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連載C 
乳がん
の標準治療に免疫細胞療法を加えたら
劇的な効果が得られた

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乳がん (月刊がん 「もっといい日」 2005年7月号 P62-P63 記事全文を転載しております)


乳がん 治療医師 高橋メディカルクリニック院長 高橋 司 取材協力◎高橋メディカルクリニック院長 高橋 司
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乳がんが急増している!高橋メディカルクリニック(広島)の高橋司院長は、乳がんの標準治療に免疫細胞療法を加えて高い効果を出している。免疫細胞療法をうまく使った乳がん治療最前線を紹介する。

10年間で大きく様変わりした乳がん治療
  1970年に乳がんで亡くなった人は2486人、80年になると4141人、90年には5848人、2000年には9171人。30年間で、4倍弱になっている乳がんによる死亡者数。そして、罹患率(がんになった人の割合)で見ると、ここ数年は、乳がんが、女性のがんではトップの座を保っている。
  欧米では、女性の8人に1人が乳がんにかかるという統計が出されている。これほどの割合になると、他人事としてすますことはできない。欧米の女性の多くは、自分が乳がんにならないか、非常に神経質になっており、遺伝的に乳がんになりやすいとわかった女性が、予防のために乳房を切除してしまうという選択が決して珍しいことではなくなっているというから驚きだ。女性にとって、乳房をなくすというのは大変な勇気のいることだが、命には代えられない苦渋の選択として、予防手術を決断するのだろう。
  日本では、今のところ30人に1人の割合で乳がんを発症している。増え続ける乳がん。その対策である治療法にも、この10数年、大きな変化が見られる。高橋院長は、その変化を次のように説明してくれた。
「10数年ほど前まで、乳がんの手術は、乳房から筋肉、リンパ節までできるだけ大きく取っていました。しかし、今は拡大手術の意義が否定され、乳房を温存し、リンパ節もがんのないことが確認されれば残すような形です。そのために、術後の機能障害やむくみ、痛みがなくなりました。乳房を温存するような縮小手術をした上で、放射線療法と化学療法やホルモン療法、分子標的薬などを組み合わせて再発を防いでいくという方法が、今の主流です」

使い方を工夫し「絶望」を「希望」に変える
  高橋院長は、平成8年、広島市内に高橋メディカルクリニックを開業した。がん患者も多く来院するようになり、がん免疫を専門としてきた高橋院長が、より高い効果が期待でき副作用の少ない免疫細胞療法を取り入れるのは自然の流れだった。
「免疫細胞療法は、今のところ、医学的な根拠というのを明確に示すことはできないかもしれませんが、どういう使い方をすればよいか、どういったタイプのがんには効きやすいかがかなりわかってきました。これを患者さんにきちんとお伝えし、納得して治療を受けていただくことが大切だと思います」
  免疫細胞療法を夢の万能治療のように思ってしまう患者さんも多いが、高橋院長は、まずこの治療法の位置づけや性質をきちんと説明することから治療を始める。つまり、すべてのがん患者さんのがん細胞をきれいに消してしまうという種類の治療法ではないが、使い方を工夫することで「絶望」が「希望」に変わることが決して少なくないことを知ってもらうのである。
乳がんの場合でお話しします。本来なら、免疫細胞療法は、手術で腫瘍が取り切れて、目に見えないがん細胞を叩くために使うのが理想的です。しかし、現実には、そういう状態で免疫細胞療法を受けようとする人はほとんどいません。再発、遠隔転移してしまっている人ばかりです。乳がんと診断されて10年以内に再発する可能性は3割です。そして、再発したら、根治は難しいというのが、今の医学の常識です」
  まさに、患者さんにとっては、「絶望」の状態と言える。しかし、そこに免疫細胞療法を組み込むことで、「根治しない」という常識が崩れるという「希望」が生まれてくることがあるのだ。

ハーセプチンとの併用でより高い効果を出す
  乳がん再発の場合、まず考えられる治療がホルモン療法である。
  ホルモン療法が不適応である場合は、化学療法となる。化学療法も、抗がん剤だけの場合と、がん細胞の表面にHER2というがん細胞だけが作るタンパク質が発現していれば、抗がん剤とともに、ハーセプチンという分子標的薬を使う場合とがある。
@ ホルモン療法 
A 抗がん剤
B 抗がん剤+ハーセプチン
  再発乳がんの標準治療では、上記3パターンのうちの一つが選択される。高橋院長は、ここへ免疫細胞療法を加えた。
「まず、ホルモン療法ですが、これでがんがコントロールできている場合は、そのままの治療を続ければいいと思います。
  化学療法を行う場合、免疫細胞療法を加えることで、より高い効果が期待できます。
  特に、ハーセプチンが使える場合には、免疫細胞療法との併用でより高い効果が期待できます。
  ハーセプチンというのは抗体ですから、それ自身が標的とするがん細胞を攻撃します。これが第一の効果。次に、ハーセプチンががん細胞に結合することで、リンパ球やマクロファージががん細胞を認識しやすくなり、その結果、有効な攻撃ができるというのが第二の効果。ここまでが従来のハーセプチンの効果でしたが、さらに免疫細胞療法によって、リンパ球が強化されれば、抗腫瘍効果はさらに高まることになります」
  最後に劇的にがん細胞が縮小し、最終的には消失した一例を紹介したい。
  患者さんは、60歳の女性。平成13年8月に左乳房にがんが発見され、手術を受けた(ステージUB)。術後は抗がん剤治療を6クール。平成14年5月、腫瘍マーカーが上昇したために、7月から抗がん剤治療を2クール行った。ところが、CT、MRIの検査で、多発性肝転移、骨転移が認められた。
  9月に高橋メディカルクリニックを受診。骨転移の痛みを訴えていたという。
  免疫細胞療法を3回行った後、HER2の発現テストが強陽性(HER2が強度に発現している)という結果を得たので、ハーセプチンの投与も始まった。
  免疫細胞療法と抗がん剤のタキソールを毎週交互に、ハーセプチンは毎週投与した。
  その結果が、グラフである。免疫細胞療法+タキソール+ハーセプチンという治療を始めた途端、腫瘍マーカーは下がり始めた。

乳がん 治療結果グラフ

「今現在、肝臓と骨への転移も消えてしまっています。この方の場合、化学療法を受けて体調が不良になっていたのを、免疫細胞療法によって体力が回復し、さらに外来で体力を落とさない程度の化学療法と分子標的薬を用いることで、顕著な改善が見られたと考えられます」
  免疫療法を加えることで標準療法の効果がさらにアップすることを示した非常に価値ある症例といえるだろう。

本ページは、株式会社日本医療情報出版発行 月刊がん「もっといい日」(乳がん) 2005年4月号 「免疫細胞療法の効果@」に掲載された記事全文及び画像を転載しています。
なお、レイアウトは雑誌(縦書き)と同じではありません。
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