| Introduction
子宮体がんは、ホルモン療法や、シスプラチン・アドリアマイシンを中心とした多剤併用療法の有効性も比較的期待できるがん種であるが、再発・転移例の治療経過はなお楽観視できない。むしろ、初発治療後に得られた寛解導入をいかに維持していくかが予後を左右する重要なポイントであると思われる。
Case
症例は 53 歳女性で、既往歴には特記すべき事項はない。平成 14 年 12 月 3 日、子宮体がんの診断にて子宮全摘+両側付属器切除術施行、Ic期(pT1cN0M0)であった。術後、平成 15 年 1 月 10 日から 2 月 17 日にかけて、骨盤腔外照射( 50.4Gy )を施行された。外来フォローアップ中に、腫瘍マーカー CA125 (正常値 35 以下)値が 372 と再上昇し、腹水を認めた。がん性腹膜炎の診断にて、平成 15 年 3 月 10 日より CAP 療法を開始するも、吐き気、貧血、手術創の離開などの副作用強く1回目で中止となった( 3 月 24 日 CT )。
平成 15 年 4 月 1 日に当院を初診されたが、貧血と創部離開のため PS は 1 、摂食はほぼ良好であった。 CA125 : 317 と依然高値で、毎週のスケジュールで単独の活性化自己リンパ球療法( CD3-LAK 法)を開始した。 4 月 25 日の CT では腹水減少し、 12 回目の CD3-LAK を投与された 7 月 8 日までに腹水消失・貧血の改善・手術創癒合・食欲増進といった全身状態の改善を認め、 PS は 0 となった。
8 月 18 日の CT で NED 。 CA125 は、( 4/7 ) 346 →( 4/18 ) 276 →( 5/2 ) 162 →( 6/6 ) 59 →( 7/8 ) 49 →( 8/22 ) 37 →( 11/5 ) 27 と、 11 月までに正常化した。その後、 2 週間毎の活性化自己リンパ球療法を 18 回目まで継続し、 19 回目からは4週毎の投与としていたが、 CA125 は、( 12/22 ) 23 →( 2/16 ) 19 →( 3/16 ) 18 となり、 24 回目からは2ヶ月毎の治療まで間隔を広げていった。
その後 CA125 は、( 4/23 ) 21 →( 6/18 ) 26 →( 10/8 ) 34 →( 11/2 ) 33 →( 12/3 ) 49 と徐々に再上昇を認めたため、平成 17 年 1 月 4 日に CT 施行するもフォーカス判明せず、 1 月 5 日、 28 回目投与より、再度1週間毎の CD3-LAK 単独投与に戻した。
CA125 は、( 1/4 ) 69 →( 2/2 ) 50 →( 3/11 ) 32 と低下を見たため、 4 月 12 日、 36 回目の CD3-LAK より4週間毎に戻したところ、 CA125 は、( 4/8 ) 49 →( 5/2 ) 71.1 と再々上昇してきたため、 5 月 10 日、 37 回目から、1週間毎の治療に戻し、( 5/27 ) 53 の結果を得ている。今後は、単独の CD3-LAK での2週間毎〜3週間毎のインターバルの調節を考慮しつつ、抗がん剤使用の必要性やタイミングをも検討中である。
Discussion
副作用による抗がん剤中止後、 CD3-LAK 療法単独で寛解導入し、治療頻度の調節により、 CA125 の上昇を抑制している興味ある症例である。画像診断でフォーカスを特定できないが腫瘍マーカー値が正常域を越えて再上昇をし始めたばかりの、いわゆる Chemical recurrence というくすぶり状態の患者を経過観察していく上で、抗がん剤の再開に踏み切るタイミングについては、臨床医も頭を悩ませている。
子宮体がんの場合、多くは腹膜播種や遠隔転移の再発兆候と考えられ、通常ホルモン療法を行いながら十全大補湯や UFT 投与で外来管理し、 CA125 が 100 以上になるか、画像上で再発腫瘍径が計測できる状態になってようやく抗がん剤が開始されるが、むしろその段階まで進ませない対処が重要であろう。
CD3-LAK であれば、ホルモン剤や UFT などとも併用可能であり、副作用もなく投与頻度も調節可能なので、 CA125 が正常上限( 35ng/ml )を越えた時点で、即座に開始することができる。頻回な CA125 モニタリング下に内診や経腟プローブもしくは全身画像診断等によりフォーカスの特定を進めることは言うまでもない。もちろん、手術時の自己がん細胞が得られていれば、樹状細胞ワクチンや CTL 法などの特異的免疫細胞療法も施行可能であろう。ただし、免疫細胞療法は漫然と施行するのではなく、 CA125 が上昇傾向にあるなら、躊躇せず抗がん剤などの他療法をも併用するべきと考える。
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