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Introduction
遠隔転移を伴う進行胃がんに対しては化学療法が主治療となる。近年、TS-1 をはじめとした有効な化学療法剤が出現してきているが、長期予後は不良である。進行胃がんに対する活性化自己リンパ球療法の効果は、化学療法との併用により無作為化比較試験による生存率の増加が報告されている1)。しかしながら、活性化自己リンパ球療法単独治療による寛解例の報告は少ない。今回、1コース治療後、SD と判定された症例に対して、その後も治療を継続することでPR を観察した症例を経験し報告する。
Case
症例は71 歳女性で、既往歴は特記すべきことなし。2003年3 月頃より、易疲労感、下肢の浮腫がみられ、その後、貧血症状、食事の通過障害をきたした。2003 年6 月、近医を受診したところ、Hb 6.7g/dl と重度の貧血を認めたため、某公立病院を紹介され精査、上部消化管内視鏡検査にてantrumの狭窄をきたす腫瘍を認め、病理検査にてcarcinoma と診断された。全身的な検査にて縦隔にいたるリンパ節転移を認め、また、骨シンチにて腸骨に集積があり、骨転移も疑われた(Figure 1, 2)。出血、狭窄をきたしていたことから同年、8 月、
幽門側胃切除術を施行、その後、TS-1 による化学療法が提案
された。しかし、患者は免疫細胞療法による治療を希望したところ、担当医も免疫細胞療法の治療効果を評価していき、その後にTS-1 を考慮することで同意、了解し、当院へ紹介受診となった。同年、9 月25 日、初診、Hb 値は11.5g/dl と貧血は改善していた。また、CEA, CA19-9 など腫瘍マーカーの上昇は観察されなかった。当院にてTS-1 と活性化自己リンパ球療法の併用による治療も提案したが、患者は活性化自己リンパ球療法による単独治療を強く希望した。10 月14 日より2 週間間隔で活性化自己リンパ球療法(CD3-LAK 法)による単独治療を開始した。1 コース、6 回の治療を12 月24 日までに施行、その時点での胸部CT では縦隔リンパ節の大きさに変化は無く、SD の判定であった。腫瘍の進行がないことから、その後は2ヶ月に1回の間隔で単独治療を継続し、2004 年12 月までにさらに6 回、計12 回の治療を行った。その間、2004 年3 月、7 月に行った胸部CT では腫瘍径は変化無く、長期不変(Long
SD)と判定した。また、同年の10 月に施行した骨シンチでは腸骨の集積は消失していた(Figure 3)。2005 年以降は約三ヶ月に1回での単独治療を継続した。2005 年3 月に行ったCTでは縦隔リンパ節の腫大はなく、寛解を観察した(Figure 4)。
その後、2005 年10 月に施行したCT においても新たな再燃など観察せず、2006 年3 月まで著変なく経過している。
Discussion
縦隔リンパ節転移を伴う進行胃がん例において、活性化自己リンパ球療法によるSD 例に対して長期に治療を継続することで寛解を得た症例を報告した。本例は転移が疑われた骨シンチにての骨盤骨の異常集積は、長期治療により消失したが、腫瘍病変以外であった可能性も否定できない。
免疫細胞療法の効果をRetrospective に解析する場合、当院においてはその治療の最小単位である1コース、6回治療、つまり12 週間の前後における画像診断により直接効果を判定している。判定は化学療法の効果判定に用いるRECIST ガイドラインを参考に、腫瘍縮小効果をCR, PR, SD, PD と分類、さらにSD のうち、治療を継続し六ヶ月以上SD の継続を観察した場合(つまりTTP が六ヶ月以上の場合)をLong SD として別途、分類している。寛解(CR, PR)あるいは安定(SD)の場合は、その後も治療を継続する場合は少なくない。本例のように1コース後にSD と判定され、その後に治療を継続することでPR を観察した場合は現状の判定法ではLong SD の中に分類している。
本例のように短期的な治療でSD あるいはPD と判定されるも、その後の長期治療でPR を観察する症例はがん免疫細胞療法においては稀ではない。当院の胃がん例においても免疫細胞療法単独群においてLong SD と判定されている中で、3例においては治療継続でPR が観察されている(1例はケースレポートNo.1 で報告)。免疫細胞療法における効果判定には、化学療法におけるRECIST ガイドラインとは別に今後、より合理性のある判定基準を作成することが必要と思われる。
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