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 臨床症例報告No.29

TS-1/CDDP化学療法とCD3-LAK療法を長期間併用
し、長期不変状態が続いているAFP産生胃がんの1例

(瀬田クリニック 関口 守正

 

【はじめに】
文献上、AFP 産生胃がんは早期に肝転移を起こし、予後不良とされている。患者の全身状態に配慮した化学療法と免疫細胞療法を組み合わせて、5 年間長期不変が続き、正常な日常生活を営んでいる症例を報告する。

【症例】
 62歳女性、2002年4月貧血のため内視鏡検査を受け、胃がんが発見された。
  2002年5月某総合病院で胃亜全摘術B-I、D2を受けた。腫瘍はBorr I、5×4cm大、低分化腺がんsolid type、P0H0SEN2、 Stage IIIb、se、ly3、INF-β、n=7/24であった。血中AFP高値で、術前418ng/ml であったが、術後4ng/mlに低下した。6月よりTS-1 100mg/日、10日投薬14日休薬開始。2003年1月よりAFPは序々に上昇し、3月106ng/ml、4月CTで多発性肝転移が確認された。その後AFP値は上昇し200ng/mlに達したが、5月ラジオ波による肝転移焼灼3回後60ng/mlに下降。8月CT上肝転移縮小。8月よりTS-1/CDDPによる化学療法開始。TS-1 100mg/日 10日投薬14日休薬、CDDP 5mg/週 2週投薬2週休薬を原則とし、副作用や体調不良時には減量または中止しつつ、化学療法は2007年1月現在まで続いている。一方2003年8月より活性化自己リンパ球(CD3-LAK法)による免疫細胞療法を開始した。最初の2回は1週間隔、3回より10回までは2週間隔。11回より17回までは3週間隔、18回より24回までは4週間隔、30回より39回までは5週間隔、40回以降現在までは6週間隔で継続している(計48 回)。
  2003年8月のCDDPおよび免疫細胞療法開始以後は、血中AFP値は10ng/ml前後の値で横ばい状態で経過している。
CA19-9は70U/mlから115U/mlまでの間で高値を上下している。CEAは終始一貫して正常範囲内にある。
  最近のCTでは肝転移は消失している。残胃の内視鏡検査では再発は見られていない。

【結語】
 AFP 産生胃がんの本症例は、胃切除後、患者の状態に配慮した化学療法と活性化自己リンパ球による免疫細胞療法を併用して継続することによって、良好な経過を取っている稀有な1 例である。
  文献によると、AFP 産生胃がんの5 年生存率は、hepatoid 型 11.9%、非hepatoid 型38.2%、化学療法に耐性が多いと報告されている1)。 胃がんに対するTS-1/CDDP 化学療法のoverall response rate 36.8%、平均生存日数319 日という報告もある2)。
本例の腫瘍マーカーは、治療によってAFP はほぼ正常値の上限で推移しているが、CA19-9 は依然として高値を上下している。胃内視鏡と肝のCT では腫瘍は消失している。患者は健常人と何ら変らぬ日常生活を営んでいる。このように、一般には悪性度が高いとされているがんの活動が長期間にわたり抑制されているのは、化学療法によるのか免疫細胞療法によるのか、にわかに断定できないが、おそらく二つの違った作用機序の治療の併用による相乗効果と考えられる。



※図表に関してはPDF版をご覧ください PDFファイルはこちら




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