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 臨床症例報告No.10
  化学療法併用による活性化自己リンパ球療法は無効であったが、
  単独治療により長期不変となった進行結腸がん症例

(瀬田クリニックグループ/瀬田クリニック 院長 後藤重則

Introduction
肺腫瘍の胸腔鏡下での切除が可能となったこともあり、結腸、直腸がんの肺転移に対しては切除術が積極的に行われている。しかし、肺転移切除後に再再発するケースは多く、特に肺以外への再再発に対しては切除が困難な場合が多いため予後は不良である。
今回、結腸がんの肺転移切除後に縦隔リンパ節に再発をきたし、化学療法併用にて活性化自己リンパ球療法を施行するも無効であったが、その後、活性化自己リンパ球療法単独治療により長期不変を観察した症例を経験したので報告する。

Case
患者は 51歳、女性、既往歴として気管支喘息がある。
1998年4月に S 状結腸がん、 Stage2の診断にてS状結腸切除術を受けた。病理診断は moderately differentiated adenocarcinoma であった。
腫瘍マーカはCEA, CA19-9 などいずれも正常範囲であった。術後補助療法として、テガフール・ウラシル(UFT®)を1999年11月まで経口投与した。その後の経過観察中、 2001年11月に肺転移により再発した。同年12月、胸腔鏡下切除術施行し、直径 20mmの転移巣を切除した。
2002年1月からはドキシフルリジン(フルツロン®) の経口投与を開始し、2002年4月に当院を初診した。
転移性肺腫瘍切除後の補助療法としてドキシフルリジンとともに、CD3-LAK 療法を2週間間隔で開始することとなった。 2002年7月までは2週間間隔、その後は一ヶ月間隔でCD3-LAK療法を継続し、胸部CTなどを六ヶ月間隔で施行し経過観察した。
転移性肺腫瘍切除後、28ヶ月の 2004 年 3 月まで CD3-LAK 療法を 26 回施行、3月31日の胸部 CT にて肺および縦隔リンパ節転移再発と診断された(Figure1-A, Figure2-A )。そのため、化学療法をホリナートカルシウム(ユーゼル ® )とテガフール・ウラシルの併用療法に変更、一ヶ月間隔の活性化自己リンパ球療法との併用治療を行った。
同年8月21日のCTにて肺腫瘍は SDなるも(Figure1-B )、縦隔リンパ節は明らかに PD Figure2-B )であった。化学療法剤のCPT-11などへの変更も提案されたが、有効性がかならずしも高くないこと、腫瘍による身体症状はまったくないことから化学療法は中止として、CD3-LAK療法単独での治療を行うこととなった。
その後、2004年11月22日のCTにて肺、縦隔リンパ節腫瘍ともに、 SD(Figure1-C, Figure2-C )、さらに、2005年2月20日のCTにても腫瘍の増大はなく(Figure2-D )、Prolonged SD と診断された。

Discussion
進行結腸がんは 1980 年代後半に Rosenberg らが活性化自己リンパ球療法創始した当時からその対象とされてきた。
本症例は、転移性肺腫瘍切除後の補助療法として経口剤による化学療法と CD3-LAK 療法を施行した。 転移性肺腫瘍 切除後は約2年以内に60%程度の症例で再再発すると報告されており、本症例は 28 ヶ月後の再再発であり、治療の効果がある程度あった可能性はある。しかし、その後の ホリナート・テガフール・ウラシル療法と CD3-LAK 療法との併用によっても腫瘍は Progressive であった。
5-FU 系の化学療法剤が無効であり、他の薬剤への変更、あるいは中止することが望ましいと判断された。その後、CD3-LAK療法単独治療に変更後は進行が抑えられ、Prolonged SD となり、 CD3-LAK療法が有効であったと考えられた。本症例において経過中、骨髄抑制などの副作用は観察されていないものの、併用療法においては化学療法剤により免疫系への抑制的な作用が生じ、 CD3-LAK 療法の効果が十分に発現できなかったものと推測された。



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