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免疫細胞療法は単一な治療法の名称ではなく、免疫細胞を体外で処理、加工しそれを治療に用いるといった治療法のカテゴリーである。現状では主に T リンパ球、樹状細胞が使用されている。現在、細胞療法という分野で様々な治療が行われている。例えば、関節軟骨や皮膚を体外で培養し、関節の修復や火傷の治療に用いられており、細胞医薬という 21 世紀の医療の1分野とも言われている。免疫細胞を使った細胞療法が免疫細胞療法ということになる。
サイトカイン療法の治療効果の限界は大量に投与した場合に生じる強い毒性である。免疫細胞療法では体外で大量のサイトカインを免疫細胞に作用させ、サイトカインなどは洗浄、除去した上で細胞のみを投与する。サイトカインなどを直接に投与しないことにより、その副作用を回避することができることになる。この治療に使用される細胞としては、当初は T リンパ球が主体であったが、 1998 年頃からは抗原提示細胞である樹状細胞も研究、使用されるようになり現在にいたる【参考文献11)】。
T リンパ球を体外で増殖、活性化させて治療に使用する方法は活性化自己リンパ球療法であり、リンパ球を末梢血液中から抽出する場合を Lymphokine-activated killer (LAK) 療法、腫瘍組織中から抽出する場合を Tumor-infiltrating lymphocytes (TIL) 療法と呼んでいる。また、末梢血中のリンパ球を自己のがん細胞で感作した後に増殖、活性化する方法を CTL 療法と呼んでいる。 図3に示したように T リンパ球の中で、αβ型のT細胞受容体(TCR)をもつCD8陽性またはCD4陽性T細胞は IL-2 レセプター、 αβTCRに附随する CD3 分子、 αβTCR、 CD28 を介した4つのシグナルにより活性化することが知られている。これらの4つの活性化シグナルは、各々、医薬品製剤としての IL-2 、抗 CD3 抗体、自己がん細胞や樹状細胞表面の MHC 上のがん抗原ペプチド、 CD80/86(B7 分子)によってすべて体外で刺激を与えることが可能である。また、 T リンパ球は末梢血中には多量に含まれており、 20ml 程度から 1 × 107個のリンパ球を分離することが可能であり、IL-2と抗CD3抗体を含む培地で2週間程度培養することによって 5 × 109 個以上の活性化 T リンパ球を増殖させることができる。1 × 107個のリンパ球のうち、 T リンパ球は約半数の 5 × 106個とすると、2週間で 1000 倍程度に増殖させることが可能となる。この培養方法で得られる細胞のほとんどは、αβTCRを持つT細胞であることが確認されている。
また、T細胞には、αβTCRとは異なるγδ型のTCRを持つγδT細胞も存在し、γδT細胞は、がん細胞など抗原提示細胞がアミノビスフォスフォネートによりメバロン酸代謝経路が阻害されることで蓄積されるイソペンテニルピロリン酸(IPP)をγδTCRで認識して活性化・増殖をすることが知られている。
一方、樹状細胞ワクチン療法は末梢血の採取あるいは成分分離採血 (Apheresis) により大量の血液から採取した単球を体外でインターロイキン4および GM-CSF を作用させ、樹状細胞に分化させ、そこに抗原を加えて、抗原を提示させたものを投与する治療法である【参考文献11)】。抗原としては患者自己のがん組織の溶解物あるいは既知の抗原ペプチドを合成して使用することも可能である。

(図3) ※画像をクリックすると拡大表示されます。

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