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書籍より抜粋
『家族を守る免疫入門~いま一番知っておきたい知識~』(河出書房新社)

人生を元気に、楽しく、長く生きるために必須の知識●はじめに

コロナ渦のなか、免疫にかんする話題が連日報道され、情報の洪水のなかで専門用語が飛び交っています。「ワクチン」などは身近な言葉ですが、なかには「サイトカインストーム」や「交差免疫」といった難解な言葉も使われています。

「PCR検査」も、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる検査の代名詞のように使われていますが、この検査が「ポリメラーゼ連鎖反応」というDNAを増幅して行なう検査法のひとつであり、DNA鑑定や、がんの遺伝子検査などに使われる技術であることまでは言及されません。
また、アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したときも、免疫を応用した治療法である抗体薬が使われました。
免疫は、複雑で、しかも難解です。しかし、新型コロナウイルスをはじめとした、さまざまな病気とかかわっていること、そして、健康を維持するために欠かせないシステムであることを理解するうえで、その知識は今後、さらに必須のものになることは間違いありません。
じつは、免疫学は新しい学問であり、大学の医学部に「免疫学」の講座が開設されるようになったのも、ここ20年くらいのあいだです。したがって、免疫の知識が十分でない医師も少なくありません。いっぽうで、基礎免疫学にかんして先端的な研究を行ない、多大な業績を上げている日本の研究者もいます。免疫反応のシグナル伝達が細胞内小器官を通してどのように行なわれ、代謝がどのように変化するかなどといった、私も十分に理解できていないような研究も確実に進んでいるのです。

私は一貫して、目の前の病気で困っている患者さんに施せる免疫療法の実践と研究に専念してきました。現在も含めて、「お医者さん」「臨床医」でありつづけてきたわけです。
私がじっさいの医療現場において、免疫療法を病気の治療に応用したのは1980年代のことです。不妊症や不育症という分野からはじまり、その後、90年代からは大学病院で、がんに対する免疫療法を積極的に応用してきました。当時は現在のように、がんの免疫療法はほとんど理解されることはなく、病院で行なわれることもありませんでした。
また、その治療の原理や作用期序は非常に複雑なものですが、免疫療法を受けていただくためには、患者さんへの十分な説明義務があり、しっかりとした理解と同意を得る必要があります。
私は30年以上、そのプロセスを日常的に行なってきました。医学生に対する講義とは違い、専門知識のない患者さんに免疫のしくみを理解していただくのは、簡単なことではありません。それでも、「どのように説明したら、患者さんにわかっていただけるか」という努力を怠ることはありませんでした。
本書は、長い時間をかけて蓄積してきたノウハウをもとに、より多くの方に誰もがもっている「免疫」の凄い力と働きを知っていただくために執筆しました。
本書を読むことで、いま話題になっているニュースや情報を正確に理解し、さらにその一歩先まで考える力を身につけていただければ、著者として、また医師としてこれにまさる幸せはありません。

2020年12月吉日
後藤重則

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