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症例紹介-卵巣がんに対する免疫療法

化学療法・手術・免疫細胞療法を併用して、がんが完全消失した後、周期的投与で2年間がんを制御できている症例(腹水貯留のあるⅣ期卵巣がん)

患者さん:
51歳 女性
治療法:
樹状細胞ワクチン療法, アルファ・ベータT細胞療法

治療までの経緯

2003年12月より呼吸苦があり、翌1月に右側胸水が溜まっていたため、胸水3リットルを抜いたところ、細胞診で進行腺がんと診断されました。CA125は7,792U/ml(正常値:35以下)で、PET・MRI・CTによる精査の結果、癌性胸膜炎を伴うⅣ期の卵巣がんと診断されました。術前化学療法(パクリタキセル、カルボプラチン)を4クール終了したところ、胸水はほぼ見られなくなり、CA125は235まで低下、原発巣が縮小した為、根治手術を行うことになりました。免疫細胞療法を併用した術後補助療法を検討する為に2004年5月26日に当院を受診されました。

治療内容と経過

2004年6月1日に手術を行い、原発部位は完全に切除することができましたが、右横隔膜と肝臓の境に目で見える大きさの腫瘍が残りました。手術後は切除した原発部位の一部を使って自己がん細胞感作樹状細胞ワクチン療法アルファ・ベータT細胞療法を術後補助化学療法(パクリタキセル、カルボプラチン)と併用して行いました。この治療により、CA125は正常化し、2004年10月20日にCT検査ではがんは見当たらないと判定され、また12月9日にはPET-CTで手術で取り残した部分も含めて、がんは消失したと評価されました。その後も維持療法としてアルファ・ベータT細胞療法を続けていましたが、2005年5月27日にはCA125が再上昇し、PETでは横隔膜と肝臓の境と腹膜に腫瘍が認められました。そのため再び化学療法(パクリタキセル、カルボプラチン)に樹状細胞ワクチン療法とアルファ・ベータT細胞療法を行ったところ、8月12日にはCA125が20に低下し、CTでも縮小が見られました。その後も化学療法と併用しながら樹状細胞療法とアルファ・ベータT細胞療法を続けています。2006年9月6日のCTでは右肺に5mmの転移巣が認められましたが、これらの術後の併用治療を通して、全身状態は良好に保たれており、化学療法の副作用も軽度で経過しています。

 

卵巣がんに対する免疫療法case18

考察

化学療法への感受性が良く、転移巣の制御ができ、原発部位の完全切除ができたことが有利な点でしたが、癌性胸膜炎を伴うⅣ期卵巣がんを消失させることができたこと、化学療法の副作用が比較的軽度で、副作用に対する補完療法なく、手術後2年以上がんを制御できていることは意義深いと思われます。

卵巣がんとは

40-60歳代女性に多く、多くはかなり大きくなるまで無症状。進行すると外から腫瘍をふれる、圧迫感などの症状があらわれる。婦人科がんの中では化学療法が効きやすいとされる。

 
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