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がん治療の効果の矛盾-①
院長ブログ

2024年3月18日

「私のがんには治療はどの程度、効果がありますか?」と患者さんから質問されることがよくあります。副作用の強い化学療法などの場合は、治療を受けることを決断するに際しては、どのような副作用を被るのかも重要な要素になります。副作用の少ない治療法では、患者さんの最大の関心は、「この治療法がどれだけ効果があるか?」です。

一般に初期に発見され、手術で十分に切除することができたがんでは、効果は治癒率、つまり、その治療によってどのくらいがんが治せるかとして表すことができます。一方、切除できないがん、あるいは切除したものの再発したがんでは多くの場合、治癒が困難となります。その時には、治療の効果をどのように表すことができるでしょうか。

がん治療の効果を表す科学的な指標の基準は、次の3つとされています。

  • ●生存率(せいぞんりつ)
    …診断からある一定期間後に生存している確率
  • ●奏効率(そうこうりつ)
    …治療によりがんの大きさが縮小する確率
  • ●無増悪生存率(むぞうあくせいぞんりつ)
    …一定期間がんが大きくならず、安定した状態の割合

上記の中でも、生存率は効果を表すには非常に長い年月が掛かると言われます。5年以上の生存率を算出するには、治療を受けた後に5年間以上にわたり大勢の患者さんで追跡調査を行う必要があり、また比較対象とする、その治療以外の生存率を算出することも必要です。そのため、結果を出すまでには5年~10年近くの期間を要します。
それに比べ、ほかの二つは、がんが大きくならず進行しなければ、その分生存期間は延長する可能性が高く、早く治療評価ができる指標として考えられています。

米国臨床がん学会の機関紙Journal of Clinical Oncology(※1)に「Irreconcilable Differences: The Divorce Between Response Rates, Progression-Free Survival, and Overall Survival」(奏効率、無増悪生存率、全生存率の矛盾している相違)(※2)という興味深い論文が掲載されています。

この論文によると、実際に複数の臨床試験で無増悪生存率の改善が生存期間を延ばさない、あるいは生存率を逆に悪化させた。また、奏効率や無増悪生存率の改善なく、生存率の改善を認める、とあります。
つまり、生存率と早期の指標である奏効率、無増悪生存率との関係は、正式には認められていないことが述べられています。

では、どうしてそのようなことが生じるのでしょうか。この論文のなかでいくつかの理由を挙げています。その点については、次回のブログでご紹介したいと思います。

(※1)世界でがん治療のもっとも権威あるジャーナルの1つ
(※2)著者の所属はCenter for Drug Evaluation and Research, US Food and Drug Administration、すなわち米国の医薬品の承認機関である食品医薬品局(FDA)の医薬品評価研究の専門家達です。FDAは日本でいうところの厚生労働省やPMDAです。

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