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連載B 
すい臓がんに対する
免疫細胞療法と抗がん剤の併用による効果

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すい臓がん
(月刊がん 「もっといい日」 2005年6月号 P70  記事全文を転載しております)

 


すい臓がん 治療医師 新横浜メディカルクリニック院長 金子 亨 取材協力◎新横浜メディカルクリニック院長 金子 亨
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免疫細胞療法と抗がん剤をうまく組み合わせることで、新横浜クリニックでは、難治性と言われるすい臓がんの再発から回復した人も出てきている。金子亨院長に、標準治療と免疫細胞療法の有効な併用法をお聞きした。

免疫細胞療法と抗がん剤は効果的な併用が可能
  免疫細胞療法を受けようと考える人にとって、もっとも気になるのは、標準治療、特に抗がん剤との併用をどうすればいいかという点だろう。
  抗がん剤は免疫力を低下させるといわれている。免疫を上げようとする免疫療法を行うときには、抗がん剤は足を引っ張る存在なのではと危惧されるからである。免疫細胞療法にはとても魅力を感じるが、抗がん剤をやめなければならないとなると不安だ。そんなジレンマを感じている人が非常に多い。
  新横浜メディカルクリニックの金子亨院長は、そんな患者さんの不安に対して、次のように答えている。
「がん、抗がん剤、免疫細胞療法の性質をしっかりと踏まえていれば、非常に効果的な併用ができます。抗がん剤というのは、標準的には4週間に1度使いますが、だいたい1週間で血中濃度が下がります。すると、次に投与するまで3週間は濃度の低い状態になり、その上、骨髄抑制がかかっていますから、免疫力も低下している。
  この休薬期間の3週間がもっともがんが大きくなりやすいわけです。標準治療では、この期間にやるべき治療法がないのです。
  ここに免疫細胞療法をはめこむと、さまざまなプラス効果が出ます」
  まず、抗がん剤投与直前にリンパ球用の採血を済ませ、2〜3週間後に抗がん剤の血中濃度が低下してきた時に、培養したリンパ球を体に戻す。その1〜2週間後に次の抗がん剤を投与というサイクルで治療を行うのだ。この方法を使えば、抗がん剤の量を3分の2ないし2分の1程度に減らすことも可能だという。つまり、抗がん剤の副作用も軽減できるということになる。

がん細胞の静止期には免疫細胞療法に重点を置く
  また、がん細胞がどんな状態にあるかによっての治療の組み立てもできる。
「がん細胞は、分裂が進む増殖期と大人しくしている静止期を繰り返します。
  抗がん剤は、増殖期のがん細胞に対して効果を示します。静止期にあるがんに抗がん剤を使ってもあまり効果は期待できません。増殖期のがん細胞が多いなら抗がん剤の割合を多くし、静止期のがん細胞が多いなら、抗がん剤は少なめ、免疫細胞療法に比重を置いた治療を考えれば効果はさらに高まります」
  これまでの標準治療では、抗がん剤の効きにくい静止期のがんに対しては、手術、放射線で対応してきた。しかし、がん細胞には、削り取られると必ず再生しようという力が働く。抗がん剤の休薬期間に、がん細胞が息を吹き返してくるというパターンが決して少なくない割合で起こっていたのだ。
  免疫細胞療法を治療に取り入れることで、このマイナス面が払拭できて、再発を防げる可能性もあると、金子院長は言う。
  金子院長は、元々は産婦人科が専門で、子宮がんや卵巣がんの患者さんを数多く診てきたが、今回とりあげたすい臓がんは、再発や難治性の観点から卵巣がんの治療に似ているところがあると言う。
  すい臓がんは、初期には自覚症状が見られないので早期発見が難しいとされている。発見されたときには、肝臓や十二指腸、胆管などの隣接する臓器に転移していることがほとんどで、手術できるのは、ほんの3割程度。手術できても、5年間生存できる人は1〜2割ほどしかいないのが現状だ。
  この治療の難しいすい臓がんに対して、金子院長は、免疫細胞療法と抗がん剤で立ち向かっている。
  瀬田クリニックグループの4クリニックで、1999年4月から2004年10月31日までに免疫細胞療法を施行されたすい臓がんの患者さんは197人。そのうち、画像診断で評価が可能だった人が54人。結果は以下の通り。免疫細胞療法単独の治療は18人で、部分寛解(PR)は2人、不変(SD)は10人、進行(PD)は6人。抗がん剤のジェムザールを併用した30人は部分寛解が3人、不変は12人、進行は15人。内服抗がん剤のTS−1を併用した6人は不変が1人、進行が5人。生存率をみると、免疫細胞療法にジェムザールを併用できている時期にはよい奏効率を示すが、ジェムザールを併用できなくなると急速に状態が悪化する例が多い。併用可能な時期をいかに延長するかが重要である(図参照)。
  免疫細胞療法は、抗がん剤治療と違って、不変というのが重要なポイント。縮小しなくても変化がなければ、免疫によって大きくなるのを抑えている効果が出ていると判断できる。つまり、部分寛解、不変は効果があったとの判定が可能だ。5年生存率のデータが出てくれば、効果の持続がどれくらいか、より詳細な判断ができるはずだ。

すい臓がん治療 参照グラフ


ジェムザールとの併用によって腹水のあった再発が抑えられた
「印象的な症例としては、60歳代の患者さんで、手術で病巣は取りきれ、再発防止のために免疫細胞療法を行っていました。しかし、しばらくすると再発があって、腹水がたまり始めました。そこで、免疫細胞療法にジェムザールを併用することにしました。3ヵ月くらいすると、腹水がなくなっていきました。再発してから2年になりますが、経過良好です。」
  抗がん剤と免疫細胞療法の併用によって相乗効果が得られた顕著な例だといえる。また、抗がん剤が少量ですむという点も患者さんへの肉体的な負担という点では大きい。確実に副作用が抑えられる。さらに、通常だと3ヵ月ほどの投与によって抗がん剤治療はストップを余儀なくされるが、投与量を減らせば、その期間を2〜3倍に延ばすことができる。長期間の治療プランを組み立てることができる。今後は、再発後の予後を左右する肝転移を抑制する目的で、肝動脈に直接抗がん剤と免疫細胞を注入するケースが増えてくるであろうと金子院長は予測している。
  抗がん剤と免疫細胞療法は、使い方を工夫すれば、お互いの長所を伸ばし合い、欠点を補い合うという良好な関係を築くことができる。がん治療の効果が飛躍的にアップすることを示唆する取り組みだといえるだろう。 
  

本ページは、株式会社日本医療情報出版発行 月刊がん「もっといい日」 2005年4月号  「免疫細胞療法の効果@」に掲載された記事全文及び画像を転載しています。
なお、レイアウトは雑誌(縦書き)と同じではありません。
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