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免疫細胞治療とオプジーボ®
院長ブログ

2022年2月2日

免疫細胞治療とオプジーボ

患者さんからよく受ける質問の中の1つに、「ニボルマブ(オプジーボ®)などの免疫チェックポイント阻害剤とはどのような治療ですか?」があります。私たちは主にがん免疫療法の中の細胞治療を行ってきました。免疫チェックポイント阻害剤はお薬ですから、細胞治療とは異なる治療法です。当院のWEB上でも併用治療として多少の説明が載っていますが、もう少し詳しくかみ砕いて説明したいと思います。ちょっと長くなりますが、よろしければお付き合いください。

まず、がん細胞に対するT細胞による免疫応答について細胞レベルでみてみましょう。

免疫細胞治療とオプジーボ

樹状細胞はがん細胞を細胞の中に取り込んで、細胞内で消化、プロセスした上でがん細胞特有のタンパクをMHCという分子と結合させて細胞表面に掲げて、T細胞にその特有のタンパクを標的として攻撃するように司令をします。この特有のタンパクを抗原といい、この過程を抗原提示と言います。攻撃司令を受けたT細胞は、その抗原を細胞表面に掲げたがん細胞をみつけて攻撃することになります。この過程ががん細胞の殺傷です。
以上を単純にまとめると、「司令塔である樹状細胞は兵隊となるT細胞にがん細胞を攻撃司令します。司令を受けたT細胞はがん細胞を攻撃、殺傷します」ということになります。
さらに身体の中のどこで、これが行われるかを含めて図解したものが有名なcancer-immunity cycleです。

免疫細胞治療とオプジーボ

次に免疫チェックポイントについて説明します。
樹状細胞によるT細胞への攻撃司令(すなわち抗原提示)、T細胞によるがん細胞の殺傷は、いずれもがん抗原が結合したMHCという分子とT細胞の結合によって起こります。この結合部位を拡大した図を、先の図に組み入れたものが下記です。この結合部位の隣にPD-1とPD-L1という分子が存在し、その分子の結合が生じると抗原提示やがん細胞の殺傷が抑制されてしまいます。PD-1とPD-L1の結合により、T細胞の攻撃が抑制されてしまいますが、このしくみを免疫チェックポイントといいます。すなわち、がん細胞はPD-1、PD-L1*という分子を使って、T細胞からの攻撃に対して防御をしているわけです。

免疫細胞治療とオプジーボ

*免疫チェックポイントに働く分子はPD-1、PD-L1以外にも多くの分子が知られています。

以上をすべてまとめると、「司令塔である樹状細胞は兵隊となるT細胞にがん細胞を攻撃司令します。司令を受けたT細胞はがん細胞を攻撃、殺傷します。がん細胞はPD-1、PD-L1という武器を使って、T細胞からの攻撃から身を守っています。」ということになります。
このPD-1とPD-L1の結合、すなわち免疫チェックポイントを阻止するお薬がオプジーボ®です。このオプジーボ®はがん治療において画期的な薬となり、現在、多くのがんで保険承認されて使われています。ただ、オプジーボ®ももちろん、万能薬というわけではなく、血液のがんを除くと有効例は数十%止まりです。
いつも、ここまでを患者さんに説明すると、閃いたように「それでは先生、細胞治療で攻撃を高めて、さらにオプジーボ®を使えば完璧で、よく効くのではないですか?」とよく言われます。もちろん、私たちもプロですからそれに気がつかないはずはありません。
ただ、オプジーボ®と細胞治療の併用はいくつかの期待されることと問題点もあります。
瀬田クリニック東京では「免疫細胞療法と免疫チェックポイント阻害薬併用の安全性に関する探索的臨床研究」を2017年に開始しました。
それ以降のことは後日、ご報告したいと思います。

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