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免疫細胞療法はこんな可能性を持った治療法

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(月刊がん 「もっといい日」 /2005年4月号 P74ーP75 記事全文を転載しております) 

取材協力◎東京大学名誉教授・瀬田クリニック顧問 江川滉二
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手術・放射線・抗がん剤という3つの治療法のほかに、第4の治療法として、免疫細胞療法が注目を集めている。この免疫細胞療法の普及、医療としての基礎をきづいた江川医師に、療法の可能性を話していただいた。

免疫力が全身に広がったがん細胞の芽を摘む
  がんはやっかいな病気である。できた場所でじっとしているなら、手術や放射線で取り除けば、治療が終わりがんは治る。しかし、やっかいなことに、がんは全身に転移する全身病である。手術や放射線できれいに取り除いても、体の別のところからまた芽を出してくることが多い。
  そこで、このような場合には、がん細胞を抗がん剤でやっつける治療が行われてきた。だが、抗がん剤がダメージを与えるのはがん細胞だけではない。正常な細胞にもダメージを与えるので、抗がん剤治療を受けると、副作用に苦しむことになる。
  全身に散らばったがん細胞の芽を摘み、副作用のない治療法はないか。これが、がん治療の最大のテーマである。
  このテーマに対して、最近、最も期待されているのが、免疫療法だといわれている。ただ、免疫療法と一口にいっても、医学として効果の根拠が明かなものから、そうでないものまでが、混在しているのが実情である。その中で、どのような免疫療法が期待されているのだろうか。
  それを説明するためには、そもそも免疫とはどのようなものか、おおよそを理解する必要がある。
  私たちの体の中では、いつもがん細胞が発生していることがわかってきている。それなのに、がんにかかる人とかからない人に分かれるのは、体内に免疫というシステムが備わっているためである。
  このシステムは、体内に異物が入ってきたり、異常化した細胞が生じたりするとこれを排除するもので、これが正常に働いていれば、がん細胞が発生してもすぐ排除される。つまり、がんの芽を摘むことができるのだ。

体外で免疫細胞を培養すれば免疫力は強化できる
  つまり、がんがごく小さい間は、免疫は十分にがんを抑える力があるわけだ。進行してしまったがんでも、免疫で抑えられる可能性はあるだろう。このような発想から、免疫療法の研究が始まった。
  しかし、がんは免疫の阻止力を乗り越えて生じたもので、免疫をよほど強化してやらない限り、効果があがらないのは当然だ。がんの免疫療法は期待と失望の繰り返しだった。
  最近の免疫理論の解明はめざましい。その結果を応用して、がんに対する免疫反応の中心であるリンパ球を直接用いる強力な免疫療法が広く行われ始めており、注目を集めている。これが免疫細胞療法である。
  がん細胞には、まわりの免疫細胞の働きを弱める力がある。また、免疫系を活性化する薬剤も大量に使えば副作用が強い。そこで免疫細胞を体外に取り出して培養しながら薬剤を強力に働かせて力を強め、数も増やすなどしたうえで元の患者さんの体に戻して治療しようというのが免疫細胞療法であり、その中でもリンパ球を直接用いるのが、活性化自己リンパ球療法である。薬剤を用いる場が体外であるため、副作用の心配がなく、がんの影響を受けずに強力に活性化ができる。
  活性化自己リンパ球療法の実際の治療では、患者さんから血液を採取しリンパ球を分離して体外で培養し、量も質も高まったリンパ球を点滴で体内に戻す。これを2週間に一度行い、3ヵ月(6回)続けるのが基本の1クールであり、経過によってさらに3ヵ月継続したり、1ヵ月に1度のペースにしたりといった調整が行われる。
安全管理の行き届いているリンパ球培養室の様子

がんとの共生もめざせる
  東京大学名誉教授の江川滉二医師は、免疫細胞療法の発展に情熱を注ぎ、業績をあげている。
「免疫細胞療法の中でも活性化自己リンパ球療法は、研究医療としての実績が過去十数年間にわたって蓄積されてきたものです。全身に広がったがんに対する治療法が抗がん剤しかない中で、患者さんを副作用で苦しめないもう一つの全身療法を提供したいと思って、免疫細胞療法の健全な普及と改良に力を注いでいます。」
  もともと基礎医学研究者だった江川医師は、このために免疫細胞療法専門の瀬田クリニックを開設し、他の医師と共に実地の臨床を重ねている。
「手術が可能でがんを切除しても、再発することが少なくありません。免疫細胞療法の一つである活性化自己リンパ球療法が再発の率を低下させることについては、統計的な証拠が示されています。
  手術ができなくても、抗がん剤や放射線でがんを弱らせながら、活性化自己リンパ球療法を行ってよい効果が得られることがあります。進行がんは治りにくい病気ですから、がんを直接たたく従来の治療法と、体の治癒力を強力に高める免疫細胞療法とを併用する方が望ましいのは当然です。ただ、公的医療保険が適用されていないので、費用負担が大きいのが難点です。」
  瀬田クリニックでは、ホームページで治療成績を発表している。大学病院で治療法の研究を行う場合と違い、 また健康保険の使える検査や入院を他院に依存している現状では、成績の数字の正確さには自ずから限界があ るという。しかし、がんが見えなくなったり小さくなったりした症例のほかに、長期間がんの進行が止まり、高い生活の質を保っている患者さんも少なくない。
「患者さんの約半数は、打つ手がないと大病院で言われてから来院された方々です。こういう患者さんの中にも、長期間高い生活の質を保っておいでの方がおられます。もっと早くこの治療法を知りたかったと、患者さんからよく言われます。」
  活性化自己リンパ球療法を行うクリニックの急増していることが、この治療法の実力を証明しているといえるが、中には培養の管理が十分ではないところが、ないとはいえない。
  治療を受けるに当たっては、安全管理のきちんとした、確かなところを選ぶことが重要である。

本ページは、株式会社日本医療情報出版発行 月刊がん「もっといい日」 2005年4月号  「免疫細胞療法の効果@」に掲載された記事全文及び画像を転載しています。
なお、レイアウトは雑誌(縦書き)と同じではありません。
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