進行・転移がんの治療は、全身を対象にした化学療法(抗がん剤等の薬物療法)が主流になります。しかし治療に用いられる薬の多くは、正常な細胞にも作用が及ぶため、程度に個人差はありますが、副作用に苦しむことがあります。
これに対し、免疫細胞治療は、もともと患者さん自身の体の中にある免疫細胞を使うので、本質的に副作用がなく、高いQOLを保ちつつ全身を対象に行える治療であることが大きな特徴です。
免疫細胞治療は、他の治療法を受けている方でも併用して受けることができ、組み合わせ方によって相乗効果も期待できます。
化学療法や放射線療法は免疫能力を損なうため、併用は望ましくないという患者さんや医師の声を聞きますが、近年の研究から、免疫細胞治療で全身の免疫力を高めることにより、他の治療の効果を損なうことなく治療全体の効果の向上が望めることもわかってきています。
このことから、いわゆるがんの三大療法(外科療法、放射線療法、化学療法)の基盤となるべき治療法としても期待されています。
術後の再発予防には多くの場合、化学療法が用いられますが、免疫細胞治療もその役割を担います。
免疫細胞治療は、大きながんを一気に縮小させるような劇的な効果は、あまり期待できないものの、目に見えない微小ながん細胞を、副作用の心配をほとんどせずに攻撃できるという点で、手術後のがんの再発予防に大きな役割を果たすことが期待できます。
実際に、千葉県がんセンターや国立がんセンターの研究により、手術後に免疫細胞治療を行うことで再発が減少し、生存率が高まったという結果が報告※されています。
<用語解説>
- QOL(quality of life :生活の質)
- 人が日常生活や社会生活に対し、身体的、精神的、社会的に満足している状態をあらわす概念。一例として、歩行、摂食、入浴、排泄などの日常の基本的な動作を自立あるいは他者の介助を利用して行え、生活に満足感があれば「QOLが高い」といえる。
※Kimura H, Yamaguchi Y., A phase III randomized study of interleukin-2 lymphokine-activated killer cell immunotherapy combined with chemotherapy or radiotherapy after curative or noncurative resection of primary lung carcinoma. Cancer. 80(1):42-9, 1997
Takayama T, Sekine T, Makuuchi M, Yamasaki S, Kosuge T, Yamamoto J, Shimada K, Sakamoto M, Hirohashi S, Ohashi Y, Kakizoe T., Adoptive immunotherapy to lower postsurgical recurrence rates of hepatocellular carcinoma: a randomised trial., Lancet. 356(9232):802-7, 2000.





