治療の特徴

乳がんや肺がん、前立腺がんで多く見られる腫瘍の骨への転移をはじめ、骨肉腫、多発性骨髄腫では、痛みや骨折または高カルシウム血症などを起こしやすい傾向があります。これらの症状をを抑えるためにゾメタ (一般名 ゾレドロン酸)という薬が一般的に治療に用いられますが、ガンマ・デルタT細胞は、このゾレドロン酸によって活性化・増殖することが研究により確認されています。このため、ゾレドロン酸による治療と併せ、ガンマ・デルタT細胞療法を行うことで、より効果が期待されます。

※ゾメタは、ノバルティスファーマ社の登録商標です。

なぜゾレドロン酸で治療中の方に、ガンマ・デルタT細胞療法が効果的なのか?

がん細胞から分泌されるIPPを認識し、活性化・増殖するガンマ・デルタT細胞前のページでも記載したように、ガンマ・デルタT細胞には、細胞から分泌される「IPP」を認識することで、活性化・増殖するという特徴があります。 このIPPはがん細胞から比較的多く分泌されていますが、ゾレドロン酸をがん細胞に反応させると、がん細胞内でIPPが蓄積し、より多く分泌されるようになります。これをガンマ・デルタT細胞が認識して増殖・活性化します。

また、ゾレドロン酸は医薬品として安全性が確認されているので、治療用にガンマ・デルタT細胞を培養する際にも、ゾレドロン酸を用いることで効率的に活性化・増殖を行っています。

ゾレドロン酸によるがん細胞株に対する傷害性増大効果

抗体医薬との併用で、よりがん細胞を殺傷

抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性ガンマ・デルタT細胞には「抗体」と結合したがん細胞をより集中的に攻撃するという特性があります。

抗体とは、病原体などの異物が体内に侵入した際に、その異物と結合することで身体を守る働きをするタンパク質で、がん細胞の増殖抑制や、がん細胞の血管新生を阻害する薬である「抗体医薬」としても開発されています。

ガンマ・デルタT細胞は抗体を認識する装置を用いて、がん細胞と結合した抗体を認識することで、がん細胞をより集中的に攻撃することができるようになります。

このような作用を「抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性」といい、以下の抗体医薬で確認されており、ガンマ・デルタT細胞療法と併用することで、高い相乗効果が期待されます。なお、NK細胞にも同様の作用が見られます。

  • ハーセプチン(主に乳がん、胃がん治療に用いられる抗体医薬) ※1
  • リツキサン(主にB細胞リンパ腫の治療に用いられる抗体医薬) ※2
  • アービタックス(主に大腸がん治療に用いられる抗体医薬) ※3 など

※1 ハーセプチンは、ジェネンテック社の登録商標です。 ※2 リツキサンは、ジェネンテック社の登録商標です。 ※3 アービタックスは、イムクロン エルエルシーの登録商標です。