樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞(DC)は、そのCTL誘導の効率の良さから、最も有用な抗原提示細胞(APC)として知られます。DCのCTL誘導の作用機構を利用して、抗腫瘍効果を期待する治療法が樹状細胞ワクチン療法といえます。

具体的には、まず採血法で得られた末梢血から、もしくはアフェレーシス(体外循環型の血液分離装置)を用いて、単核球を分離します。単核球を培養フラスコに入れると、接着能を有する単球は培養フラスコ底面に付着し、接着能の無いリンパ球は培養液中に浮遊するので、接着法を用いて2つの細胞群に分離することできます。(接着能の無いリンパ球はαβT細胞療法への利用が可能です)

分離した単球は、IL-4とGM-CSFを添加して培養することによってDCへ分化させることが出来ます。この段階のDCは、貪食能の高い未熟な状態にあります(未熟樹状細胞と呼びます)。この状態の時に、ゾレドロン酸と共に外科手術で摘出したがん組織を溶解し抽出した抗原蛋白質などを取り込ませます。取り込まれた抗原蛋白質は細胞内で断片化されます。(メディネット社の研究では未熟樹状細胞をゾレドロン酸で感作すると樹状細胞のcross presentationの機能が向上することが確認されております。

次の段階では、DCを成熟化させるため、TNF-αや、PGE2などを添加します。成熟したDC(成熟樹状細胞と呼びます)は、腫瘍抗原を提示したMHCクラスⅠ分子を大量に細胞表面に発現させると共にT細胞を活性化するのに重要な役割をはたしている共刺激分子や接着分子の発現量も高いので、この状態のDCを投与(主に皮下)すると効率よく体内で腫瘍抗原特異的CTLが誘導ができると推定されます。

なお、当院では2008年9月より、樹状細胞に溶解したがん組織を取り込ませる方法として、メディネット社と米国MaxCyte社の共同開発による、エレクトロポレーション技術を利用したCellLoading Systemを導入しました。従来法に比べて、樹状細胞への導入効率が高く、CTLの誘導能が高いことが確認されています。

また、抗原として合成ペプチドが利用されることもありますが、この際には、患者のHLAタイプに応じた抗原ペプチドのエピトープ配列が予めわかっている必要があります。ペプチドを利用する場合は、その多くはDC表面上のHLA上に直接結合することになります。

採血 -> 1.単球を分離し、培養する -> 2.単球が樹状細胞に分化する -> 3.樹状細胞にライセートを貧食させる(手術などで摘出したがん組織からライセートを抽出, がん組織の入手ができない場合は人工的に合成した抗原(抗原ペプチド)を樹状細胞に反応させる) -> 患者さんへ投与