×閉じる

当院と連携している全国の医療機関

×閉じる

症例紹介-前立腺がんに対する免疫療法

抗がん剤、及びホルモン療法が無効であった進行前立腺がんに対して、免疫細胞治療を併用して著効した一例

患者さん:
68歳 男性
治療法:
アルファ・ベータT細胞療法, ガンマ・デルタT細胞療法

治療までの経緯

2006年1月に前立腺の一部を切り取り、顕微鏡で観察する病理検査を実施したところ(PSA値は138 ng/mL)、がんの悪性度(グレーソンスコア:最大10)は9で、非常に悪性度が高く、画像検査では上腕部の骨、及び大動脈のリンパ節への転移がみられ、ステージD2と診断されました。

治療内容と経過

ホルモン療法を開始したところ一時的にPSA値は低下しましたが、2009年1月より再度上昇が認められた為、ホルモン療法抵抗性の前立腺がんと診断されました。同年4月に抗がん剤を開始しましたが、同年10月ごろよりPSA値の再上昇が認められ、他の抗がん剤に変更するも更にPSA値が上昇した為、上乗せ効果を期待して免疫細胞治療を併用しました。

同年7月より骨転移のある症例に対する効果を期待して免疫細胞治療(ガンマ・デルタT細胞療法)を3回行いましたが、その後、細胞の増殖が悪くなったため、アルファ・ベータT細胞療法を2週間隔で実施しました。免疫細胞治療前まで上昇傾向にあったPSA値(14.09 ng/mL)は、ガンマ・デルタT細胞療法実施後に3.62 ng/mLまで低下し、その後のアルファ・ベータT細胞療法実施後も下がり続け、2011年3月時点で正常値となりました。

またPSA値の低下に伴って、全身倦怠感や上腕の痛みも消失しました。

前立腺がんに対する免疫療法prostate_cancer

考察

PSA検査の普及により、前立腺がんの罹患率は年々高くなっています。他のがん種に比べ、早期前立腺がんの予後は比較的良いとされていますが、特にホルモン療法が無効である進行前立腺がんの予後は不良と言われております。本症例はホルモン療法と抗がん剤治療では限定的であった効果が、免疫細胞治療を併用することによる相乗効果で、PSA値の劇的な改善に伴って全身倦怠感や上腕部の痛みの消失が認められました。その後2年以上にわたり、全身状態が良好に維持されています。

本症例においては、骨転移のため、ガンマ・デルタT細胞療法を開始、病状は軽快、その後、患者さんより得たガンマ・デルタT細胞の増殖能力が徐々に低下したため、アルファ・ベータT細胞療法へ切り替えました。このように、患者さん個々の病態に合わせた治療を選択して実施可能であることが、個別化医療において大変重要なことと言えます。

前立腺がんとは

前立腺は、男性の精液の一部を作る臓器であり、膀胱の下に位置する。早期には症状が出にくく、ある程度進行すると残尿感や排尿困難などの症状が見られる場合がある。前立腺がんが進行すると骨盤や腰椎、胸椎などへの骨転移が起こりやすく、骨転移の様子は骨シンチグラフィーで調べることができる。

 
このページの先頭へ