2023年度の厚生労働省の調査によると、35歳から89歳までの死因のトップはがんです。40代を機にがんのリスクは年々高まっていくので、40代前後になると「何か対策をした方がよいのか?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、40代のがんの罹患率や多く見られるがんの種類とその兆候、早期発見の重要性について解説します。がん予防につながる生活習慣やがん治療の選択肢も併せてご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
※参考:厚生労働省.「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5.pdf ,(2025-02-21).
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40代のがん罹患率
2020年の調査によると、全部位において新たにがんと診断された数(がん罹患数)は、40代の男女合わせて6万2,732件(上皮内がん含む)でした(※1)。同年の30代のがん罹患数である2万4,035件(上皮内がん含む)と比較すると、3倍ほど罹患数が増えることからも、いかに40代から急激にがんのリスクが高まるかが分かります。
また、新たに診断されたがんの数を同じ期間の人口で割って算出するがん罹患率を見てみると、40代の10万人当たりのがん罹患率は341.9です。
※2020年10月1日時点の40~49歳の人口を基に算出(※2)、小数点第二位以下切り捨て
つまり40代の人口10万人当たり341例のがんが新たに見つかったということになります。では40代で見つかるがんは、どのような種類が多いのでしょうか。次項で詳しく解説します。
※1 参考:国立がん研究センターがん情報サービス.「がん統計」(全国がん登録).
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#anchor2 ,(参照 2025-02-21).
※2 参考:e-Stat 政府統計の総合窓口.「人口推計 各年10月1日現在人口 令和2年国勢調査基準 統計表」.
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003448228 ,(参照 2025-02-21).
40代に多いがんの種類
40代のがん罹患数が多い部位を見てみましょう。
部位 | 40代のがん罹患数(総数) |
---|---|
乳房(上皮内がん含む) | 19,657件 |
子宮(上皮内がん含む) | 12,569件 |
大腸(上皮内がん含む) | 7,930件 |
甲状腺 | 2,648件 |
卵巣 | 2,172件 |
肺(上皮内がん含む) | 2,157件 |
胃 | 2,126件 |
悪性リンパ腫 | 1,620件 |
腎・尿路(膀胱除く) | 1,384件 |
口腔・咽頭 | 1,309件 |
数だけで比較すると、乳房でがんを発症するリスクが最も高いです。大腸は結腸や直腸の症例数を含んでおり、子宮も子宮頸部と子宮体部の合計値となっているので、比較的件数が多い傾向にあります。
件数の違いはあれど、全身の主要な部位が上位にあることが分かります。がんを発症すると生活に大きな影響を与えかねません。仕事や育児、介護と忙しさに追われがちな40代ですが、がん検診は必ず受けましょう。
参考:国立がん研究センターがん情報サービス.「がん統計」(全国がん登録).
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#anchor2 ,(参照 2025-02-21).
40代で注意すべきがんの兆候
ここではがん罹患数の上位にあった部位で発症し得るがんの兆候について、ご紹介します。必ずしも全てががんに直結するとは限りませんが、少しの変化も見逃さず早期発見につなげるためにも、しっかりと把握しておきましょう。
乳房:乳がん
乳房は、乳頭から伸びる「乳管」とその先にある「小葉」の2カ所にがんが発症しやすく、乳がんと総称されます。乳がんは小さいうちに発見できれば、比較的治る可能性が高いといわれています。
乳がんの主な症状は、乳房にできるしこりです。触っても痛みを感じない、硬い、動きにくいといった特徴がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。他にも乳房にくぼみができる、乳頭や乳輪がただれる、乳頭から分泌物が出るといった変化も注意が必要です。
子宮:子宮頸がん・子宮体がん
子宮は、入り口付近にできる「子宮頸がん」と奥側にできる「子宮体がん(子宮内膜がん)」の2種類があります。子宮頸がんは20代後半から増え始めるため、早くから検診を受けている方も多いでしょう。一方子宮体がんは40代から増え始めるといわれています。
子宮頸がんの主な症状は、月経以外での不正出血やおりものの増加です。ただし早期の段階では症状が現れにくく、あっても少量のケースが多いので気が付きにくいのが実情です。そのため、定期的に健診を受けて早期発見につなげましょう。
子宮体がんの主な症状も、月経以外の不正出血とおりものの増加です。他にも下腹部の痛みや排尿時の痛みを感じることもあります。早期の段階から比較的症状が出るので、サインを見逃さず違和感があったら、早めに医療機関を受診しましょう。
大腸:結腸がん、直腸がん
大腸は、結腸(盲腸・上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)に分けられます。腺腫という良性のポリープががんになるケースと表面の粘膜から発生するケースがあり、便が長くたまりやすいS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸がんの主な症状は、便に血が混じる、便の表面に血液が付着するなどです。ただし早期の段階では症状がほとんどなく、ある程度がんが進行してからこれらの症状が出ます。血便は痔などでも起こり得るので自己判断で放置しやすいですが、早めに医療機関を受診しましょう。
肺:肺がん
肺は、気管や気管支、肺葉、肺胞などから構成され、一部の細胞が何らかの原因でがん化したものを肺がんと呼びます。小細胞がんと非小細胞がんの2つに分けられ、進行速度や治療方法などに違いがあります。
肺がんの主な症状は、咳や痰・血痰、息切れなどです。ただし早期の段階では自覚症状が現れにくいので、気が付かないうちにがんが進行し、胸の痛みや倦怠感、声のかすれといった症状が出ることもあります。
風邪や他の呼吸器系の疾患でも同様の症状が見られるので、市販薬でやり過ごしてしまいがちですが、2週間以上咳が続くようであれば、早めに医療機関を受診しましょう。
胃:胃がん
胃は、食道からつながる噴門から十二指腸へ続く幽門までの部位のことです。また、胃の壁は粘膜層・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜の5層で構成されています。胃がんは胃炎や萎縮などを経て胃がんへと進むことが多く、がんが大きくなるにつれて、粘膜の層の深くにある漿膜へと進んで行きます。
胃がんの主な症状は、胃の痛みや不快感、胸やけ、食欲不振などです。ただし早期の段階での自覚症状はほとんどなく、あったとしても胃炎や胃潰瘍でも同様の症状が現れるため、見逃してしまいがちです。胃の辺りに少しでも違和感があったら、早めに医療機関で検査をしてもらいましょう。
40代こそ受診を!がんの早期発見に検診が重要な理由
厚生労働省は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、市町村向けにがん検診の実施を推奨しています。指針で定められている検診は以下の通りです(※1)。
検診の種類 | 検査項目 | 対象者 |
---|---|---|
乳がん検診 |
|
40歳以上 |
大腸がん検診 |
|
40歳以上 |
子宮頸がん検診 |
|
20歳以上 ※内容によっては30歳以上 |
胃がん検診 |
|
50歳以上 ※当面の間、胃のエックス線検査においては40歳以上も実施可 |
肺がん検診 |
|
40歳以上 |
厚生労働省が定めるがん検診の目的は「早期発見・早期治療を行い、がんによる死亡率を下げる」ことにあります。そのため、がん罹患率が高くなる40代から検診を推奨しているのです。事実、がん検診によって早期にがんを見つけられれば、80~90%は治ることが分かっています(※2)。
40代であればリスクの高いがんの検診はほぼ全て受けられるので、積極的に利用しましょう。
※1 参考:厚生労働省.「がん検診」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html ,(参照2025-02-21).
※2 参考:政府広報オンライン.「生活習慣病の予防と早期発見のために がん検診&特定健診・特定保健指導の受診を!」.
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201402/1.html#fourthSection ,(参照2025-02-21).
40代から始めるがん予防
がんは、健康的な生活を送ることで発症リスクや再発リスクを下げられることが分かっています。では具体的にどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ここでは、以下の4つの項目を解説します、
- ●喫煙
- ●飲酒
- ●食事
- ●運動
喫煙
たばこの煙には、200種類以上の有害物質が含まれており、そのうちの60種類は発がん性があるといわれています。煙は口や気管、胃などさまざまな臓器を通過するので、喫煙は肺がんをはじめ、食道がんや膵臓がん、胃がん、大腸がん、子宮頸がん、膀胱がんなど多くのがんに関連することが分かっています。喫煙者はがんへの関心を持ったことを機に、禁煙を始めてみましょう。
また、非喫煙者もご自身の意思とは関係なくたばこの煙を吸い込むことで、がんのリスクを高めてしまう点に注意が必要です。
飲酒
飲酒はアルコール摂取量によって、がんのリスクが高まってしまう恐れがあります。特に肝細胞がんや食道がん、大腸がんとの関連性が研究により明らかになっています。また女性の方が飲酒による影響を受けやすいです。
すぐに禁酒をするのは難しい場合は、1日に飲む量を純エタノール量換算で23g以下にとどめましょう。
- 【純エタノール量換算で23g以下の目安】
-
- ●ビール大瓶(633ml):1本
- ●日本酒:1合
- ●焼酎や泡盛:原液で1合の2/3
- ●ワイン:ボトル1/3程度
- ●ウイスキーやブランデー:ダブル1杯
食事
食事は「塩分の取り過ぎ」「食べ物の温度」の2点に注意が必要です。
塩分濃度が高い食事を多く取る人は、胃がんのリスクが高まることが分かっています。厚生労働省が推奨する1日の食塩摂取量である「成人の目標量:6g未満(※)」の塩分量になるよう、日々の食生活を見直しましょう。
また、食べ物の温度にも注意が必要です。熱いまま飲み物や食べ物を取ると、食道がんの粘膜を傷つけて、食道がんのリスクを高めてしまいます。過度に熱いものは冷ましてから食べる習慣を身に付けましょう。
※参考:厚生労働省.「「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」.
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html ,(参照2025-02-21).
運動
仕事や運動などで身体活動量が高い人ほど、がんのリスクが低下することが研究で分かっています。特に男性は大腸がんが、女性は乳がんのリスクが下がりやすいです。適度な運動は心疾患や生活習慣病の予防にもなるので、少しずつ運動の習慣を身に付けましょう。
強度の高い運動はかえって体にダメージを与えてしまうだけでなく、なかなか習慣化しにくいので、歩行またはそれと同程度の強度の運動を1日60分行ってみましょう。例えば、エスカレーターやエレベーターを使わずに階段を利用する、1駅分歩くといった方法であれば日々の生活に取り入れやすいです。体が慣れてきたら、週に1回程度息がはずみ汗をかくような運動を60分追加すると、さらに効果が高まります。
適度な運動は適正体重を維持することにもつながるので、積極的に取り組んでみてください。
がんの主な治療法
がんは、患者さんの状態やがんの進行度によって医師が適した治療法を検討・提案します。医師と相談の上、ご自身の要望を反映することもできるので、どのような方法があるのか、どのような違いがあるのかをしっかり理解しておきましょう。
ここでは、手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法の4つを比較します。
治療法 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
手術療法 | 手術によりがんを直接取り除く方法。開腹手術や腹腔鏡手術、内視鏡手術など | がんを完全に取り除けるので、転移が見られなければ根治を目指せる | 体に大きな負担がある。痛みや感染症といった合併症が起こるリスクがある |
放射線療法 | 放射線を使ってがん細胞を破壊する方法。ガンマ線や重粒子線など | 体への負担が比較的少ない。手術ができない状態でも治療できるケースが多い | 正常な細胞に影響が出る場合がある。強い副作用が生じるリスクがある |
薬物療法 | 薬を使ってがん細胞を攻撃する方法。抗がん剤やホルモン療法など | がんの進行を抑えたり症状を和らげたりできる。手術ができない状態でも対応可能なケースがある | 強い副作用が生じるリスクがある |
免疫療法 | 体に備わった免疫を強化してがん細胞を排除する方法。免疫チェックポイント阻害剤や免疫細胞治療など | 患者さん自身の免疫を使うので、副作用が少ない。全身に作用する | 保険適用ではない治療方法がある 治療を受けられる場所が少ない |
がんの治療は、一つの治療法のみを用いることもあれば、複数の治療法を組み合わせる場合もあります。ご自身のがんの種類や進行状況により受けられる治療法が異なるので、事前に説明を受けて納得した上で治療を始めましょう。
まとめ
がんは40代から罹患率が高まる病気です。30代と比較すると約3倍も罹患数が増えるので、がんの対策について考える方も多いです。特に、乳がんや大腸がん、子宮がん、胃がんの症例数が多いので、自治体で実施しているがん検診を積極的に受けて、がんの早期発見を目指しましょう。
また、喫煙や飲酒、食事、運動といった日々の生活を見直すことも、がんのリスク低下につながります。すぐに全てを始めるのは難しいので、長期的にストレスなく継続できる方法を考えて実践してみることが大切です。
もしがんを発症して治療を行うことになったら、本記事で紹介したような治療方法を医師から提案されます。それぞれメリットやデメリットがあるので、ご自身が納得できるものを選択しましょう。
瀬田クリニック東京では、前述したがんの主な4つの治療法の一つ、免疫療法のうち「免疫細胞治療」を専門に行っています。免疫細胞治療では患者さんの血液から免疫細胞を採取、培養して増殖・活性化させます。その後点滴や注射などで体内に戻して、がん細胞を攻撃させる方法です。ご自身の細胞を使って行う個別化がん免疫療法(オーダーメイド医療)を提案できるのが特徴です。


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