がん治療を続ける中で、抗がん剤や放射線治療の副作用、体力の低下などに悩んでいる方は少なくありません。少しでも身体への負担を抑えながら治療を続けられないかと、情報を探している方もいるのではないでしょうか。
そうした中で注目されている治療の一つが「温熱療法」です。温熱療法は、がん治療の中心となる標準治療に代わるものではなく、補助的な選択肢として検討される治療法です。
この記事では、温熱療法の基本的な仕組みや期待される効果、治療を行うメリット・デメリットなどを紹介します。治療を検討する判断材料の一つとして、ぜひ参考にしてください。
<この記事で分かること>
- ● 温熱療法の基本的な仕組みと考え方
- ● 全身温熱療法と局所温熱療法の違い
- ● どのような人が検討対象になりやすいかの目安
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がん治療の一つ、温熱療法とは?
温熱療法とは、がんがある部位や体全体を加温することで、がん細胞にダメージを与えやすくする治療法です。一般には「ハイパーサーミア」とも呼ばれ、標準治療と併用される補助的な治療として検討されることがあります。
温熱療法が、がん治療を助けると考えられている理由の一つが、正常細胞とがん細胞の性質の違いによる影響の差です。
正常細胞は温度が上がると血管を広げて血流を増やし、熱を逃がして体温を調整する働きを持っています。一方、がん細胞が作る新生血管は構造が未成熟で血流調整がうまくできません。そのため熱がこもりやすく、42.5℃以上になるとダメージを受けやすいとされています。
ただし温熱療法は単体でがんを治すものではなく、他の治療と組み合わせて行われるものである点を理解しておくことが大切です。
温熱療法の種類
先述の通り、温熱療法はがん治療の中心となる標準治療に代わるものではなく、抗がん剤治療や放射線治療と併用される補助的な治療法です。
治療範囲や目的の違いから、大きく「全身温熱療法」と「局所温熱療法」の2つに分けられます。適応は病状や体力によって異なるため、実際に取り入れるかどうか医師と相談した上で判断しましょう。
全身温熱療法と局所温熱療法、それぞれの特徴について詳しく解説します。
全身温熱療法
全身温熱療法は、遠赤外線ドームや温熱マットなどを使用し、体全体を38〜42℃程度まで温める治療法です。
がんを直接破壊するのが目的ではなく、体を温めることで免疫細胞が働きやすい環境を整え、血流や代謝の促進を目指します。そのため転移がある場合や治療後の再発予防、抗がん剤治療中の体調管理などを目的に検討されることがあります。治療を支えるために全身のコンディションを整える役割として用いられるケースが多い点が特徴です。
ただし、効果の感じ方や実施回数、頻度は医療機関や患者さんの状態によって異なります。あくまで補助的な治療である点を理解し、専門の医療機関で相談しながら進めることが大切です。
局所温熱療法
局所温熱療法は、マイクロ波(マイクロウェーブ)や高周波(RF波)を用いて、がんがある特定の部位を挟み込み、集中的に42〜45℃程度まで加温する治療法です。
正常細胞よりも熱に弱いとされるがん細胞の性質を利用し、がん細胞にダメージを与えることを目的としています。腫瘍の位置や大きさ、体型などによっては十分に熱が届きにくい場合もあるため注意が必要です。
自身の病状に合う治療かどうか、医師と相談しながら検討しましょう。
温熱療法で期待されるがんへの効果
温熱療法そのものは、がんを治す治療ではありません。繰り返しになりますが、抗がん剤治療や放射線治療と併用することで、標準治療の効果を高める可能性があると考えられ、治療環境を整える目的で選択されるケースがあります。
例えば、次のような効果が期待されています。
- ● 抗がん剤治療の効果増強:
加温により血流が改善し、腫瘍内に薬剤が届きやすくなる可能性がある
温熱が薬剤耐性の進行を遅らせる働きが示唆される - ● 放射線治療の効果増強:
放射線で傷ついたがん細胞のDNA修復を、熱が妨げることで治療効果を高める可能性がある - ● 免疫反応への影響:
熱ショックタンパク質の誘導により、NK細胞など免疫細胞の活性化が期待できる - ● 生活の質(QOL)への影響:
血流の改善による痛みの緩和や、食欲・体力の回復が見込まれる
これらはあくまでも期待されている効果であり、全ての患者さんに同様の効果が現れるわけではありません。補助療法としての位置づけを理解した上で、治療選択を検討することが大切です。
温熱療法の対象となる人は?
温熱療法は全ての方に行える治療ではありません。どのような人が対象になりやすいのかを知ることで、自分に合う治療かを検討しやすくなります。
例えば、抗がん剤や放射線治療の効果が薄れてきた方や実施が難しい状況の方、再発予防を目的に治療を続けたい方、緩和ケアの一環として痛みや不快感の軽減を目指す方が、温熱療法の検討対象となることがあります。
一方、全身状態が著しく低下している方や、ペースメーカー・植込み型除細動器を使用している方、妊娠中・乳幼児などは慎重な判断が必要です。また体内に金属が入っている方は、金属の素材や位置によっては温熱療法が適していない場合があります。
先述の通り、温熱療法が適応しているかは一人ひとり異なるため、必ず医師と相談して判断しましょう。
温熱療法のメリット・デメリット
温熱療法には治療を支える上で期待されている点がある一方、注意すべき点もあります。治療を検討する際は、メリット・デメリットの両方を知り、全体像を把握することが大切です。
ここからは、温熱療法のメリットとデメリットを順に整理していきます。
メリット
温熱療法が補助療法として注目されている理由の一つに、副作用が比較的少ないとされている点があります。抗がん剤治療で見られる脱毛や強い吐き気は、基本的に起こりにくいとされているのが特徴です。
また温熱療法の併用によって効果が得られれば、抗がん剤の量や放射線治療の回数を減らせる場合もあります。治療内容によっては、薬剤量の調整につながる可能性が考えられます。
さらに放射線治療のような回数制限が原則なく、繰り返し行える点もメリットといえるでしょう。体が温まることでリラックス感が得られ、痛みの軽減など心身のケアにつながる点も期待されています。
デメリット
温熱療法を検討する際は、注意点も理解しておきましょう。
例えば、治療中に皮膚のピリピリ感を覚えたり、まれに火傷や水疱、皮下脂肪のしこりが生じたりすることがあります。体型や腫瘍の位置によっては、深部まで十分に熱を届けにくいケースもある点は押さえておきましょう。
自由診療では費用負担が大きくなる点や、専門機器が必要なため実施できる医療機関が限られる点も考慮が必要です。治療前には、医師から十分な説明を受けた上で判断しましょう。
まとめ
温熱療法は抗がん剤治療や放射線治療といった標準治療と並行して検討される、補助的な治療法です。体への負担に配慮しながら治療を続けたい方にとって、選択肢を広げる一つの方法といえるでしょう。
一方で、メリットだけでなくデメリットも理解した上で判断することが大切です。治療法は一人ひとりの病状や体力によって異なるため、医師と十分に相談しながら、ご自身に合った治療方針を検討することも重要です。
治療の選択肢を広げたい方や、温熱療法に加えて免疫細胞治療なども含めた治療方法について相談をしたい方は、専門機関へ相談することも一つの方法です。瀬田クリニック東京では、さまざまな分野のがん治療専門医が診療を担当し、一人ひとりの状態に合った適切な治療を提案しています。標準治療と併せた治療方法を知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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