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我々が行う、具体的な培養方法の概要を
アルファ・ベータ T 細胞療法(αβT細胞療法)、樹状細胞ワクチン療法を例に
図 4-1, 4-2 に示した。
我々の施設では活性化自己リンパ球移入療法としては、 IL-2 と 抗 CD3 抗体でαβT細胞を増殖、活性化させる αβT細胞療法や IL-2 と ゾレドロン酸でγδT細胞を増殖、活性化させる ガンマ・デルタ T 細胞(γδT細胞療法)、そして患者のがん細胞が入手可能な場合においてはCTL療法を行っている。また、成分分離採血 (Apheresis) で大量に採取した単球から分化させた樹状細胞に自己がん細胞あるいは合成した既知のがん抗原ペプチドでパルスして投与する樹状細胞ワクチン療法などを行っている。細胞の投与経路は点滴で全身投与する場合がもっとも多いが、症例によっては肝動脈などの動脈内投与、胸腹水などの貯留例では体腔内投与、あるいは体表からのアプローチが容易な場合は腫瘍内投与を行う場合もある。
(図4-1 αβT細胞療法)
(図4-2 樹状細胞ワクチン療法)
活性化自己リンパ球移入療法といった場合、 1980年代後半に Rosenberg らが最初に報告した【参考文献12)】。ただし、当時行われた治療は、成分分離採血法により繰り返し採取した大量のリンパ球を高濃度のインターロイキン2( IL-2 )のみを用いて体外で増殖させた LAK 細胞の投与とともに、患者へ数千万単位の大量の IL-2 を全身に連日投与するといった極めて毒性の強い治療であった。 LAK 療法においては治療に際しては ICUで管理するなど相当程度に重篤な副作用を伴った。 Rosenberg らの LAK療法での重篤な副作用は患者に併用投与された大量のIL-2によるものである【参考文献13)】。つまり、当時の治療は免疫細胞療法とサイトカイン療法の併用療法といった方が正しい。現在、特に本邦で行われているものはこれとはかなり異なった治療法になっている。 IL-2の併用投与は行わないかあるいは行った場合でも数10万単位を単回投与するだけのもので、副作用は極めて少なく、 Grade1 ないし2の発熱をみることがあるが、それ以外の報告はされていない。したがって、多くの場合、外来通院で行うことが可能である。リンパ球の培養方法、 IL-2 併用投与の有無や量が大きく異なっており、また、その後の長い臨床経験に基づいて投与経路や化学療法などとの併用など様々な工夫がなされることも多い。
培養法の改良点では初期の IL-2単独を用いたものとは違い、既に述べた4つの活性化シグナルを入れるべく、様々なサイトカインや抗 CD3抗体を使用することや患者自身のがん細胞を抗原として 体外 で細胞障害性T細胞 (CTL) を効率良く誘導する方法などが標準的に行われている。
NK細胞が中心に増殖する IL-2単独の培養法と比べて、抗CD3抗体を使用した場合はαβ型のTCRを持つαβT細胞を中心的に大量に増殖させることでの治療効果が期待される。一方、αβTCR とは異なるγδ型のTCRを持つγδT細胞の培養も最近の研究開発により可能になった。パミドロン酸やゾレドロン酸に代表されるアミノビスフォスフォネートが存在する場合、抗原提示細胞はメバロン酸代謝経路の一部が阻害され、その結果、中間代謝物であるイソペンテニルピロリン酸(IPP)を蓄積する。この IPP をγδT細胞がTCRで認識することで、活性化・増殖することが解明された。γδT細胞療法ではこの作用を利用して、 IL-2とゾレドロン酸によりγδT細胞の選択的な大量培養を行っている。
我々の行う樹状細胞ワクチン療法には、株式会社メディネットにより開発された独自の方法(特許出願中:WO2006/006638, WO2007/029689)である、樹状細胞の培養にゾレドロン酸を用いる技術を導入している。
この技術では、ゾレドロン酸と腫瘍抗原を共感作させた樹状細胞と自己リンパ球を混合培養すると、腫瘍抗原のみを感作させて培養した場合に比べて最適条件下で腫瘍抗原特異的CTLが約100倍増加することが確認されている。また、このCTLの誘導上昇はγδT細胞の活性化、増殖に起因することも確認されている。つまり、この方法による樹状細胞ワクチン療法では、腫瘍を殺傷することができるCTLとγδT細胞を高い確率で体内で活性化、増殖できると推定されるので、より高い治療効果が期待される。
この治療を 行うには、その過程の中に免疫細胞の体外培養・加工を含むため、まずその安全性を如何に確保するかが最大の問題である。体外で処理したものを体内に注入して治療を行うのであるから、その処理過程には注射剤製造と同等の安全性が保証されるべきであり、医薬品製造に関する Good Manufacturing Practice (GMP) 基準に準じた自己規制が行われるべきと考える。 われわれの施設ではクリーンエリア内に複数の培養室、品質管理室などを備え、GMPに準拠した細胞加工を行えるための設備が備わっている(写真4 )。安全性とともに不可欠なことは治療細胞の品質管理である。培養の各工程において全例で培養細胞の数、生細胞率の測定、形態学的観察はもちろん、微生物の混入の検査、エンドトキシンの有無などを検査している。また、一部の例ではFlow cytometryによる各種表面マーカー (CD3, 4,8,25,44,54,69など) の解析およびインターフェロンγ (IFN-γ), インターロイキン4 (IL-4) 産生細胞数の測定を定期的に行って、品質の管理を行っている。
(写真4)
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