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症例紹介-膵臓がんに対する免疫療法

化学療法と樹状細胞ワクチン療法併用で、2年以上安定を維持している 手術不適応の膵がん症例

患者さん:
60歳代 女性
治療法:
樹状細胞ワクチン療法, アルファ・ベータT細胞療法

治療までの経緯

2014年5月、通院治療していた糖尿病の定期検査で肝機能の数値が高かったため、大学病院で詳しい検査を受けた結果、肺に転移がある膵頭部癌(ステージ4b)と診断されました。手術の適応ではなかったため、同年7月より抗がん剤治療(フォルフィリノックス療法)が開始され、同月に免疫細胞治療検討のため当院へ受診されました。

治療内容と経過

免疫の状態を調べる検査(免疫機能検査)とがん細胞の目印を調べる検査(免疫組織化学染色検査)の結果より、アルファ・ベータT細胞療法を2回受けた後に3種類の人工がん抗原を使用したペプチド感作樹状細胞ワクチン療法が開始されました。2015年1月、副作用のため抗がん剤治療がフォルフィリノックスからジェムザールへ、また同年10月には腫瘍マーカー(CA19-9)上昇のためティーエスワンに変更になりました。一方で免疫細胞治療による副作用はありませんでした。定期的に受けているCT検査では膵癌と肺転移は大きくならずに経過しています。

考察

フォルフィリノックス療法は、ステージ4の膵癌治療に対して最も効果が高い治療ですが、副作用も多くみられ継続が難しい治療法です。継続できずに次にティーエスワンで治療した場合の平均生存期間中央値(その集団において、半分の患者さんが亡くなられるまでの期間)は4.5ヶ月であったとの報告があります。この患者さんの場合は、診断から2年以上経過しましたが、日常生活は病気になる前と変わらず行うことができ、現在もティーエスワンと樹状細胞ワクチン療法を継続して受けられ、病状も安定を維持しています。

治療の経過

マーカーの推移、CT画像の変化
治療経過とマーカーの推移、CT画像の変化

膵がんとは

約8割は消化液が流れる膵管に発生。男女とも60歳以降年齢とともに増加。明確なリスク要因には喫煙習慣がある。自覚症状は黄疸や背中の痛み、体重の急激な減少など。