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3月19日 ( 月)の朝日新聞その他に、京都大学の武藤誠教授の研究グループが Nature Genetics 誌に発表された論文についての記事が掲載されています ( 朝日新聞 第2社会面 38頁 「免疫細胞 がん細胞を手助け」)。
この記事は「未分化骨髄球」という、免疫細胞療法に使用される T リンパ球や樹状細胞とはまったく別な細胞に関する研究を取り上げたものです。
この記事について、患者様方からのお問い合わせもあり、一部の方には大きな誤解を生じているようですので、これに関する解説を掲載します。
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この論文は未分化骨髄球という特殊な細胞ががんの局所に集まって、蛋白質分解酵素を分泌することによって、がんの浸潤を助けていることを明らかにしたものです。
未分化骨髄球は、通常は骨髄の中に存在し、その一部が血液中に流出しがんの局所に集まって、このような働きをするということです。この論文は、がんの浸潤の機構の1つを動物実験により示したもので、価値の高い研究と考えます。
ただ、新聞記事を読むと、免疫細胞に関する今までの常識が誤りで、すべての免疫細胞ががん細胞を手助けしているようにも読み取れますが、この論文の趣旨はそういうことでは全くありません。
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免疫細胞にはいろいろな種類があり、がんに対する体の防御反応という面から見ると、プラスに働くものもマイナスに働くものもあることは、以前からよく知られています。
つまり、がん細胞を攻撃、排除する免疫反応を行なう細胞とともに、この免疫反応を抑える細胞 ( これも免疫細胞)が存在し、実際の免疫反応はそのバランスの上に成り立っています。その前提の下で、免疫細胞療法は考えられた治療法であって、免疫細胞を何でもいいから増やそうというわけでは決してありません。
つまり、主として活性化 T リンパ球などのがん細胞を攻撃、排除する免疫反応を行う側の細胞を選択的に大量に増殖させ、治療に使用することで、がんに対する免疫反応のバランスをプラスの側に傾けようとして行なわれるものであります。もちろん、免疫反応を抑える細胞や、がんの浸潤を助けたりする未分化骨髄球などを使うことではありません。
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がんの周辺にはがん細胞を排除する T リンパ球などの免疫細胞以外にも、この論文で報告されたようながんの浸潤を手助けする未分化骨髄球という骨髄で作られる特殊な細胞が存在することは事実です。
ただ、繰り返しますが、この論文は、すべての免疫細胞ががんの手助けをしていて、したがって免疫細胞を用いた免疫療法 ( 免疫細胞療法)はがんの進行、浸潤を助けてしまう可能性があるということを述べているわけでは全くありません。
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