NK細胞療法

NK細胞は、自然免疫系を担うリンパ球の1種で、強い細胞傷害能を有しています。特に、MHC クラスI分子が発現低下または消失した細胞を認識し殺傷する機構を有すること、および、抗体依存性細胞傷害(ADCC)における主たるエフェクター細胞として機能することなどから、腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要な細胞です。 NK細胞療法は、このNK細胞を体外で活性化、増殖させ、再び体内に戻すことによって、腫瘍細胞を傷害するなどの機序で悪性腫瘍を制御することを期待する治療法です。

NK細胞は細菌やウイルス感染細胞、腫瘍細胞に対して、抗原による前感作なしに殺傷活性を発揮できます。また、MHCクラス I分子を認識する抑制性のNKレセプターであるKIRファミリーなどを発現することで、MHCクラス I分子が発現低下または消失した細胞を非自己として認識し殺傷することができ、CTLによる免疫監視機構を回避したがん細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが期待されます。また一方で、NK細胞は活性化型のNKレセプターも発現しており、これらががん細胞上に発現したリガンド分子と結合することで、標的細胞を殺傷することができます。さらにNK細胞はその表面にIgG抗体の低親和性レセプター(FcγRIII)であるCD16分子を発現し、ADCCの主要なエフェクター細胞として機能しており、がん抗原特異的なADCC抗体医薬品が投与された場合、その抗体医薬品を介して特異的に標的細胞を殺傷すると考えられています。

これらの特性を有するNK細胞は、がんの臨床転帰との関連や自己腫瘍細胞への傷害活性が数多く報告されており、抗腫瘍免疫系の重要なエフェクターとして広く認識されています。

採血 -> 1.リンパ球を分離 2.活性化・培養(約2週間) 3.洗浄 -> 患者さんへ投与