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連載D 
転移した進行性胃がんに対する免疫細胞療法の注目される効果

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胃がん (月刊がん 「もっといい日」 2005年5月号 P64-P65 記事全文を転載しております)
胃がん 治療医師 瀬田クリニック院長 後藤重則  取材協力◎瀬田クリニック 院長 後藤重則
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減少したとは言え、胃がんは、まだまだ死亡率の上位に位置している。早期がんの治療法は進歩しているが、進行した胃がんだと、従来の治療ではなかなか対処しづらい。そういうときこそ、免疫力が力強い味方になる。胃がんに対する免疫細胞療法の効果を瀬田クリニックの後藤重則院長にお聞きした。


手術で取りきれないと手の施しようのない胃がん
  がんの部位別死亡統計を見ると、この30年でもっとも大きな変動があったのが、「胃がん」である。1970年、胃がんの死亡率は、他の部位の追随を許さないほどの圧倒的第1位の座にあった。それが、70年代、80年代と急速に減少して、今では、男性では肺がんにトップの座を譲って2位、女性では1位ではあるが大腸がんや乳がんとほとんど差がなくなってきた。
  しかし、いくら死亡率が低下してきたからと言っても、胃がんは軽視できるものではない。早期のものなら内視鏡で取り切れてしまうが、進行すれば、食事が摂れなくなり、急速に体力が低下する。肝臓へ転移してしまうと、治療は非常に困難になってくる。腹水がたまった状態からでは、元気になるのは非常に厳しいのが現実だ。
  抗がん剤が効きにくいというのも、進行した胃がんの治療を難しくしている点である。だからと言って、効果が出るようにと抗がん剤を大量に使うと、副作用が激しく出る。つまり、手術で取りきれない場合には、手の施しようのないのが胃がん治療の現状なのだ。
  瀬田クリニックへ免疫細胞療法を受けにみえるのは、手術で病巣部を取りきれなかったり、転移があったり、再発したりという通常の治療では対処しづらい方ばかりである。1999年から2004年の統計(瀬田クリニック発表)によると、胃がんの患者さん68名(抗がん剤などとの併用による治療を受けた人が19名、免疫細胞療法単独の人が49名)中、抗がん剤などとの併用治療の方の有効率が36・8%、免疫細胞療法単独治療の方の有効率が28・6%となっている。有効率というのは、完全寛解(がんが見えなくなりその状態が4週間以上続いた)、部分寛解(大きさが断面積として半分以下になった)、長期不変(不変の状態が6ヵ月以上継続した)を併せたものである。数字だけを見れば、抜群に高い有効率とは言えないかもしれない。しかし、その対象となる患者さんは通常の治療では治癒が厳しいという人ばかりである。そんな条件の中での治療ということを考えれば、この有効率は、大健闘と言える数字ではないだろうか。

あちこちに転移した胃がんが海外旅行に行けるまでに回復
  瀬田クリニックの後藤重則院長に印象的な胃がんの患者さんの例をあげてもらった。
「平成10年に胃がんの手術を受けた60代の女性ですが、3年たって腹水がたまり、水腎症、がん性の腹膜炎を発症、さらに卵巣やへそにも転移が見つかった状態で免疫細胞療法を始めたのです。
  体は衰弱し、ほとんど寝たきりに近い状態でした。常識的には、余命数ヵ月という診断になるのではないでしょうか」
  この患者さんには、リンパ球を活性化させると同時に、樹状細胞というがん細胞の抗原をリンパ球に伝え、リンパ球に攻撃を指令する療法(樹状細胞療法)も併用した。治療を始めて3ヵ月もすると、大きな変化が現れた。腹水を抜く必要がなくなり、へその腫瘍も小さくなって、水腎症も解消したのである。
  そして、さらにその3ヵ月後には、卵巣の腫瘍も小さくなった。体力も回復してきて、フランスへ旅行し、その数ヵ月後にはスペインに旅行に行っているのだから、目を見張るべき回復ぶりと言える。

 この患者さんは、スペイン旅行を楽しんでから約1年後に再発し、結果的には亡くなってしまったけれども、絶望的な状況になってからの約1年半というのは、免疫細胞療法を受けたことで、海外旅行に行けるまでの非常に高いQOL(生活の質)を得ることができ、将来への希望を持つことができた。たとえ1年半とは言え、彼女にとっては貴重な時間を有意義に使えたのではなかっただろうか。QOLを高めるという免疫細胞療法の重要な役割のひとつを、この症例の中に見ることができるような気がする。

骨やリンパ節への転移が消えた。体重も増えて元気を取り戻す

写真 治療前と後のCTの画像
胃がん治療画像 写真1 胃がん治療画像 写真2
治療前(縦隔のリンパ節に腫脹が認められる) 治療後(リンパ節の腫脹が消失している)

「もうひとりは、ジワジワと回復して、完全に元気を取り戻した方で、平成15年8月に胃の全摘手術を受けた70代の女性です。この時点で首のリンパ節、縦隔(左右の肺の間の部分)骨に転移があり、かなり厳しい状態です。抗がん剤をすすめられましたが、これを断って、免疫細胞療法を受け始めました」
  10月から免疫細胞療法が始まった。2週間に1度、3ヵ月で1クールが終わった。その時点で、リンパ節への転移がかなり小さくなっていた。平成16年2月から2ヵ月に1度と治療の間隔が広がった。そして、6回が終わった10月の検査では、さらに結果は良くなっていた。
「骨シンチでは、骨の病巣はなくなっていました。首のリンパ節も触診をすると柔らかくなっていました。縦隔も、CTでがんが認められなくなっていました(写真)」
  瀬田クリニック来院当初は、153センチという身長に対して、40キロを切るくらいしか体重がなく、見た目
にも病的だった。食事も通常の6割から7割しか摂れなかったのだから致し方なかったのだろう。
  しかし、免疫細胞療法を受けることで、食欲が出てきた。そして、現在は45キロくらいの体重になり、見た目もふっくらと健康的になっていると言う。
「さまざまなパターンがあって、どういう人にいい結果が出るかということは、一概には言えません。しかし、食べられなくなったり、寝たきりの状態だと厳しいですね。もっとも、そんな状態から回復した人もいるのであきらめる必要はないと思います。できれば、手術後早めに免疫細胞療法を受けた方が、良くなる確率は高いでしょう」(後藤院長)


本ページは、株式会社日本医療情報出版発行 月刊がん「もっといい日」 2005年4月号  「免疫細胞療法の効果@」に掲載された記事全文及び画像を転載しています。
なお、レイアウトは雑誌(縦書き)と同じではありません。
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