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Introduction
活性化自己リンパ球療法は、毒性の乏しいがん治療法という意義のある反面、単独治療として行われた場合、抗腫瘍効果は化学療法などに比較して弱く、奏効率については10 〜 20% 程度とする報告が多い【参考文献1)】。したがって、治療効果を高めるための臨床的な工夫、試みが重要である。腫瘍細胞は化学療法剤あるいは放射線照射で修飾することで、lymphokine-activated killer (LAK) 細胞に対する感受性が増強されることが報告されている【参考文献2)〜4)】。なお、釜洞によれば、かつての免疫療法の経験において、通常の1/4 ないし1/5 の線量でも、放射線照射を先行させておけば顕著な効果を見る場合が多いことが観察されている【参考文献5)】。今回、単独では抗腫瘍効果の乏しいと考えられる線量の放射線療法を併用して活性化自己リンパ球療法を行い、興味深い結果を得た症例を経験したので、報告する。
Case
57 才男性、膵がんの診断により、2001 年7 月手術となったが、開腹のみに終った。臨床進行度はStageWa で、組織型はadenocarcinoma であった。
術後、5-FU による化学療法および放射線治療(50Gy)が施行され、引き続き gemcitabine (GEM() 1,000mg/m2、triweekly、4 週目は休薬)による治療が開始され、2002 年10 月の腹部CT ではやや縮小を観察した。2003 年4 月以降は、副作用のため1,500mg/body 隔週投与にて治療を継続した。しかし、正常範囲内に保たれていたCA19-9 が、7 月3 日には42 U/ml と上昇、その後も徐々に上昇を続けた。患者は免疫細胞療法を希望し2004年1月16日に当院を初診来院となった。
初診時、performance status(PS) は1 で、CA19-9 は302U/mlと高値を示していた。これまで行われていたGEM に活性化自己リンパ球療法(CD3-LAK 法)を併用して治療する方針とした。2004 年1月29 日より、隔週での併用治療、2 回後の2 月18 日のCA19-9 は166 U/ml と約45%の低下を観察したが、さらに2 回の併用治療後の測定値は181 U/ml と反跳に転じ、化学療法(GEM)と免疫細胞療法(LAK)併用による効果の限界を示すように思われた(Fig 1)。
患者はすでに放射線療法を受けているが、総線量は50Gy にとどまっており、限界耐容線量を70Gy とすると、さらに20Gy の照射が可能と判断し、LAK を行う週の月、火、水、木の4 日間に連日0.5Gyを照射して、木曜日の照射を終了したのちLAK を受ける治療スケジュールを立案し、香川県立中央病院内科ならびに放射線科の同意のもと、Fig 2 に示すように、2 週間周期のchemoradioimmunotherapy(CRIT)が2004 年3 月22 日からの照射開始とともに開始され継続された。
上昇傾向にあったCA19-9 は第1 回目のCRIT の1 週間後の4 月1日には、181 U/ml から124 U/ml と低下を示した。その後、さらに
CRIT 治療は6 月11 日まで5 回繰返され、その間、CA19-9 は緩徐ながら減少を続けた。
患者はサリドマイドなどの治療を求めて転院を希望し、CRIT は6回をもって2004 年6 月11 日で終了となった。免疫細胞療法開始後約6 ヶ月間、下痢も治まり、良好なQOL で経過した。その後は転院先病院にて加療、2005 年9 月29 日時点で一般状態良好であることが確認されている。
Discussion
GEM 単独治療に抵抗性であった本症例は、腫瘍マーカーの推移からLAK 療法、さらには少線量の放射線療法を併用することで良好な経過が得られたと考えられる。本症例では0.5Gy、4 日間、つまり2Gy/wk、隔週という少線量の照射を行った。膵がんについては放射線療法の有効性がかならずしも高くはないこと、既に本例では過去に50Gy の照射が行われた上での再燃例であることから、このような少線量の照射が単独で有効であるとは考えにくい。
これまでin vitro での検討において、5Gy の放射線照射によってLAK 細胞に対する感受性が高まり、アポトーシスが増強されたことが
Yamamoto らやNakagawa らにより報告されている【参考文献2)〜3)】。また、Dybal らのマウスの治療実験での報告では、腎細胞がんを腎皮膜下に移植したマウスの腎腫瘍局所に3Gy という少線量の放射線照射を行い、IL-2 あるいはLAK 療法を併用することで、腎腫瘍の縮小および肺転移の減少が相乗的に生じることが観察されている【参考文献4)】。がん細胞が放射線照射によってLAK 細胞に対する感受性が高まったこととともに、腫瘍局所での免疫抑制機構が解除されたことによる結果とも考えられている【参考文献6)】。
今回の症例のように、一度放射線治療を受けた患者でも、耐容限界まで余裕を残している場合、再度の放射線治療を試みる可能性を開くものと思われる。今後、さらに症例の積み重ねが期待される。
※本ケースレポートはBiotherapy 第20 巻 第1 号 87-90 ページに掲載の症例報告「切除不能膵癌に、gemcitabine・少線量放射線・CD3-LAK による集学的治療が有効であった1 例」を要約したものです。
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