| Introduction
遠隔転移を伴う4期の非小細胞性肺がんに対しては化学療法を中心とした治療が行われ、奏効率としては 20 〜 30 %とする報告が多いが、長期予後は極めて不良とされている【参考文献1)】 。今回、4期の肺腺がん症例で免疫細胞療法を含む集学的治療により長期の寛解、生存例を経験したので報告する。
Case
症例は 41 歳の男性、既往歴は特記すべきことなく、家族歴では父が肺がんで他界されている。 1998 年までの健診時の胸部 X 線では以上は観察されていなかった。 1999 年 5 月左頚部のリンパ節腫脹をきたし、精査したところ、左肺がん(腺がん)、 T4N3M1 と診断された (Figure 1) 。
同年、 7 月 16 日に当院を初診し、化学療法と免疫細胞療法の併用治療を行うことになった。免疫細胞療法は活性化自己リンパ球療法( CD3-LAK )を 2 週間間隔で、 CDDP, PTX による化学療法が4週間間隔で施行された。
1999 年 9 月の胸部 CT では部分寛解、 12 月の CT では肺腫瘍は完全寛解を観察した( Figure 2 )。頚部リンパ節は部分寛解の状態であった。 2000 年 2 月からは4週間間隔で CD3-LAK 、 CBDCA 単剤による化学療法を4週間間隔で施行したが、 2000 年 10 月には左上葉の腫瘍が再燃し( Figure 3 )、頚部リンパ節腫瘍からは生検にて腫瘍細胞の残存が観察された。化学療法剤を変更し VNR, TXT, CPT-11, NDP などを使用し、 CD3-LAK との併用を継続した。また、 2000 年 12 月からは頚部リンパ節に対して放射線療法、 60Gy を施行し、頚部リンパ節腫瘍もほぼ完全寛解に至った。右肺上葉の腫瘍はその後寛解と再燃を繰り返した( Figure 4 )。 2003 年 3 月からは gefitinib による治療を開始した。 CD3-LAK は 2003 年 12 月の第 43 回目の治療にて終了とし、下肢のしびれの増強により 2004 年 2 月以降は化学療法も終了とし、経過観察となった。その後、 2004 年 7 月の追跡調査で、生存が確認されている。
Discussion
非小細胞性肺がんに対する免疫細胞療法の我々の治療成績は、免疫細胞療法単独治療の場合、長期不変 (Prolonged SD) を含めた有効率で 17.2% 、奏効率は 4.7% とかならずしも高いとはいえない。一方、他治療との併用については、術後の補助療法としての有効性が無作為化比較試験により報告されている【参考文献2)】 。術後の原発性肺がん患者を対象として標準治療とされていた化学療法あるいは放射線療法のみを施行した群( 88 例)とそれに活性化自己リンパ球療法を併用した群( 82 例)での5年生存率は各々、 33.4% 、 54.4% で有意な生存率の増加が報告されている。化学療法による肺がん術後の Adjuvant 効果は UFT などによる効果が1期症例において報告されている(5年生存率; UFT group: 83.6% versus control group: 77.9% )【参考文献 3)】 のみで、活性化自己リンパ球療法の優れた効果が示唆されており、今後、さらなる追試が望まれる。
本症例は当院の治療開始5年後における追跡調査で生存が確認され、また、患者自身のコメントによればその後も無治療で腫瘍の進行は観察されていなかった。4期の肺がんについて化学療法の適応例においてもその平均生存期間は6から8ヶ月程度の報告が多く、長期生存に関しての報告は非常に少ない。
本症例においては免疫細胞療法を含む集学的治療が長期生存に貢献したものと考えられる。静脈内投与で到達しやすい肺腫瘍に対しては化学療法、免疫細胞療法により完全寛解、頚部リンパ節腫瘍に対しては放射線療法により完全寛解に至っている。
その後、一部再燃をきたすも、長期にわたる化学療法と免疫細胞療法により、進行を制御できた。また、化学療法が長期にわたり継続可能であったことも、免疫細胞療法により骨髄抑制などの副作用を軽減できたことによることが示唆された。
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