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いま一番知っておきたい知識
家族を守る免疫入門
河出書房新社 KAWADE夢文庫
-著者-
順天堂大学客員教授
瀬田クリニック東京理事長
後藤重則
新型コロナで話題の
「免疫」について徹底解説
免疫とは何なのかという基礎知識から、ワクチンから癌との関係まで、現役の順天堂大学客員教授であり、がん免疫細胞治療の専門クリニックである瀬田クリニック東京理事長 後藤重則医師が分かりやすくまとめました。
コロナ禍における現代に持っておきたい1冊です。
書籍より抜粋した『はじめに』と『もくじ』を公開中!!
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はじめに
人生を元気に、楽しく、長く生きるために必須の知識●はじめに
コロナ渦のなか、免疫にかんする話題が連日報道され、情報の洪水のなかで専門用語が飛び交っています。「ワクチン」などは身近な言葉ですが、なかには「サイトカインストーム」や「交差免疫」といった難解な言葉も使われています。
「PCR検査」も、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる検査の代名詞のように使われていますが、この検査が「ポリメラーゼ連鎖反応」というDNAを増幅して行なう検査法のひとつであり、DNA鑑定や、がんの遺伝子検査などに使われる技術であることまでは言及されません。
また、アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したときも、免疫を応用した治療法である抗体薬が使われました。
免疫は、複雑で、しかも難解です。しかし、新型コロナウイルスをはじめとした、さまざまな病気とかかわっていること、そして、健康を維持するために欠かせないシステムであることを理解するうえで、その知識は今後、さらに必須のものになることは間違いありません。
じつは、免疫学は新しい学問であり、大学の医学部に「免疫学」の講座が開設されるようになったのも、ここ20年くらいのあいだです。したがって、免疫の知識が十分でない医師も少なくありません。いっぽうで、基礎免疫学にかんして先端的な研究を行ない、多大な業績を上げている日本の研究者もいます。免疫反応のシグナル伝達が細胞内小器官を通してどのように行なわれ、代謝がどのように変化するかなどといった、私も十分に理解できていないような研究も確実に進んでいるのです。私は一貫して、目の前の病気で困っている患者さんに施せる免疫療法の実践と研究に専念してきました。現在も含めて、「お医者さん」「臨床医」でありつづけてきたわけです。
私がじっさいの医療現場において、免疫療法を病気の治療に応用したのは1980年代のことです。不妊症や不育症という分野からはじまり、その後、90年代からは大学病院で、がんに対する免疫療法を積極的に応用してきました。当時は現在のように、がんの免疫療法はほとんど理解されることはなく、病院で行なわれることもありませんでした。
また、その治療の原理や作用期序は非常に複雑なものですが、免疫療法を受けていただくためには、患者さんへの十分な説明義務があり、しっかりとした理解と同意を得る必要があります。
私は30年以上、そのプロセスを日常的に行なってきました。医学生に対する講義とは違い、専門知識のない患者さんに免疫のしくみを理解していただくのは、簡単なことではありません。それでも、「どのように説明したら、患者さんにわかっていただけるか」という努力を怠ることはありませんでした。
本書は、長い時間をかけて蓄積してきたノウハウをもとに、より多くの方に誰もがもっている「免疫」の凄い力と働きを知っていただくために執筆しました。
本書を読むことで、いま話題になっているニュースや情報を正確に理解し、さらにその一歩先まで考える力を身につけていただければ、著者として、また医師としてこれにまさる幸せはありません。2020年12月吉日
後藤重則 -
もくじ
家族を守る免疫入門●目次
1章 新型コロナを抑え込む「免疫」のすごい実力
- 私たちの体を守っている「免疫」のしくみ
- 新型コロナ患者の多くが「治療薬なし」で治る理由/そもそも「免疫」とは、どんなしくみなのか?/免疫はウイルスや異常な細胞をどう攻撃する?/免疫を担う細胞には、どんな種類がある?/「専用部隊」は2通りの方法でウイルスを襲う/ウイルスは体内でどのように増殖していく?/ウイルス感染した細胞を、免疫はどう発見する?/多彩な攻撃方法で「異物」から人体を守る
- 免疫が深くかかわる「新型コロナ治療」の現在
- 感染症による「発熱やのどの痛み」の正体とは?/免免疫の暴走「サイトカインストーム」とは?/新型コロナの治療薬は、どこまで有効といえる?/回復した人の血漿を使う治療法の実力とは?/最先端の抗体薬は新型コロナ治療の切り札となる?/「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」の違いとは?/「免疫力」という言葉は不適切なもの?
- コロナ禍は今後、どんなプロセスをたどっていく?
- 新型コロナ収束のカギを握る「集団免疫」とは?/抗体はどんな方法でウイルスや細菌を殺している?/なぜ、日本人は欧米人よりも重症患者が少ない?/免疫メモ帳①コロナ禍を乗り切るために知っておくべきこと
2章 「ワクチン」とは何か? 感染症を防ぐしくみ
- 人類の歴史を変えた「ワクチン」の発見
- 世界最古のワクチンの発見は牛のおかげだった/江戸時代の日本でも行なわれていたワクチン接種
- ワクチンはなぜ、感染症を予防できる?
- ワクチンが感染症を予防するしくみとは?/ワクチンには、どのような種類がある?/ワクチン開発には、どれだけの時間がかかる?/新型コロナに対するワクチンの特徴とは?/新型コロナにも応用される「細胞ワクチン」とは?/「結核のワクチンが新型コロナにも効く」って本当?/インフルエンザに感染すると新型コロナにかからない?
- ワクチンが効く感染症、効かない感染症
- ワクチンはどんな細菌やウイルスに使われる?/ワクチンのない感染症には、どんなものがある?
- ワクチンの開発が簡単ではない理由
- ワクチンの効果は、なぜ一生つづかない?/ワクチンの副作用には、どんな症状がある?/新型コロナに対するワクチンはどこまで有効?/免疫メモ帳②「毒」にも「薬」にもなるものとは?
3章 自分の体を攻撃する「免疫の異常」とは
- 免疫の異常は、なぜ起きてしまうのか?
- 人はいつ「自己」と「非自己」を認識する?/免疫が「自分」を攻撃するしくみとは?/自己免疫疾患とは、どのような病気?/潰瘍性大腸炎も免疫が関与している?
- アレルギー性疾患と免疫の関係とは?
- 日本人にアレルギー性疾患が増えている理由/アレルギー症状が引き起こされるしくみとは?
- 臓器移植や輸血と免疫の関係とは?
- 臓器移植に対し、免疫はどのように働く?/なぜ、免疫は臓器移植を受けつけない?
- 不妊症や不育症と免疫の関係とは?
- 胎児はどのように子宮のなかで生きている?/なぜ「他人」のはずの胎児を母体は拒まない?/母体が胎児を拒絶すると、何が起きる?
- 免疫が正常に働かないことで起きる異常とは?
- 免疫不全が起きてしまうしくみとは?/エイズはどのように免疫を破壊していく?/免疫メモ帳③男女の生物学的相性と恋愛観に違いはある?
4章 「がん」を撃退する免疫療法の最前線
- がんの発生と免疫による攻撃制圧のメカニズム
- がんは、なぜ「厄介」な病気なのか?/がん細胞は、どのような過程を経て発生する?/がん細胞に対し、免疫はどう攻撃を仕かける?/紆余曲折があった「がん免疫療法」の歩み
- 「免疫療法」には、どのような種類がある?
- BCGが膀胱がんの正式な治療薬である理由/「免疫細胞治療」は、どのような治療法?/細胞治療への期待が高まっている理由とは?/再生医療は、どんな可能性を秘めている?/白血病の免疫細胞治療薬「キムリア®」とは?/「キムリア®」の値段が高額になった事情とは?/「免疫チェックポイント阻害薬」とは、どんな薬?/免疫療法は今後、どのように発展していく?/新たな選択肢として注目される「光免疫療法」とは?/免疫メモ帳④がんを予防する、夢の「がんワクチン」はある?/免疫メモ帳⑤免疫療法の発展に生涯を捧げた先人たち
5章 免疫を元気にして家族の健康を守る
- 現代医学における免疫療法の立ち位置とは
- 現代医学は「結果抑え療法」「原因抑え療法」が基本/免疫療法は、難病を救うことができる?/東洋医学と免疫療法の意外な関係とは?
- 免疫力アップには、腸の環境整備が欠かせない
- 免疫機能の維持に役立つ食べ物はある?/なぜ「腸」は巨大な免疫器官といわれる?/「免疫力」を測定することは可能?
- 「神経と免疫」の知られざる関係とは?
- 「神経は免疫の働きも操っている」って本当?/「神経細胞と免疫細胞は同じ細胞」といえる理由は?/免疫とストレスに、どんな関係がある?/末期のがんから生還する人がいるのはなぜ?
- 「病気にならない生き方」を実践しよう
- 「無菌・抗菌生活」は本当に健康に良い?/免疫を破綻させない、ストレスとのつきあい方とは?/免疫にメリットがある食習慣とは?/副作用が心配でも、予防接種は受けるべき?
20201214河出書房新書 夢文庫『家族を守る免疫入門』 著者:後藤重則
著者
後藤重則医師の紹介

後藤 重則(ごとう しげのり)
順天堂大学大学院医学研究科
次世代細胞・免疫治療学講座(江川記念 SETA 講座)客員教授
医療法人社団滉志会 瀬田クリニック東京理事長
- 経歴などはこちら
-
経歴
- 昭和56年
- 新潟大学医学部 卒業
- 昭和56年~平成3年
- 新潟大学医学部
県立がんセンター新潟病院 などで勤務
- 平成元年
- 新潟大学医学部助手/医学博士号取得
- 平成3年~平成7年
- 帝京大学生物工学研究センター講師
帝京大学医学部講師
- 平成7年~平成11年
- 医療法人社団 弘生会 霞ヶ関ビル診療所
- 平成11年
- 瀬田クリニック(現瀬田クリニック東京)院長
- 平成17年
- 医療法人社団滉志会 理事長 【現任】
- 平成29年
- 順天堂大学大学院医学研究科
次世代細胞・免疫治療学講座(江川記念 SETA 講座)
客員教授 【現任】
所属学会など
日本免疫治療学研究会(理事)
バイオ治療法研究会(監事)
日本再生医療学会(代議員)
日本再生医療学会 再生医療認定医
日本癌治療学会
日本癌学会
日本産科婦人科学会
免疫とは
私たちの体には、ウイルスなどの外敵や体内で発生した異常細胞を排除して、体を守っていく仕組みが自然に備わっています。この仕組みのことを総称して“免疫”と呼んでいます。
科学の用語では、「免疫」は非自己、すなわち元々は自分の身体には存在しない異物を認識し、それを排除する身体の機能であり、病気にかからない、病気を治す自己治癒力のひとつとされています。
免疫とがん
リンパ球(免疫細胞)が
がん細胞を攻撃している顕微鏡映像
上記動画のように、がん細胞などの異常細胞を排除する役割を担っているのが、リンパ球などの免疫細胞です。対象に触って敵と認識する細胞、敵の特徴を他の免疫細胞に知らせ攻撃を指示する細胞、攻撃の武器を作る細胞、敵を直接攻撃する細胞など様々な種類があり、複雑なシステムを形作り互いに協力して敵を排除します。
健康な人でも放射線や発がん性物質などの影響により、1日に数千個もの異常な細胞が体内に生じていると考えられていますが、免疫システムが異常な細胞を見つけ排除することで、がんとして発症するのを防いでいると言われています。
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がん免疫細胞治療

がん免疫細胞治療とは、わたしたちの身体のなかでがん細胞やウイルスなどの異物と闘ってくれる免疫細胞を患者さんの血液から取り出し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育してから再び体内へ戻すことで、免疫の力でがんを攻撃する治療法です。 現在、標準治療とよばれている三大療法(手術、抗がん剤、放射線治療)はいずれも、外部からの力でがん細胞を排除しようとするもので、正常細胞も傷を受けたり死んだりすることがあり、それが副作用として現れる場合があります。 一方、がん免疫細胞治療は患者さんがもともと体内に有している免疫細胞を培養・加工してがんを攻撃する点から、大きな副作用はなく、また三大療法と組み合わせて行うこともできます。
最近では、三大療法の効果が、患者さん本人の免疫状態によって大きく左右されることも分かってきており、免疫細胞治療は三大療法の効果を高めることも期待されます。
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瀬田クリニック東京について
1999年、国内初のがん免疫細胞治療専門施設として開院以来、20,000名以上のがん患者さんに治療を提供しています。
治療前に患者さんの免疫状態やがん組織のタイプを検査し、現在受けられている治療なども踏まえ、患者さん一人ひとりに最適化されたがん治療を提案します。
大学病院やがん専門病院でがん治療に携わってきた経験豊富ながん免疫治療のエキスパー トが治療に当たります。
アクセス
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