抗がん剤治療を受ける中で、体や手足のしびれを感じることがありますが、これは、抗がん剤の副作用として見られる症状の一つです。しびれは日常生活に大きく支障を来すことがあります。快適な生活を送るために、原因や軽減する方法を知っておきましょう。
この文章では、抗がん剤治療によって引き起こされる「しびれ」に焦点を当て、その症状や原因、そして具体的な対処法について詳しく解説します。
無料

- 資料請求・お問合せ
当院の免疫療法に関するパンフレットを無料でお届けします。医師が免疫療法のよくある質問にお答えする小冊子付き。
詳しくはお電話やフォームからお申込みください。
- メールフォームはこちら
資料請求
抗がん剤治療によるしびれの症状とは
抗がん剤治療(薬物療法)では、薬の種類や投与量・投与期間によりさまざまな副作用が現れることがあります。ビリビリとした感じや力の入りにくさなどが現れる「しびれ」もその一つです。
しびれは手足だけではなく、皮膚や口元、歯、のどなどにも現れる場合があります。患者さんにより痛みの程度は異なり、手がピリピリする程度から日常生活がままならなくなるほどまで、さまざまです。
我慢しても症状が改善するわけではないため、抗がん剤治療からある程度経過した後、手足や皮膚の感覚異常が現れたときは副作用を疑い、できるだけ早めに医師に相談しましょう。また手足がピリピリするなどの症状は外見から判断できるものではないため、具体的に伝えることが大切です。
抗がん剤によるしびれの具体的症状
抗がん剤によるしびれの感じ方は、患者さんによって異なります。以下に代表的な症状を紹介します。
- ●感覚の変化:
手足など体の一部がビリビリ、ジンジンする - ●感覚の強化:
手足など体の一部に何か触れると痛みでビリっとする - ●感覚の鈍化:
手袋を着けているように感覚が鈍い
これらの感覚の変化・強化・鈍化が原因で、以下のような体の動かしにくさや、日常生活での困難が生じることもあります。
- ●文字がうまく書けない
- ●つかんでいる物をよく落とす
- ●服のボタンをうまく留められない
- ●靴や靴下が履きにくい
- ●つまずきやすくなった
- ●水がいつもよりひどく冷たく感じる
- ●お湯やカイロなどの熱さをいつもより感じない
- ●食べ物や飲み物が飲み込みにくい
食べ物の飲み込みにくさなど、一見するとしびれが原因とは分かりにくいものもあります。抗がん剤の種類によっては、手足だけではなく口周りにしびれが現れることもあるため、気になる症状があるときは自己判断せず医師に相談しましょう。
抗がん剤によるしびれの程度
前述の通り抗がん剤治療が原因のしびれの感じ方には個人差があります。また投与した抗がん剤の種類によって、しびれの程度は異なるといわれています。さらに治療回数・期間によってもしびれの程度は変化し、治療の初期にはしびれを感じていなかった人も、投与回数を重ねるうちにしびれが生じたり、重くなったりするケースもあります。
現在のしびれの状況を医師に伝えるときは、5段階評価や10段階評価など、客観的な指標を用いると良いでしょう。具体的には痛みのない状態を0とし、我慢できないほどの痛みを伴う状態を5または10とし、現在のしびれがどこに当てはまるかを伝えます。
また痛みを伴うしびれは「焼けるような」や「鈍い」「ぼんやりとした」「締め付けられるような」など、自身の状態に適した表現を見つけて伝えましょう。もし言葉で表現するのが難しいときは、ジリジリやピリピリのように、擬音語(オノマトペ)を使うのもおすすめです。
抗がん剤治療によるしびれの原因
抗がん剤治療によりしびれが生じる原因は、何らかの理由により末梢(まっしょう)神経の働きが阻害され、末梢神経障害を発症するためと考えられています。末梢神経とは脳と脊髄以外の神経を指します。全身に分布しており、大別すると以下の3つです。
- ●運動神経:全身の筋肉を動かす神経
- ●感覚神経:感触や感覚、振動、関節の位置などを感じる神経
- ●自律神経:体温や血圧の調節、内臓の働きを調節する神経
抗がん剤治療が原因のしびれが感覚神経に生じた場合、手足や皮膚などに違和感として現れます。なお、運動神経や自律神経にも生じ、「しびれはないが体を動かしにくい」「排泄しにくい」「大量の汗が出る」などの症状を伴うこともあるため注意しましょう。
抗がん剤治療で末梢神経障害が生じる要因
抗がん剤治療により末梢神経の働きが阻害される詳しい原因は分かっていません。「がん細胞の増殖を抑える際に、末梢神経の細胞にもダメージを与えているため」「薬剤の蓄積、遺伝子による感受性の違い」など、さまざまな要因が考えられています。
抗がん剤治療によりしびれが生じる時期
抗がん剤治療によりしびれが生じる時期は、抗がん剤の種類や投与量・投与期間、個人によっても異なります。早ければ投与から2日程度で症状が現れるケースもあるものの、治療開始から数週間~数カ月など、しばらく経ってから症状が現れることもあります。
しびれが出やすい抗がん剤の種類
しびれが出やすいといわれている抗がん剤は、以下の通りです。
- ●プラチナ系製剤:
シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチンなど - ●タキサン系製剤:
パクリタキセル、ドセタキセルなど - ●ビンカアルカロイド系製剤:
ビンクリスチン、ロゼウスなど - ●プロテアソーム阻害薬:
ベルケイド、カイプロリスなど - ●免疫チェックポイント阻害薬
ただし、しびれが生じるかどうかは投与量や個人によっても異なります。これらの抗がん剤を使ったからといって、必ずしびれが出るわけではありません。
抗がん剤が原因のしびれは治療できる?
現時点で、抗がん剤治療が原因のしびれに対する有効な治療法や予防方法は確立されていません。このため、治療は鎮痛剤の使用や抗がん剤の種類の変更など、対症療法が中心となります。
また抗がん剤治療が終了した後、徐々にしびれが回復する場合もあれば、症状が和らぐまで数カ月~数年かかることもあります。しびれが完全には回復せず、残ってしまう可能性も否めません。
ただし、治療方法が確立されていないからといって、病院に行かずにしびれを我慢してはなりません。しびれの中には、抗がん剤治療の副作用が原因のものもあれば、がんそのものが原因であったり、別の病気を患っていたりするケースもあります。そのため、しびれがあるときは、まず医師に相談しましょう。
抗がん剤治療によるしびれの対処法
抗がん剤治療の副作用によりしびれが現れたときは、患者さんの体調やがんの状態から医師が判断し、以下の方法が取られることがあります。
- ●抗がん剤治療の仕様の変更
- ●薬剤を使用した対症療法
なお、薬の減量や服用を自己判断で行うのは危険です。医師に相談した上で判断しましょう。
抗がん剤治療の仕様変更
抗がん剤治療の仕様変更では、使用する抗がん剤の変更や減量、休薬をする場合があります。減薬や休薬は副作用が重度の場合に取られることが多く、体の回復を待った後治療を再開するのが一般的です。
ただし、抗がん剤の量を減らしたり、休んだりすれば、がん治療の効果にも影響が出ると考えられます。対症療法なども行った上で、減薬や休薬を行うリスクも考慮し、医師と共に判断する必要があります。
薬剤を使用した対症療法
薬剤を使用した対症療法では、鎮痛薬の他に抗うつ薬や抗けいれん薬、疼痛治療薬、漢方薬、ビタミン剤などを患者さんの状態に応じて処方します。これらの薬は、科学的に抗がん剤が原因のしびれに効果があることが証明されているわけではないものの、症状が和らぐ患者さんもいます。
一方、抗うつ薬などを使うことで、めまいや眠気など別の副作用が現れるケースもあるため注意が必要です。
抗がん剤治療でしびれが出たときの日常生活での工夫
抗がん剤治療によるしびれは、ちょっとした工夫により症状が和らいだり、生活がしやすくなったりします。日常生活中に取り入れられる工夫を紹介します。
- ●しびれのある部分を温める
- ●お風呂・マッサージ・運動で血行を促進する
- ●締め付けの少ない、ゆったりとした衣類を身に付ける
- ●冷たいものを触ったり飲んだりしない
- ●やけど・けが・転倒に注意する
- ●しびれがあっても使いやすい物をそろえる
- ●家族や周りの人を頼る
しびれのある部分を温める
しびれのある部分は、温めると症状が和らぐことがあります。手足にしびれがあるときは、夏場でも手袋や靴下を着用し、冷やさないようにしましょう。
お風呂・マッサージ・運動で血行を促進する
全身を温め、血行を促進することによってもしびれの緩和が期待できます。お風呂は体が温まるだけではなく、リラックスできるため心の緊張をほぐす上でも効果的です。不快感がなければ、入浴中にしびれのある部分を優しくマッサージすると良いでしょう。
また手足の指でグー・パーの動作を繰り返したり、柔らかいボールを握ったりして、関節を積極的に動かすのもおすすめです。
締め付けの少ない、ゆったりとした衣類を身に付ける
締め付けのある衣類は血行を悪化させ、しびれが強くなることがあります。小さな下着や衣服、窮屈な靴などは避け、柔らかい素材でサイズに余裕のあるものを選びましょう。また時計や指輪など、指や手首を締め付けるアクセサリーも控えるようにします。
冷たいものを触ったり飲んだりしない
しびれは、冷たいものに触れることによる寒冷刺激で悪化する場合があります。飲み物は常温にして、家事や洗顔、入浴でもできるだけ温水を使いましょう。またエアコンの冷気に直接当たらないよう注意します。冬場は床や便座などの冷たさも刺激となるため、靴下を履いたり、便座カバーを被せたりなど、冷えを感じない工夫が必要です。
やけど・けが・転倒に注意する
しびれがあることで、やけど・けが・転倒のリスクが高まります。
お湯の温度を確認するときは温度計を使い、カイロや湯たんぽは時間を決めて使い低温やけどを防ぐことが大切です。調理中は鍋などに触れても熱さを感じにくいため、鍋つかみを活用しましょう。
調理中は、カット済みの野菜や肉・魚を使う、包丁ではなくピーラーやフードプロセッサーを使うなどすれば、けがを防止できます。買い物は自分で行かずに通販を活用すれば、車の運転や重い物の移動を避けられます。
また足先のしびれにより感覚が低下しているため、つまずきの原因となる不用品は床から取り除きましょう。手すりや滑り止めがあると、より歩きやすくなります。
しびれがあっても使いやすい物をそろえる
衣類に小さなボタンがあると、着脱に時間がかかります。かぶりタイプや面ファスナーなどは着脱しやすくなりおすすめです。箸が使いにくいときはスプーンやフォークなどを使いましょう。なお、介護用の便利グッズの中には、しびれがある人も使いやすい物が多くあります。
家族や周りの人を頼る
しびれがありつらいときは、積極的に家族や周りの人を頼りましょう。全てを自分で行おうとすると、肉体的・精神的な負担につながります。しびれによりどのようなことができずに困っているのかを、具体的に説明すると周りの人はサポートしやすくなります。
抗がん剤のしびれに悩む患者さんに家族ができること
抗がん剤によるしびれは長引くことが多く、患者さんの心身に大きな負担となります。また患者さんによっては、しびれに伴う体の変化に気が付かず、けがの原因となる恐れも否めません。
ご家族はちょっとした動作でも手伝えることがないかを確認し、積極的にサポートしましょう。患者さんの体の変化は、本人よりも身近にいるご家族の方が先に気が付くことも多いです。変化が見られたときは、なるべく早く担当医に相談しましょう。
まとめ
しびれは抗がん剤の副作用の一つで、明確な原因は分かっていないものの、末梢神経の阻害により生じると考えられています。しびれの程度や期間は患者さんにより異なり、中には日常生活に支障を来したり、治療後も回復しなかったりするケースもあります。
抗がん剤が原因のしびれに悩んでいるときは、治療方法の変更も選択肢の一つです。
免疫療法専門医療機関の瀬田クリニック東京では、副作用の少ない「免疫細胞治療」を行っています。化学療法や放射線療法との併用の他、免疫細胞治療単独での治療例もあります。無料の資料も配布しているため、まずはお気軽にお問い合わせください。


無料

- 資料請求・お問合せ
当院の免疫療法に関するパンフレットを無料でお届けします。医師が免疫療法のよくある質問にお答えする小冊子付き。
詳しくはお電話やフォームからお申込みください。
- メールフォームはこちら
資料請求