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今、問われる細胞治療の今後―2院長ブログ

投稿日:2025年12月26日

更新日:2025年12月26日

広がる免疫細胞治療の現実

前回のブログ(今、問われる細胞治療の今後‐1)では免疫細胞治療を受けた2名の患者さんが敗血症になったという、信じられないような重大医療事故が発生したことを取り上げました。
実は現在、日本では500以上の医療機関において、がんに対する免疫細胞治療が実施されているという状況があります。その中には、十分な知識と技量を持たない、多くの医師が参入してきているのではないかという強い懸念も否定できません。

幹細胞治療で起きた死亡事故について

さらには、免疫細胞治療とは別に、今年の8月には幹細胞治療による死亡事故が厚生労働省より報告されました。現在、幹細胞治療は国内で700以上*1の医療機関が自由診療として提供しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62642.html
この死亡事故について、詳しい原因は明確には報道されていません。当初は、アナフィラキシーが原因とする報告もありましたが、その場合は、医療機関がアナフィラキシーに対して、アドレナリン投与など緊急対応の体制を適切に準備していたかが問われることになります。一方で、より可能性が高い原因として肺塞栓が考えられます。

免疫細胞と幹細胞――知っておくべき大きな違い

再生医療等安全性確保法は、日本で幹細胞治療を受けた韓国人患者が肺塞栓で死亡したことを1つの契機として制定されました。血液細胞である免疫細胞と幹細胞では、大きな特徴の違いがあります。T細胞やNK細胞などのリンパ球は、もともと血液中に存在し、細胞が1個ずつばらばらになって血液中に浮遊し、全身を循環しています。一方、脂肪幹細胞はもともと、血液中ではなく、脂肪組織内に存在する細胞です。これを点滴で血液中に入れると、細胞同士が凝集して、血管を塞ぐ可能性があります。このリスクは、特に死滅した細胞や劣化した細胞が混在している場合、さらに高まります。また、培養した幹細胞は血液を固めてしまい、血管に血栓(血の塊)をつくりやすい性質があることも報告されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGG21018_R20C13A1TJM000/

治療体制や管理に残される疑問点

このようなことが起こらないように、培養には高度な技術が必要であることはもちろん、医療機関側においても、細胞の保管や点滴液中の細胞数の調整など、極めて慎重な取り扱いが必要となります。しかし、それらを確実に実行できる知識と技量を、幹細胞治療を提供している700以上もの医療機関の医師すべてが備えているとは考えにくく、そこには大きな疑問が残ります。
今回報道された患者さんは、外国籍の50代女性で、慢性疼痛のために治療を受けていました。来日してまで高額な治療費を支払い、治療を受けていたことを考えると、相当な苦痛を抱えていたと推測されますが、直ちに命に関わる状態ではなかった可能性もあります。非常に痛ましい出来事であり、患者さんおよびご遺族には心より哀悼の意を表します。
厚生労働省の発表によれば、今回のケースでは、事故が発生してから同省へ報告されるまでのわずか1週間の間に、当該クリニックの名称ならびにその開設者が変更されていました。これがこの事故とは無関係に、以前から予定されていたものかどうかはわかりません。仮に事故を契機に変更を行ったとしたら、こんな極めて短期間に変更ができるというのは、いったいどんなクリニックだったのでしょう。このクリニックの実態にも大きな疑問が生じます。遠く、海外からも患者さんが訪れて治療を受けているとしたら、相応の実績と信頼のある、優れた医療機関であると考えられますが、その実像は依然として見えにくいままです。

制度に求められる見直しと今後の課題

現在、厚生労働省および、再生医療をテーマにした国内最大の学会である日本再生医療学会も、この状況を重く受け止め、改革に動き出しています。再生医療、細胞治療においては1番の先進国とされる日本で、このような由々しき事態は早急に改善しなければなりません。そのためには再生医療等安全性確保法のさらなる見直しにより、医師および医療機関の責任を明確にするとともに、この医療を審査する、国内に150以上*2も存在する認定再生医療等委員会の役割と責任についても検証が必要です。
このブログ「今、問われる細胞治療の今後‐1,2」では2つの医療事故を取り上げて、免疫細胞治療と幹細胞治療の現状を見てきました。最終回となる次回「3」では、具体的に、現状の問題点をさらに整理していきたいと思います。

  1. *1 届出された再生医療等提供計画(治療)の一覧(第2種)
    https://saiseiiryo.mhlw.go.jp/published_plan/index/2
  2. *2 認定再生医療等委員会のリスト
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◆院長ブログバックナンバー
-今、問われる細胞治療の今後―1
-ベトナムがん免疫療法学会へ参加 その2
-免疫による攻撃とその制御システムの話
-ベトナムがん免疫療法学会へ参加 その1

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