文字サイズ

メニュー

×閉じる

当院と連携している全国の医療機関

×閉じる

腎臓がんに対する免疫細胞治療の症例紹介

瀬田クリニックグループでがん免疫療法(免疫細胞治療)を受けられた腎臓がんの方の症例(治療例)を紹介します。症例は治療前後のCT画像や腫瘍マーカーの記録など客観的データに基づき記載しています。

症例①
男性70歳代 男性
免疫細胞治療単独によりがんが縮小している腎細胞がんの症例

治療までの経緯

2013年8月、検診にて血尿の指摘を受け精密検査を実施し、腎細胞がんと診断されました。10月に左腎部分切除の手術を行いました。手術時の診断ではステージIIIでした。
2014年1月、左腎周囲に再発がみられ、化学療法(スニチニブ)を開始しました。しかし、徐々に腎機能が悪化し、3月より別の分子標的薬を使用した化学療法(エベロリムス)に変更しました。5月に急性肝障害(胆汁うっ滞型肝障害)となったため、化学療法(エベロリムス)を中止しました。その後、2014年6月に免疫細胞治療を検討するため、当院を受診されました。

治療内容と経過

2014年6月よりアルファ・ベータT細胞療法を開始しました。8月にはがんの再発部分が増大し、免疫機能検査、HLA検査免疫組織化学染色検査の結果、樹状細胞ワクチン療法が適応可能と判断されたことから、9月より樹状細胞ワクチン療法とアルファ・ベータT細胞療法の併用を開始し、腫瘍の縮小を確認、現在も4ヵ月毎に治療を継続しています。

再発部分のがんは縮小し、疼痛や下肢の浮腫の症状緩和が認められました。CRP(炎症を起こしている際に検出されるタンパク質の数値)も、アルファ・ベータT細胞療法と樹状細胞ワクチン療法を併用してから2ヵ月後には基準値以下に低下しました。アルファ・ベータT細胞療法を開始してから2年半以上が経過しましたが、がんは縮小した状態を維持できてます(下図)。

免疫細胞治療単独で治療継続。再発部分が縮小、疼痛・下肢浮腫も症状緩和

考察

治療前後で免疫細胞(血中リンパ球)は増加、制御性T細胞は減少

転移再発腎細胞がんでは以前より免疫に作用する薬剤が15~18%の患者さんに効果があることが知られており、分子標的薬が登場する前は第一選択の化学療法でした。転移再発腎細胞がんのがん組織には様々なリンパ球が集まっていることが分かっており、特に腫瘍浸潤リンパ球(リンパ節やがん組織に入り込んでいるリンパ球のこと)は他のがんよりも多く、その中には制御性T細胞(Tregと呼ばれ、免疫反応を弱める働きをする細胞)や細胞障害性T細胞(キラーT細胞と呼ばれ、がんを攻撃する細胞)などが含まれています。一方で、転移再発腎細胞がんでは、免疫状態のバランス異常やTregの増加がみられ、この異常は病期や病状に関連していることも報告されていることから、がんに対する免疫応答が破たんし、病状を悪化させていると考えられています。

この患者さんでは、免疫細胞治療単独で治療効果が認められました。その治療前後の血中リンパ球数の状態を解析したところ、治療後にTregが減少し、免疫抑制状態(免疫が正常に働けなくなっている状態)が改善されていたことと共に、免疫が正常に働くために必要なアルファ・ベータT細胞やキラーT細胞が増加していたことがわかりました。これらの免疫状態の変化が実際のがん組織内でどのように関連しているかは、今後の検討課題ですが、免疫細胞治療単独で効果が見られたのはTregが減少したことで免疫抑制状態が改善されたことや免疫が正常に働くための細胞が増加したことが関係していた可能性があります。

近年では転移再発腎細胞がんに対しては分子標的薬が化学療法の中心となっています。その多くはチロシンキナーゼ阻害剤ですが、がん免疫応答に深く関与していることが明らかにされています。例えばこの患者さんに用いられたスニチニブは免疫が正常に働くための細胞の機能抑制やTregの増加を促す骨髄由来免疫抑制細胞(MDSCと呼ばれ、がんを攻撃する免疫細胞を無力化する細胞)を抑制することが知られています。またエベロリムスは樹状細胞の成長に関わっていることも明らかになっています。
このように、転移再発腎細胞がんに対する免疫治療と化学療法の併用による複合免疫治療は、今後治療成績を向上させる可能性があると考えられます。

治療の経過

2013年8月腎細胞がんと診断
2013年10月左腎部分切除術を行う
2014年1月左腎周囲に再発がみられ、スニチニブによる化学療法を開始
2014年3月腎機能悪化の為、分子標的薬をエベロリムスに変更
2014年5月急性肝障害によりエベロリムスを中止
2014年6月アルファ・ベータT細胞療法を開始、免疫機能検査・HLA検査・免疫組織化学染色検査を実施
2014年8月再発部分のがんの増大が認められる
2014年9月アルファ・ベータT細胞療法と樹状細胞ワクチン療法の併用を開始
2014年11月CRPが基準値以下に低下
その後、治療を継続、がんは縮小した状態を維持している(2017年4月時点)

症例リストに戻る

症例②
男性67歳 男性
腎細胞がん術後両側肺転移に対し、アルファ・ベータT細胞療法で長期不変を維持した例(Ⅱ期腎細胞がん)

治療までの経緯

2000年4月22日、右腎細胞がんの診断にて右腎全摘手術を受けましたが、術後2001年6月のCTにて両側肺転移が発見されました。2001年7月10日から2002年7月16日までサイトカイン療法(インターフェロンα)を継続するも、副作用にて中止されました。2002年12月の骨シンチグラムでは骨転移はみられませんでした。2003年1月14日のCT検査で両側肺転移が増大していると判定を受け、当院を紹介されました。

治療内容と経過

腎臓がんに対する免疫療法case24

2003年1月21日に当院を初診されました。全身状態は良く、、アルファ・ベータT細胞療法を開始しました。2003年4月25日のCTでは肺転移巣は安定していました。更に2週間ごとに治療を続け、12回目の2003年7月8日まで全身状態は良好に保たれ、2003年7月11日のCTでも肺転移病巣は安定していると判定されました。その後は4週に1回のペースでアルファ・ベータT細胞療法を継続しましたが、2003年10月17日のCTでは部分的な増大が認められました。2004年2月18日20回目の投与まで4週毎の治療を行い、その後2か月毎に計22回目の治療まで行いました。2004年7月初めのCTで肺転移病巣が増大し、サイトカイン療法(インターロイキン2)のため入院となり、当院の治療を終了しました。

考察

この患者さんが治療された2003年当時は、進行腎がんに関しては分子標的薬などは登場しておらず、サイトカイン療法を行うことが一般的でした。この患者さんの場合にも、サイトカイン療法(インターフェロンα)を1年間投与されましたが、副作用のため治療が中止され、アルファ・ベータT細胞療法単独で行ったところ、6ヵ月間の長期不変を維持することができました。しかし、治療間隔を延長するに従い増大し、全治療期間1年半で治療終了となり、別なサイトカイン療法(インターロイキン2療法)に移行しました。アルファ・ベータT細胞療法中は副作用もなく、QOL(生活の質)の保たれた状態でした。現在では、様々な分子標的薬が使用されており、同時併用の検討を進めています。

症例リストに戻る

来院のご予約はこちら

このページの先頭へ

 
このページの先頭へ
Facebookでも新情報を発信しています
×閉じる