ガンマ・デルタT細胞療法(γδT-LAK)

ヒトの末梢血のT細胞はほとんどはαβ型のTCRを持つαβT細胞ですが、γδ型のTCRを持つγδT細胞も数%の割合で存在しています。このγδT細胞はαβT細胞とは異なる方法で非特異的に腫瘍細胞を認識します。

γδT細胞のTCRは、抗原提示細胞(APC)のコレステロール合成経路であるメバロン酸代謝における中間生成物、イソペンテニルピロリン酸(IPP)を抗原として認識します。ビスホスホネート系骨代謝改善薬であるアミノビスホスホネート存在下では、メバロン酸代謝経路のファルネシルピロリン酸(FPP)の合成を阻害することが知られており、その結果、APCsは代謝経路の上流にあるIPPを蓄積して細胞表面に提示し(IPPがどのように細胞表面上に提示されるかについては未だ報告されていません)、それを認識したγδT細胞が増殖、活性化することが明らかにされています。この作用機序を利用して、培養中にアミノビスホスホネートとIL-2を加えることで選択的に活性化、増殖させたγδT細胞を利用するのがγδT細胞療法です。

当グループがサービスを受けているメディネット社では独自にその選択的培養法を確立しております。末梢血から比重遠心法により、単核球と血漿とを分離した後、アミノビスホスホネートおよびIL-2を加えた培地に播種して、炭酸ガス培養器中で約2週間培養します。このとき末梢血単核球中のAPCの細胞表面上にIPPが提示され、γδT細胞はγδTCRを介して認識し、IL-2の刺激を受けて活性化・増殖します。培養後、細胞を洗浄回収し、少量のアルブミンを含む生理食塩水に浮遊させて点滴投与します。現在進行中の臨床研究においては、最も強くγδT細胞の増殖活性を誘導する結果が得られている第三世代アミノビスホスホネートであるゾレドロン酸を使用しています。

採血 -> 1.リンパ球を集める -> 2.ゾレドロン酸とIL-2で培養 -> 3.主に活性化したγδT細胞が増殖 -> 患者さんへ投与