免疫とは、体内に侵入する外敵を認識し、攻撃して排除する体のシステムです。このシステムがしっかりと作用していないと、風邪や感染症などの発症につながってしまいます。免疫力を高めるには、具体的にどのような行動を取れば良いのでしょうか。
そこで本記事では、免疫力が高い人の特徴や免疫力アップの方法を解説します。日常生活ですぐに取り入れられることばかりなので、実践してみてください。
またがん患者さんの中には、がんと免疫力の関係性が気になる方もいるでしょう。記事の後半では、がん患者さんの免疫力を高める治療法についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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免疫力とは?
私たちの体は、常にウイルスや細菌といった外敵の侵入にさらされています。風邪やインフルエンザにかかったり、食中毒を起こしたりするのは、これらの外敵が体内で増殖してしまうからです。
私たちの体には、これらの外敵から身を守るためのシステムである「免疫」が備わっています。免疫は体内に侵入してきた外敵を認識し、攻撃して排除する防御システムです。このシステムを担っているのが、白血球などの「免疫細胞」です。免疫細胞は、体中をパトロールし、外敵を見つけると攻撃します。
免疫力は、この免疫システムがどのくらいしっかりと機能しているかを示します。免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるだけでなく、肺炎や気管支炎などの重い病気にかかるリスクも高まります。またがん細胞の増殖を抑える力も弱まるため、がんの発症リスクも高まるといわれています。
自然免疫と獲得免疫
免疫には、自然免疫と獲得免疫の2種類があります。自然免疫は生まれつき体に備わっている免疫であり、体に侵入してきた病原体や異物へ迅速に反応します。自然免疫に関係しているのは、好中球やマクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞などです。
一方、獲得免疫は自然免疫で対応できなかった病原体を排除する仕組みであり、後天的に獲得するものです。一度入り込んだ病原体の情報を記憶でき、再度侵入した場合には迅速に病原体を攻撃できます。T細胞やB細胞といった免疫細胞が関係しています。
免疫力が高い人の特徴
免疫力が高い人の代表的な特徴は、風邪や感染症にかかりにくいことです。免疫力が高いと、ウイルスや細菌が体内に侵入しても、免疫細胞が素早く働いて撃退してくれます。たとえ発症したとしても、早期に回復することが多いでしょう。
なお、風邪や感染症へのかかりにくさは、免疫力だけではなく、手洗い・うがいを行うなどで、ウイルスが体内に入らないように対策しているかどうかも関係しています。
また傷が治りやすいのも、免疫力が高い人の特徴です。傷口を治すのも免疫細胞の働きによるものであり、免疫力が高い人は、細胞の再生能力が高い傾向にあります。
免疫力を高めるために重要な生活習慣
免疫力を高めるためには、日々の生活習慣を見直すことが重要です。ここでは、免疫力アップに欠かせない生活習慣のポイントを詳しく解説します。
バランスの取れた食事を心掛ける
免疫細胞を元気に働かせるためには、バランスの取れた食事が不可欠です。主食と主菜、副菜をそろえ、一日3食しっかりと取りましょう。加工食品やインスタント食品ばかりを食べていると、栄養バランスが偏りがちなので、できるだけ控えてください。
免疫力を高めるには、特に以下の栄養素を意識するのがおすすめです。
タンパク質 | リンパ球の材料となる栄養素。肉や、魚、卵、大豆製品などに含まれる |
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ビタミンA | 粘膜を強化し、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ。緑黄色野菜やレバー、卵などに含まれる |
ビタミンC | 抗酸化作用があり、免疫細胞の働きを助ける。柑橘類やイチゴ、ブロッコリーなどに含まれる |
ビタミンD | 免疫細胞の働きを調整する。魚やきのこなどに含まれる |
ビタミンE | 抗酸化作用があり、免疫細胞の老化を防ぐ。ナッツ類や植物油などに含まれる |
亜鉛 | 免疫細胞の生成に欠かせないミネラル。かきや牛肉、チーズなどに含まれる |
免疫細胞の7~8割は腸に集合しているといわれているため、腸内環境を整える食事も心掛けましょう。腸内環境を整えるには、善玉菌と悪玉菌のバランスを保つことが重要です。悪玉菌が増えると、免疫細胞の働きが鈍くなり、病気にかかりやすくなってしまいます。
腸内環境を整えるには、整腸作用のある食物繊維を摂取するのがおすすめです。食物繊維は、きのこ類や根菜に多く含まれています。また納豆やヨーグルト、みそといった、善玉菌を含む発酵食品を取るのも良いでしょう。
さらに、オリゴ糖も善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整えるのに役立ちます。オリゴ糖は、タマネギやゴボウ、バナナなどに多く含まれています。
水分を小まめに取る
私たちの体は約60%が水分でできており、水分は生命維持に不可欠な役割を果たしています。免疫細胞が外敵と戦うためには、十分な水分が必要です。水分が不足すると、血液がドロドロになり、免疫細胞がスムーズに体内を移動できなくなります。
さらに鼻や喉の粘膜は、ウイルスや細菌などの異物侵入を防ぐバリアの役割を果たしています。水分不足により粘膜が乾燥するとバリア機能が低下してしまうため、十分な水分補給は欠かせません。
汗をかいていなくても、体の水分は常に皮膚や呼気を通じて失われます。喉が渇く前に、小まめに水分を補給する習慣を身に付けましょう。ただし水を飲む際は、体内の塩分濃度が薄くなり過ぎないよう注意が必要です。塩分濃度が薄まると、体は濃度を保とうとして尿を排出するため、体内の水分量減少につながってしまいます。塩分を水に加えたり、イオン飲料を飲んだりして、水と同時に適量のミネラルも摂取しましょう。
適度な運動をする
適度な運動は体温を上げ、血行を促進します。また運動により自律神経のバランスが整うため、免疫力の向上につながるといわれています。一日に30分程度のウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど、無理のない運動を習慣化しましょう。
過度な運動はストレスになってしまい逆効果になる恐れがあるため、運動の強度や頻度は、年齢や体力に合わせて調整することが大切です。運動不足を感じている人は、まずは軽い運動から始めて、徐々に強度や時間を増やしていきましょう。
運動の効果を高めるためには、継続することが重要です。毎日同じ時間に運動する、運動仲間を見つけるなど、工夫して運動を習慣化しましょう。
十分な睡眠を取る
睡眠中は、成長ホルモンが多く分泌され、体の修復やメンテナンスが行われます。睡眠不足になると、免疫細胞の働きが弱まり、免疫力が低下してしまいます。
免疫力を高めるためには、質の高い睡眠を十分に取ることが大切です。寝る前にカフェインを摂取するのは避け、リラックスできる環境を整えてください。また軽いストレッチや瞑想を行うとリラックスでき、より睡眠の質を上げられるでしょう。
睡眠の質を高めるためのポイントは以下の通りです。
- ●毎日同じ時間に就寝・起床する
- ●寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見ない
- ●寝室を暗く静かにする
- ●適度な温度と湿度を保つ
- ●ご自身に合った寝具を使用する
ストレスをため込まない
ストレスは、免疫力を低下させる大きな要因の一つです。ストレスを感じると自律神経のバランスが崩れ、免疫細胞の働きが抑制されてしまいます。またIgA(免疫グロブリンA:免疫物質の一つ)の分泌量が減り、免疫力が下がりやすくなるといわれています。
ストレスをため込まないためには、リラックスできる時間を作る、趣味を楽しむ、友人と話すなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。趣味や好きなことに没頭する時間を作れると、心身ともにリフレッシュできるはずです。悩みや不安は一人で抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切です。
また瞑想やヨガ、呼吸法などを試してみるのも良いでしょう。さらによく笑うこともリラックスでき、ストレスの解消につながるのでぜひ意識してみてください。
体温を上げる
体が冷えると、血液の流れが悪くなり、免疫細胞の活動が鈍るといわれています。そのため体温の高い状態を保つことを心掛けましょう。体を冷やさないよう、気温に応じて服装を調整してください。
体温を上げるためには、前述の通り適度な運動をする他、約40度のぬるめのお湯に15~20分程度漬かるのがおすすめです。お湯の温度が高過ぎると汗を多くかいてしまい、かえって体温の低下を招くので注意が必要です。
また免疫細胞の多い腸を温めることも有効だといわれています。カイロや湯たんぽなどでお腹周りを温めると良いでしょう。
飲酒や喫煙を控える
飲酒や喫煙を控えることも、免疫力アップにつながる生活習慣です。
過度な飲酒は腸内環境の悪化や睡眠の質の低下につながるため、免疫力の低下を招きます。またアルコールは、肝臓で分解されるとアセトアルデヒドという成分に変わります。アセトアルデヒドには発がん性があるため、がんの発症リスクを低減するためにも、過度な飲酒を控えることは重要です。
またたばこを吸うことも、免疫力の低下につながります。たばこにはニコチンや一酸化炭素といった有害物質が含まれており、これらの物質が免疫力の低下を招きます。例えばニコチンは血管を収縮させる働きがあり、血流悪化を招く物質です。一酸化炭素は赤血球の中にあるヘモグロビンと結合し、酸素が全身に供給されるのを阻止します。そのため体内の酸素が足りなくなり、栄養が行き渡らなくなるため、免疫力の低下につながるのです。
免疫細胞治療の可能性
健康な人であっても体内でがん細胞が毎日発生していますが、免疫細胞の働きにより、排除されています。しかし前述した通り、免疫力が低下してしまうとがん細胞への攻撃が弱まってしまい、がんの発症リスクが高くなります。
体内の免疫細胞の働きを応用して、がんを治療する方法が「免疫療法」です。免疫療法は、がん三大治療法と呼ばれる手術療法、放射線療法、化学療法(薬物療法)に次ぐ第四の治療法といわれており、現在注目が集まっています。
免疫療法には、免疫細胞治療や免疫チェックポイント阻害剤、がんワクチン、抗体医薬などさまざまな方法があります。中でも免疫細胞治療は、患者さん自身の体内にある免疫細胞の機能を強化する手法であり、免疫力の向上が期待できる治療法です。
ここからは、瀬田クリニック東京で提供している免疫細胞治療について、詳しく解説します。
免疫細胞治療とは?
免疫細胞治療では、従来の三大治療法とは異なり、患者さん自身の免疫細胞を活用します。まずは患者さんの血液から免疫細胞を取り出し、人工的に細胞を増殖させたり、がん細胞への攻撃力を高めるよう教育します。その後、再び患者さんの体内に戻すことで、がん細胞を効果的に攻撃するという仕組みです。
三大治療法は、がん細胞を直接的に取り除いたり攻撃したりする治療法ですが、同時に正常な細胞も損傷してしまう可能性があるため、副作用が伴うことがあります。一方、免疫細胞治療は、患者さん自身の免疫細胞を用いるため、副作用のリスクが低いと考えられています。
また免疫細胞治療は、三大治療法と併用することも可能です。近年、がん治療においては、患者さん自身の免疫力が、治療の効果に大きく影響することが分かってきました。そのため、免疫細胞治療は三大治療の効果を高めることも期待されます。
副作用のリスクが低く、三大治療法との併用も可能な免疫細胞治療は、今後のがん治療において重要な役割を担うことが期待されています。
まとめ
免疫とは、体内に侵入する外敵を認識し、攻撃して排除する体のシステムです。免疫細胞は、体中をパトロールして外敵を見つけると攻撃を仕掛けます。しかし免疫力が低下すると、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるだけでなく、肺炎や気管支炎などの重い病気にかかるリスクも高まります。
免疫力を高めるためには、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスをためないことなど、日々の生活習慣を見直すことが大切です。
またがん患者さんが免疫力を高めたい場合、免疫療法を行うのも一つの方法です。免疫療法の中でも免疫細胞治療は、患者さん自身の免疫細胞を活用するため副作用のリスクが低く、三大治療との併用も可能なので、今後のがん治療において重要な役割を担うことが期待されています。
免疫細胞治療を行う瀬田クリニック東京は、患者さん一人ひとりに合わせて治療を行う、個別化がん免疫療法を実施しています。遺伝子検査などを行い、患者さんの病状やがん細胞の性質などを把握した上で、適した治療法を提案します。気になる方は、お気軽にご相談ください。


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