療例を紹介します。
※個別の症例であり、全ての方に同様の効果があることを保証するものではありません
症例①
50代女性
治療法:アルファ・ベータT細胞療法・
樹状細胞ワクチン病状:ステージⅣ・左乳がんが両肺、
リンパ節、骨に転移

患者さんは呼吸困難と腰の痛みがあり、ステロイド剤と鎮痛剤を服用していました。しかし、免疫細胞治療を始めて2カ月後から呼吸困難が緩和し始め、8カ月後には、在宅で行っていた酸素吸入が不要になりました。1年後の画像診断では、がん細胞の著しい減少が確認されています。痛みも落ち着き、旅行を楽しめるまでに回復しました。
症例②
60代 女性
治療法:アルファ・ベータT細胞療法・
ビスフォスフォネート病状:右乳がんで乳房を全切除した後、
骨に多数の箇所で再発

患者さんは痛みがひどく、初診時は車椅子で来院しました。脊椎、骨盤、頭骨、胸骨、肋骨など骨にも転移がありました。しかし、免疫細胞治療が進むにつれて痛みが軽くなり、腫瘍マーカーの値も大幅に低下しました。QOL(生活の質)を判定するスコアも上昇しています。
症例③
60代女性
治療法:ガンマ・デルタT細胞療法・
NK細胞療法病状:左乳がんの摘出手術後、再発により乳房全摘出
および脇下のリンパ節を切除。その後に皮膚、肺、胸椎へ転移

患者さんは免疫細胞治療、抗がん剤とハーセプチン(サブタイプHER2の乳がんに使用する薬剤)の併用を選択しました。乳がんの診断を受けてから12年以上経過し、複数の臓器への再発はあるものの、治療を継続した結果、腫瘍マーカーが正常範囲で推移するに至りました。肺転移の悪化も見られず、日常生活を問題なく過ごしています。
まとめ:乳がんには免疫細胞治療も選択肢の一つになる
今回の記事では、乳がんの特徴と基礎知識、自己チェックのポイント、乳がん治療における免疫細胞治療の役割などを解説しました。
乳がんは女性の9人に1人が経験するといわれる、比較的身近ながんです。しかし、定期的な自己チェックと検診により、早期発見しやすいがんでもあります。だからこそ、乳がんに対する正しい知識を身に付けておくことが大切です。
また一口に乳がんといっても、その特徴はさまざまです。基本的な治療法は乳がんのサブタイプにより異なります。
瀬田クリニック東京では、患者さん一人ひとりに合わせた「個別化医療(オーダーメイド医療)」を行っています。免疫細胞治療にご興味のある方はぜひお問い合せください。


無料

- 資料請求・お問合せ
当院の免疫療法に関するパンフレットを無料でお届けします。医師が免疫療法のよくある質問にお答えする小冊子付き。
詳しくはお電話やフォームからお申込みください。
- メールフォームはこちら
資料請求